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ビタミンY補給 ②

私には、もう1人ビタミンYくんがいる。

私の寺子屋への方針を少なからず変えた卒業生だ。

その彼に先日上京したときに約1年ぶりに会った。

出会った16年前当時は、私が彼にとってビタミンYだったのかもしれない。

でも、今や、彼に会って元気でいることを確認することは、私にとって自分の歩んできた道と次の一歩の方向を見つめ直し、考えるのに必要な栄養源となっている。

様々な事情から、私は彼の高校2年生の5月から高校卒業の3月までの2年弱、彼にお弁当を作っていた。作りながら、いろんな思いを経験させてもらった。

最初はお弁当を作るだけだったけれど、いつの間にか私の休憩時間に一緒に食べるようになった。最初、作るのは彼が塾に来る日だけだったのが、受験生になって、週5日になった。

今振り返ると、母親になる希望も可能性も失いつつあるアラフォーだった私には、当時も支えていたのは「私が彼を」ではなく、「彼が私を」だったのではないかと思うことも多い。

意外と、母親になる希望も可能性も完全になくしてしまった今の方が、私はもう少し自立しているように思えるほどだ。

彼自身も、大学生、大学院生のころは、寺子屋での思い出を

「話をしてばかりで、勉強した記憶がない」

と、言っていたけれど

32歳になった今回、一緒に会った私の友人たちに

「僕は、いろいろ問題があったので特別枠っていうか、お弁当作ってもらったり、家出したら塾のソファベッドで寝させてもらったり、他の人とは違う感じなんですよ。」

なんて、自分から言っていた。

2人とも、少しずつ自分たちの生活が落ち着いてきたということなのかもしれない。

そして、私自身、父が口癖のように言っていた 「Teaching is learning.  教えることは学ぶことだ」ーその意味が深いことに彼だけでなく毎年接する若者たちに気づかされている。

同時に、学ぶことはとてもシンプルだと思う。

とりあえず、わからなくても受け入れてみる。

そして、できること、すべきことをする。

すると、いつの間にか理解できてしまっていたり、うっかりわかってしまったり、思いがけない結果がついてきたりする。

お弁当の献立を一生懸命考えて工夫しても、結局一番人気は大抵「卵焼き」だ。だからとりあえず、それを受け入れて卵焼きを入れると、弁当が綺麗に整っていくのと似ている。

ん?

・・・似てないか、、、、? 笑

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Terakoya Kamei
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