砕かれた魂は何かに憑依する
1926年に発表された葉山嘉樹の「セメント樽の中の手紙」が怖い…。
ある工事現場のセメント樽の中に一通の手紙の入った箱が紛れ込んでいた。その箱を見つけた工員がその手紙を開く。その手紙の冒頭には次のように書かれている。
私はNセメント会社のセメント袋を縫う女工です。
私の恋人は破砕機へ石を入れることを仕事にしていました。
そして十月の七日朝、大きな石を入れる時にその石と一緒にクラッシャーの中にはまりました。石と恋人は砕け合って赤い細い石になってベルトの上へ落ちました。
細く