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本当にそうなのかー⑦

本当にそうだろうかー

この25年、子どもたちに、彼らの周囲にいる大人たちに、そう問うことを忘れないでほしいと伝え、願い続けている。

この仕事をしていると

中学生に高校を選ぶとき、

将来何になりたいか
将来何がしたいのか

を、問う大人の多さに、驚く。

高校生に大学を選ぶとき

何が勉強したいのか 以外に

どんな職業に就きたいと思っているのか
何のために大学に行くのか
それで就職できるのか

を、問う大人の多さに、驚く。

私は、行きたい大学、就きたい職業があって、中学受験をした。
幼い頃から、1つ、決して一途にではないけれど追い続けた将来の目標があった。

その私ですらー

中学受験のためにも、
大学受験のためにも、寝る間を惜しんで勉強したわけではないし

将来何をしたいのか
どんな職業に就きたいと思っているのか

を、じっくり考えて、信念を持って大学を選んだとは言い難い。

そして、そんなことを問われたことは、1度もなかった。 

私は父の後を継ぎたかったから
父が通っていた大学に行くと心に決めていただけだった。

どんな道も、するべきこと、できることをすれば、
ローマにつながっていると信じていた。

けれど、ローマがどこかわかっていたとは言い難い。笑

そんな状況だったと思う。

そして、ただ、私は英語が得意だった。英語が好きだった。
外国語に興味があった。外国にあこがれていた。

11月の初めに会った卒業生が言っていたー。

彼は、祖父・父・自分と続く医者の家庭で育っていた。

入塾のとき、将来の夢、目標の記入の欄を前に、お母さんに聞かれて

「医者」と応えた彼に、

お母さんが「本当に?」と嬉しそうに確認して記入する姿を私は今でも鮮明に覚えている。

そんな話をしたらー

「そのとき、医者をはっきりと目指していたわけではないけれど、医者と言えば、大人がそれ以上何も言わなかったから。そう言わなければ、『じゃぁ、何になりたいの』と聞かれて、面倒だから、『医者』ということにしていた。それが、本当になっただけのこと。」

というような話をしていた。

その今を生きて、彼は「幸せ」だと言っていた。

半分、

ー噓から出た実ー

それを、きちんと実らせた。

「じゃぁ、何になりたいの」と聞かれたら、面倒だと思ったという彼の言葉は、本音だ。

今、「夢」や「目標」、「したいこと」を子どもたちにやたらと聞く大人たちと接し、それを見つけられず苦しむ子どもたち、若者たちを見ている私には、しみじみする言葉だった。

最近は、たまりかねて、親御さんに聞いてみるー

ーお母さんも(面談にお父さんが来ることは少ない)、将来をしっかり見据えて、高校を選んだのですか?

もちろん、そうじゃない親御さんがほとんどだ。

私は、とりあえず、親御さんが許すなら

中学3年生には

今、大学に行きたいと思っているかどうかだけを聞く。

あとは、彼らの頑張りに掛かっている。

そして、大学受験生には・・・進学を親御さんが許すのだから

ただ、何が学びたいか、何は学びたくないか
そして、何が得意で、何が不得意か

を、軸に考えれば良いことを伝える。

なんだかんだ大人は勝手なことを言うけれど、お父さんもお母さんも、多分先生ですら、しっかりとした考えを持って進路を選んできてはいないと思う。また、4年という長い年月を過ごして、その希望は変わってしまうこともあるのだから。

3秒前の自分も今の自分とは違う人だから、テストだって見直しが必要なのだから。 笑

ただ、どんなことでも、後悔をしないように努力をすることが大事。

だから、今、悩んで立ち止まるのではなく、とりあえず、今できることをして前へ足を出してほしいと思う。

そのために必要な支えで、私たちができることはしたいと思っている。

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Terakoya Kamei
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