【俳句】アメリカ大陸の香り3句
絢爛の百合水仙や静物画かな
アピオスの香りなつかし芋おいし
牧童の夢にも香るマテ茶かな
ユリズイセン(アルストロメリア)は南米原産。華やかな見た目とは裏腹に、一般的に芳香はない。
以前住んでいた家で、近所の東北出身のおばあちゃんから「埋めてみな」と北米原産のアピオス(アメリカほど芋)の芋をもらい、土に沈めた。夏になると重力に逆らって地中から出て来た蔓が際限なく伸び、芳香のある華麗な花を咲かせ、花が枯れてから土を掘ると、脈拍を視覚化したように、長く伸びる根にぽんぽんぽんと小粒の芋がたくさんなっていた。塩茹でにするとピーナッツのような味がして大変美味、緑のカーテンにもぴったりの植物である。
20年ほど前、劇場にアルゼンチンの映画を見に行き、運良く先着何名か分のアルゼンチンで愛飲されているマテ茶のティーバッグのプレゼントにありついた。帰ってから飲んでみると、口の中いっぱいにパタゴニアが広がった。羊が見えた。牧童が見えた。コーヒーが飲めず、緑茶や紅茶や烏龍茶などへの耐性も弱く、麦茶も好まない者にとっては、日常的に飲むことの可能な飲料の選択肢のひとつにはなり得たが、健康的ではあるけれども独特の草感に馴染めず断念、末っ子妊娠中に友人から贈られた南アフリカのグリーンルイボスティーにその座を譲った。
……この映画は何だったのだろう? おそらく2000〜05年あたり、劇場は渋谷? 日比谷? 全編モノクロか一部分だけか。劇中「モニカ〜♪」とおじさんの歌声が流れたような……。犬の交尾で終わる『ボンボン』だろうか?
どなたかご存知の方がいらっしゃいましたら、記憶の穴埋めにご協力いただけると助かります。