こんな本を読みました【2024上半期②】#day17
2024年上半期の読書記録の続きです。
★『先祖探偵』新川帆立
主人公・邑楽風子の「ご先祖様を探す専門の探偵」という設定がおもしろい。依頼人たちの事情も実にさまざまで、ユニーク。
風子は先祖どころか親の存在すら知らない天涯孤独の身なのだが、さまざまな依頼を受けているうちに、自身のルーツを探るヒントのようなものを手にしていく。
ようやく出自を知ることができたとき、なんともいえない感情が渦巻く。ネタバレになるので詳しくは言えないが、現代の日本では嘘のような本当の話。人と人が繋ぐご縁は大事だけれど、1枚の紙きれが繋ぐご縁も大事なんだなと思い知らされる。
『元彼の遺言状』とはまたテイストが違って、よかったです。
★『うまくてダメな写真とヘタだけどいい写真』幡野広志
写真家・幡野広志さんの書き下ろし。写真に関する話をまとめた本。ヨシタケシンスケ氏が描く表紙が印象的。
超初心者というよりも、カメラを触りたての初心者向きかも。ちょいと知識を持ち始めた者ほど、設定にこだわりがち。それよりも「つべこべ言わずに撮れ!」と。
幡野さん曰く、「撮ることは考えること」なのだそう。「書くことは考えること」ってよく言われるけれど、撮ることも同じだったんだ!だから、写真以外のことからもインプットすることが大事。本とか映画とか音楽とか。感性を育て、自分の「好き」なものに気づくことが大切なのかもね。
そして、つまるところ、経験を重ねるしかないのよ。ハッと思ったときにとりあえず撮る!あとからいくらでも編集できるんだから。書くのと一緒。通りいっぺんのテクニックを手に入れるより、ワクワクドキドキを感じられる人でいたい。
★『東京タワー』江國香織
ドラマ化されるということで、読んでみました。江國さんの本は、これまで読んだ記憶がないんだよね。たぶん初。
作品全体からは、美しくて透き通るような文学の匂いが感じられる。ただ、わたしには登場人物の誰に対しても感情移入することができず、終始冷めた思いで読んでしまいました。
不倫とか年齢差のある恋愛って、もっとドロドロしてると思うんだけど、綺麗すぎるんよなぁ。心の奥は見えるけど、奥の奥が見えない感じがしました。
あと、物語の視点がコロコロ入れ替わるのが苦手でした。
★『成瀬は天下を取りにいく』宮島未奈
2024年本屋大賞受賞。他にも多数の賞をかっさらった話題作です。きっと、ご存じの方も多いよね。
成瀬のキャラクターがめちゃくちゃ良くて。わたしは大好き。コロナ禍を機に閉店するデパートのテレビ中継に、夏休みの間、毎日映りに行くことにした成瀬。そんなこと思いもつかないし、思いついたとしても、たぶんやらない。そういう突拍子なことを飄々とやってのけるのが、成瀬あかりという人間なのである。
成瀬は超絶かっこいいのだが、わたしがうらやましいのは、彼女の幼馴染であり、親友の島崎だ。一瞬、巻き込まれに見えるけど、実は島崎も成瀬の突拍子な行動を、めちゃくちゃ楽しんでる。いや、楽しめる人だから、成瀬の友だちでいられるのかな?わたしも成瀬と友だちになりたい。
評判の作品だけあって、本当におもしろいです。未読の方はぜひ!
本日は以上です。
次、最終回!2024年上半期読書記録の、第③回目をお送りしますね。
▼2024年上半期読書記録①はこちら!
▼③も書き終えました!
ではでは、また明日!
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