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【ウェビナーレポート】18.5億円資金調達の裏側と海外経営戦略について

今回は2月8日(水)に開催したウェビナー『なぜ日本のスタートアップが世界時価総額2位のアラムコのVCから資金調達を実施できたのか? 資金調達の裏側と海外経営戦略について』のレポートをお届けします。

1月25日(水)にアラムコのVCであるWa‘edから18.5億円の資金調達と現地子会社の設立を発表したテラドローン。約50社との争いを勝ち進み、スタートアップとしてアジア初となるWa‘edからの資金調達にはどんな裏側が隠されているのでしょうか。

そして、創業時から果敢に突き進むグローバルな事業展開がどんな企業文化を生み出したのか。話題は海外で活躍する人材を育てる上での思いやこれから求める人材像などにも及びました。

登壇者の紹介

●取締役 関 鉄平

慶應義塾大学経済学部卒業後、テラモーターズの創業期に参画。フィリピン、インドでの事業立ち上げに携わる。テラドローンでは創業メンバーの1人として日本国内での事業統括や海外での投資先開拓、PMIなどを手がけてきた。

●執行役員 羽渕 毅

関西学院大学経済学部卒業後、(株)GS Yuasaに入社。リチウムイオン電池の海外市場開拓や新商品開発を担当してきた。2018年にテラドローンに入社後は、Terra Drone IndonesiaやオランダのC-AstralにCEOとして出向。現在はUnifly社のCCOとしてベルギーに駐在している。

●Terra Drone Indonesia CMO Ryan Fadhilah Hadi

バンドン工科大学大学院でMBA取得後、2015年にドローンサービス会社であるAeroGeosurvey Indonesiaを創業してCOO、CMOとして従事。2019年にテラドローンによる出資に伴い、Terra Drone IndonesiaのCMOとなる。現在はインドネシアだけでなくUAEなどの案件も担当している。

資金調達の裏側

Wa‘edからの資金調達の裏側についてはアラムコのVCであるWa'ed側との交渉を引っ張った羽渕執行役員が語りました。

今回、アラムコ側からの話に対し、社内では当初、「膨大な課題をこなせるのか」「実現可能なのか」といった声も出ていました。

一方で創業期から「世界で勝つ」ことを掲げてドローン市場にインパクトを与えることを打ち出している以上、「このチャンスはリスクを取ってでも時間や人を投じない判断はない」との考えに立ち返り、約50社との争いに挑むことになります。

では、アラムコ側との1年以上に及ぶ交渉をどう勝ち抜いたのか。その要因は次の4つにあると考えています。

1つ目の「世界での実績と独自テクノロジーを利用した競合優位性のある戦略」は、M&Aの実績を重ねて「正のサイクル」を生み出せたことにあります。黎明期で見込みのある企業をターゲットにした買収を重ねることは、交渉力を高めて市場でのネットワーク拡大にもつながります。そんな動きの繰り返しがプレゼンスを高め、アラムコ側との交渉に臨めたと捉えています。

一方で買収の判断を下す際の確実性も高めてきました。その1つがMOUを結んだ段階で経営層を送り込む戦略です。企業の価値や事業の見込みは、デューデリジェンスだけでは見えない部分が多くあります。出資リスクを抑えるためにも、パートナーとして仕事をすることで見えてくる状況から判断を下す動きを重視してきました。

2つ目の「グローバル市場での新規案件獲得に必要な能力」は、複雑な契約内容や技術面など込み入った部分まで訴求できることを指します。海外ではあやふやな表現は交渉のリスクになりかねません。単に英語が話せる能力ではなく、「なぜテラドローンが他社と違って御社にメリットがあるか」と明確な優位性をストレートに伝え続けることが必要と捉えています。

3つ目の「質の高いフォローアップ」は、限られた時間でのハードワークに迅速に対処してきたことに由来します。今回のアラムコ側との交渉では10~15年の事業計画をロジックに基づいて細かく示すことが求められました。ただ、子会社の買収によるプロダクトマネジメントの実績を通じて得たノウハウや情報が迅速な動きにつながり、信頼を得られたと考えています。

4つ目の「失敗経験を肥やしにし、挑戦し続けられるテラドローンの経営方針」は、テラドローンの企業文化に関わってきます。大企業では1度の失敗を大きなリスクと捉える傾向がありますが、テラドローンでは新規の失敗は減点につながらないと考えています。失敗を繰り返しつつもさらに挑戦してきたことが、今回の成功にもつながりました。その上で挑戦し続ける土壌を作ることが企業として重要だと考えています。

海外人材の育成方法

失敗しながら成長し続ける土壌を作るには、グローバルに活躍できる人材をどう育てるかが、テラドローンの事業戦略で大切な要素です。この点について関取締役が語りました。

(以下、関)
まずは「日本から世界的なベンチャーを出すぞ」といった強い思いを持つ人たちを採用できたことが、グローバルに事業展開できた要因だと思っています。

海外人材を育てる上でテラドローンの特徴は、現地に駐在員としてではなく「経営者」として送り込むことです。現地で人材を採用したり、サービスを提供したりすることは難しい経験ですが、経営者経験がない段階ですぐにできるとは考えていません。それよりも本人の「成長したい」という気持ちを重視しています。私自身も創業時には何もわからないところから失敗を繰り返してきました。

テラドローンの企業文化として、成長が見込める環境や修羅場のような体験に若い人たちを送り込むカルチャーがあります。最近ではM&Aに関する成功事例のノウハウも蓄積され、洗練されてきました。人材育成の面ではそうしたノウハウを共有する仕組みを強化しています。

海外人材として働く魅力

Ryan - Q&A(summary)

Q1.Can you introduce your history before joining Terra Drone Group?

Before joining Terra Drone, I started drone company in 2016, which was later acquired by Terra Drone in 2019. 
(2016年に自身でドローン企業を立ち上げ、2019年にテラドローンのグループ会社になりました)

Q2.What is the reason why you have decided to join Terra Drone Group?

Because the company offered great opportunities to expand the business, including new technology, new use cases, and a new market in terms of regional and global expansion.
(テラドローンが新しい技術、新しいユースケース、地域や世界展開という意味での新しい市場など、事業を拡大するための大きな機会を提供してくれたから)

Q3.Can you share your experiences of growing the business together with Terra Drone?

Terra Drone's vision of becoming the world's number one drone company has created opportunities to explore different regions of the world and engage with major global companies such as Chevron, ExxonMobil, ADNOC, and Aramco.
(世界一のドローン会社になるというテラドローンのビジョンのもと、世界中のさまざまな地域を探索し、シェブロン、エクソンモービル、ADNOC、アラムコなどの大手グローバル企業と関わる機会を作りました)

Q4.What do you enjoy working in Terra Drone?

Because it includes the company's good people, DNA, and cultures, which have provided us with valuable opportunities to learn and grow in our career.
(会社の優れた人材、DNA、文化など、自分のキャリアを学び成長するための貴重な機会を与えてくれたから)

Q5.What is your role and plan in Terra Drone Arabia ?

As the head of Terra Drone Arabia, responsible for the operation and business development of the region, including expanding the company's presence in the MENA region.
(Terra Drone Arabiaの責任者として、MENA地域における同社のプレゼンスを拡大するなど、同地域の運営とビジネス開発を担当します)

今後の展望

(以下、関)
現在、連結で約180人規模となりましたが、さらに海外に展開し、国内も伸ばしたいと考えています。現在まで営業、事業企画、コーポレート、エンジニアなど幅広く採用しているところです。2023年は少なくとも30人、事業進捗によっては40~50人の採用を進めていきます。
 
組織拡大に向けて特に求めているのが若手を中心とした幹部候補者です。「世界でやっていくぞ」といった高い志を持った人、国内外問わず事業を作りたいと関心を持っている人と仲間になりたいと考えています。その上で英語が得意な人、海外営業や駐在員の経験がある人などが私たちのカルチャーに合っていると思います。
 
他にも海外の機関投資家との対応や資金調達、M&Aをコーポレート側から推進する経営企画リーダーも募っています。エンジニアについては高い英語能力は問われませんが、グローバルに興味がある人たちを募集している状況です。

質疑応答

質疑応答の場面では、ウェビナーの参加者から空飛ぶクルマに関する話題や海外で活躍するために必要な人材像などに関する質問が挙がりました。

Q.「空飛ぶクルマ」の事業も進めていますが、どんな形で参入していくのでしょうか?

A.「空のインフラとなる航空管制の分野で参入を進めています。国内では大阪万博に向けて盛り上がっていますが、子会社であるベルギーのUnifly社を通じて欧州の動きやノウハウを蓄積し、国内での展開に生かそうと考えています(関)」

「UTM(運航管理システム)が空飛ぶクルマ普及のカギを握ることは業界の共通認識となっています。ドローン市場で築いてきた地位を空飛ぶクルマでも拡大させたいと考えています(羽渕)」

Q.UTM事業にはどんな競合がいると考えていますか?行政との連携に関する動きも教えてください。

「Unifly社の事例を見ると競合は極めて少ない印象です。日本では大手SIerがライバルになる可能性がありますが、分野が少し違うため協調しながらやっていけると考えています。行政とは官民協議会の場を通じ、Unifly社の事例や海外の動向などを基に提言しています(関)」

Q.エンジニアの募集では英語の能力をそれほど問わないとのことですが、海外での赴任や出張などが生じることはありますか?

「応募頂いた方によってケースバイケースです。英語が使いたい、駐在や出張がしたい方にはそうした機会を設けています。一方で英語を話せなくても、日本国内でエンジニアリングマネージャーとして活躍できる方も募っています(関)」

新卒の募集はしていますか?

「募集しています。ただ、新卒枠としての一斉採用ではなくまずはインターンを通じて会社を知ってもらう形で進めています。今年もインターンを経て新卒として入社予定の人もいるのでウェルカムです(関)」

Q.海外人材として必要なスキルは?

「パッションを持ってロジカルに物事を伝えられる能力だと思います。海外での子会社の経営には、現地の人と連携を取って戦略や方針をしっかり示すことが必要です。文化が違う海外できちんと意見を述べて訴求できるようにするためにも、強いモチベーションが重要になりますね(羽渕)」

最後に

資金調達の裏側と海外経営戦略についてお話しましたが、グローバルでNo.1を目指す当社は、今後更に積極的にグローバル展開を加速していきます。
ベンチャーとして、グローバルで強力に展開している企業は数少ないと思います。現在将来の海外経営人材を募集しているため、ぜひご応募をお待ちしています。当社が重視するChallenge as global No.1のもと、新産業領域で世界に通用する企業を一緒に創っていきましょう。

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