こんな本を読みました【2024上半期③】#day18
2024年上半期の読書記録note、最終回です。
ようやくここまできた!(ゼーハーゼーハー)
★『ユートピア』湊かなえ
人が心の中に秘めている妬みや僻み。普段なら「あの人とは考え方が違うから」と無意識にスルーし、閉じ込めている感情を見事に浮き彫りにしている。
意見が合わなくたって、互いを認め合える関係を築くことはできるはず。なのに、おのおのがコンプレックスを持ち、引け目を感じていたせいで、信じあえなかった。ひとつボタンをかけ直したら、うまくいっていたかもしれないのに、残念なすれ違いだ。
結局、ユートピア(理想郷)は探すものではなくて、自分で作り出すものなのかもしれない。〇〇に住んだからといって、即、手に入るものではないのだ。
★『希望荘』『昨日がなければ明日もない』宮部みゆき
宮部みゆき著「杉村三郎シリーズ」の第4、5作目。離婚した杉村が、一旦実家(正しくは姉の実家)に戻るものの、再び東京に出てきて探偵事務所を開くところから、物語ははじまる。どちらも短~中編オムニバスで、いくつかの事件が収録されている。
いちばん印象に残っているエピソードが、『昨日がなければ明日もない』で書かれている「絶対零度」。とにかく後味が悪くて、某事件の犯人が心底憎い。杉村のところにやってきた依頼人は、当初被害者的な立場であったのに、終わってみれば、限りなく加害者に近いところにいて、なんとも複雑だった。が、本人は認めたくなくて、ずっと自分たちのことを被害者だと思い続けるんだろうな。やりきれない。
「杉村三郎シリーズ」はこれ以前に3作の長編小説が発表されている。杉江松恋さんがあとがきで書かれていたように、宮部さんは3作もの長編を使って、杉村三郎という人物像をとことんまで描き、読者に説明したかったのではないか?という(ニュアンスの)意見に超共感。これまでの経緯があるからこそ、今の「探偵・杉村三郎」がいる。
この2作から先に読み始めても、理解はできるだろうけど、できれば先の長編から読んでほしい。もしくは、ドラマ化された映像を見てほしい。そのほうが何倍も楽しめると思います。
▼シリーズ第1作目
▼シリーズ第2作目
▼シリーズ第3作目
▼過去、2回にわたりドラマ化されました
ドラマを観たら、杉村三郎のセリフは小泉孝太郎さんの声でしか再生できなくなります。それほどの、はまり役。ぜひ第3弾もお願いしたい!
以上、3回にわけて、2024年上半期の読書記録をお届けいたしました。
全部読んでいただいた方はいらっしゃいますでしょうか?
ここまで、おつきあいありがとうございました!
ではでは、また明日!
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