【9割がしらない】赤ちゃんの尿から検出される現代の農薬事情
こんにちは!てるかファームのKazuです!
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今日は農薬のお話。
私自身は農薬はほとんど使っていません。
たまに除草剤を使う程度で、栽培中の作物に農薬をかけることは一切していません。
なんで殺虫剤とかは使わないのかというと、安全性が分からないから。
(あくまでも私の考えです)
でも、農薬ってきくと何となくマイナスのイメージを持つ人も多いですよね。
実際、農薬の安全性に疑問を投げかける論文は何件も出されています。
今日はその中でも特に安全性に疑問を投げかける論文が多い、殺虫剤であるネオニコチノイド系農薬についてお話します。
ネオニコチノイド系農薬は、タバコに含まれるニコチンの構造を参考に開発された比較的新しい殺虫剤です。
1990年代から世界中で広く使われ始め、害虫の神経に作用して退治する効果があります。
水によく溶ける性質があるため、種や根から吸収させることで植物全体を害虫から守ることができるのです。
今日はこのネオニコチノイド系農薬について見ていきましょう。
前提として、農薬は医薬品と違って人での臨床試験ができません。
そんな人体実験はだれもやりたがらないですし、やったら完全にアウトです。
なので、農薬の安全性はそもそも証明することが難しいですし、
逆に人での危険性を証明することも難しいのです。
実は化学合成農薬ができてからまだ70年ほどしかたっていません。
人の人生が80年くらいなので、まだ70歳くらいの人ですら、どういう影響が出ているのか分かっていません。
であれば、子供や孫世代への影響はより一層分からないのです。
今では農薬って当たり前の存在ですが、人類が化学合成農薬を使い始めてまだそんなに時間が経っていないことも、安全性や危険性が良く分からないことの一因かもしれません。
一番の問題
農薬の安全性の問題を一番ややこしくさせるのが、人によって物質への感受性が違うことです。
男女でも違いますし、体格の大きさによっても違いますし、大人と子供でも違います。
「医薬品」は動物実験(非臨床試験)と臨床試験が行われているにもかかわらず、あとから副作用の見つかることは少なくありません。
それはなぜでしょう?
それは、80億 の人間一人ひとりの「感受性」が同じではないからです。
一例として、シックハウス症候群があります。新築の建材やテーブルなど家具に用いる接着剤に含まれるホルムアルデヒドへの感受性が高い方が低確率でいるのです。
農薬においても同様に、低濃度の暴露でも影響がでる人がいても全く不思議ではないのです。
特に小さい子供に関しては、感受性が高い可能性があります。
身体が小さいので、その分低濃度の暴露でも影響が出る確率が高くなるのです。
尿から農薬が。
現代人の尿からは農薬が検出されています。
これを言うと結構驚かれるのですが、食べ物に入っているのだから当たり前です。
野菜をちょっと洗ったくらいでは完全に取り除くことはできませんし、2018年の論文でゃ市販のお茶からもネオニコチノイドが検出されています。
ただ、特筆すべきなのが成人だけではなく、野菜などをまだ食べない赤ちゃんの尿にも農薬が検出されているのです。
最近の論文では,日本人の赤ちゃん約1,000人のオムツの尿から高率にネオニコチノイドが検出されています。(Oya N, et al., Sci Total Environ, 2021)
日本の子どもは有機リン,ピレスロイド,ネオニコチノイ ド系農薬などに日常曝露していることになります。
なぜ赤ちゃんがと思われるかもしれませんが、
マウスを用いた研究では、母体から胎児へ農薬の成分は移行することが分かっていまし、母乳を通じて赤ちゃんに移行することも分かっています。
(冒頭にも申し上げましたが、人での実験はできませんので、動物実験です。)
なので、人においても母体から子へ農薬の移行の可能性があるのです。
先ほども申し上げましたが、大人よりも子供、子供よりも赤ちゃんの方が、感受性が高い可能性があります。
ちょっとした化学物質の暴露で影響が出る可能性があるのです。
ミツバチへの影響
ミツバチは農作物の受粉に必要不可欠です。
ミツバチがいなくなったら人類は食糧不足に陥るでしょう。
オニコチノイド系農薬の使用は、ミツバチをはじめとする花粉媒介昆虫に悪影響を及ぼす可能性があります。
これらの農薬が花の蜜や花粉に残留することで、ミツバチが摂取すると以下の影響が確認されています:
行動異常(巣に戻れなくなる、方向感覚を失う)
繁殖能力の低下
集団の崩壊(「蜂群崩壊症候群」として知られる)
ミツバチの減少は、農作物の受粉に大きな影響を与えるため、農業全体や生態系にも波及するリスクがあります。
ネオニコチノイド系農薬がミツバチと野生のミツバチに及ぼす国別の影響 |科学
このような論文が出されたので、EUは2018年、ミツバチを守るために、ネオニコチノイド系農薬の使用を禁止しました。
背景として特に重要なのが、世界中でミツバチが減少していることです。
ミツバチは農作物の受粉に重要な役割を果たしており、ミツバチがいなくなると、私たちの食べ物を作ることが難しくなります。
「ミツバチが地球上からいなくなれば、人類は4年以内に滅亡するであろう」という言葉は有名ですよね。
こういう背景もあってEUではネオニコチノイド系農薬は禁止されました。
ミツバチだけではなく、鳥類や哺乳類への生殖毒性があるという論文もあります。[Tokumoto et al., 2013; Hoshi et al., 2014; Yanai et al., 2017; Kitauchi et al., 2021]
ここでは、長くなるので詳しくは説明しませんが、たとえ人ではなくマウスであっても、生殖器官にダメージがいくというのは驚きですよね。
一概に農薬を全否定するわけにもいかない
確かに農薬が絶対に安全と言い切るのは難しいかもしれません。
しかし、だからと言って全く使わないというのも難しい話なのです。
もし、日本で農薬を全面的に禁止すれば、野菜の生産量がガタ落ちし、需給のバランスが崩れ、庶民は野菜を食べることができなくなるでしょう。
ただでさえ原料高、物価高で野菜は高くなっています。
そんな中で野菜の生産量が落ちたらとんでもないことになります。
葉物なんかは虫に食われ穴だらけになります。
私みたいに1からつくっている人はあまり気にしないのかもしれませんが、
そんな野菜を食べたいという人は、現実的には少ないものです。
全く使うなというのは無理かもしれませんが、農薬を少し減らす程度ならできるかもしれません。
実際、私が畑をやっている地域のコメ農家さんも減農薬で頑張っておられます。
農薬も高くなってますし、減られるものならちょっとでも減らしていですね。
最後まで読んでいただきありがとうございました♪