渋谷から届く海の声「海がきこえる」感想【11/11追記あり】
本日5月3日より、京都府内の「イオンシネマ」にてジブリの名作アニメ「海がきこえる」が上映されます。
さらに遡って2024年3月15日から約1ヶ月程、東京の「Bunkamuraル・シネマ 渋谷宮下」でも海がきこえるが上映されていたのをご存じでしょうか?
スタジオジブリ×氷室冴子の映画「海がきこえる」京都で特別上映 - 映画ナタリー (natalie.mu)
海がきこえる | Bunkamura
海がきこえるはジブリ作品にしては珍しいテレビスペシャルで放送されたアニメで、今回のように映画館で上映されるのはとても貴重です。(4:3のテレビサイズでは無く16:9で制作されているため、勘違いされている方も多いようです。)
1994年に放送された海きこの放送30周年を記念しての期間限定上映です。
この作品の舞台は東京、そして高知です。
作中では頻繁に土佐弁が使用されます。とある作品きっかけで土佐弁が大好きな私は、映画館の上質で整った音響で土佐弁を浴びる為に、先月渋谷に足を運びました。
今見ても色褪せない、とても素晴らしい作品でした。
当時のジブリの若手制作集団の作品という事でしたが、そのスタッフは今では有名な方ばかり。細かい日常芝居、実際の高知の風景を元にした美しい背景美術、感情を揺さぶられるBGM。
感銘を受けた私は映画鑑賞後すぐに売店で原作小説と絵コンテを購入し、DVDやアニメージュなどの関連商品もネットで買い揃えました。
原作「海がきこえる」とは
「海がきこえる」は1990年1月から1991年12月までアニメ情報雑誌「アニメージュ」にて連載されていた氷室冴子さんによる連続小説であり、これを原作とし、当時のジブリの若手クリエイターたちが手掛けたのがこのアニメ版「海がきこえる」です。
アニメージュで連載されていた際、氷室さんのファンだった望月智充さんが企画書を持ち込んでアプローチを掛けたそうです。
監督:望月智充さん
繊細な日常芝居や、PANを多用したりカメラをぐるっと回す独特な演出が得意な監督です。カメラワークの独自性は海がきこえるでも遺憾なく発揮されており、有名なあのシーンのあのカメラワークを是非劇場で体感してみて欲しいです。
最近では「お兄ちゃんはおしまい!」の5話の絵コンテを担当されておりました。日常芝居という点で、私にはまひろがプリクラを撮る際の足の演技がとても印象に残っています。興味のある方はこちらも是非チェックしてみてください。
主役:飛田展男さん
主役「杜埼 拓」を演じられたのは声優の飛田展男さんです。
そんな飛田さんですが、なんと先月の渋谷での期間限定上映をご自身で鑑賞しに訪れたそうです。収録当時のエピソードや、演技中のご自身の想いなど、貴重な裏話をX(旧:twitter)にて投稿しておられます。
また、方言の演技についても言及されております。
前述したように、この作品の舞台は「高知」です。杜埼含め、純朴な高知の青年たちは飾らない土佐弁を話します。方言指導を高知出身の渡部猛さんと島本須美さんが行っており、アニメ作品としては珍しい、生活の延長線にある素朴な土佐弁を聴くことが出来ます。方言フェチにはとても有難い作品です。
小説版:海がきこえる
海がきこえるで面白いポイントは主人公杜埼 拓が、親友松野 豊との友情をとるか、それとも武藤 里伽子との関係を築くべきか…という青春群像劇と三角関係を同時に描いている箇所だと私は思います。
小説版は杜埼視点で書かれおり、アニメ版では理解しきれなかった内面描写が楽しめます。また、杜埼は視聴者の想像以上に松野に信頼を置いており、アニメ版での里伽子への恋心の気付きのタイミングは、小説版を読んで合点がいきました。
アニメ版では中学・高校での生活描写をメインに物語が進んでいきます。
それに比べ、小説版では一冊の中のおおよそ半分を大学生活の描写に充てています。小説版で、東京に来た杜埼が標準語を話していたのは結構衝撃でした。
ここだけは読んで欲しいポイント
小説を読むのは気が進まない…という方にも是非読んでみて欲しいのが、小説版のあとがきの更に後ろに掲載されている「坂本洋子さんの書き下ろしの文章」です。
坂本洋子さんは、海がきこえるのヒロイン里伽子を当時15歳で演じられた女優さんです。こちらは「新装版」のみに掲載されているのですが、坂本さんが、2022年の40代の頃に書き下ろされたものです。大人になった今だからこそわかる里伽子の魅力や、内面に寄り添った文章にはとても胸を打たれました。
里伽子の良さが分からない、もっと深く理解したいと思っている方にはとてもお勧めです。数ページしかないので、小説1冊を読むのは気が進まないという方でも、手に取りやすいと思います。
【宣伝】同人誌を作りました
5月26日 にインテックス大阪で開催された同人イベント「COMIC CITY 大阪126 」にて海がきこえるの同人誌を頒布しました。
【BOOTH】で自宅通販を行っております。
最後に、先日のティーチインのインタビュー記事を引用して、このnoteは終了とさせて頂きます。読んで下さりありがとうございました。
【11/11追記】杜埼役の飛田展男さんからファンレターのご返信を頂きました!
実は、映画を鑑賞後、はやる気持ちを抑えきれず、杜埼を演じられた飛田展男さんにファンレターを送っておりました。
なんと、そちらのお手紙のご返信をいただきました…!!
飛田さん、ありがとうございます…!!飛田さんの土佐弁は勿論のこと、甘酸っぱい思春期男子の演技が本当に素晴らしいので、ファンの方は 海きこ 要チェックです👍
11月14日まで東京渋谷の「Bunkamuraル・シネマ 渋谷宮下」で上映中です!是非この機会に!!12月には品川六行会ホールにて、飛田さんが出演される公演もあるそうです。東京にお住まいの方はこちらもどうぞ。
【リラックス公式ブログより引用】
《RELAX》第26回 30周年記念公演のお知らせ - 《RELAX》ブログ
【引用元記事】
ジブリ×氷室冴子「海がきこえる」制作から31年越しの初ティーチイン、監督&Pが登壇 - 映画ナタリー (natalie.mu)
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