八月納涼歌舞伎『狐花 葉不見冥府路行』*浴衣は綿絽や綿紅梅をカラフルに
災害続きでコワイです。我が身と皆様の御無事を祈っております。さて、歌舞伎座前は流水が涼やかです。
また、風鈴の音は激しく!
京極夏彦さんが「歌舞伎の台本を書いた」と話題の『狐花』を見てきました。曼珠沙華の多面的な解釈には言葉に対する執着を感じ、結末にはやられたと唸る。
作家は刃物でなく、言葉で相手を突くのです!
幸四郎丈へのインタビューにある通り「京極歌舞伎」は会話劇なんです。ほぼ、現代語です。沢山、人が死ぬけれど立ち回りはごく、わずか。台詞を聴き取るのが大変です。キャラクターが古典よりも捉えやすいので、混乱することはありませんでした。
舞台は江戸時代。チラシのあらすじには上月監物の娘・雪乃(米吉丈)と雪乃周辺の女達が正体不明の男に入れ揚げてしまい……。謎の男のキーワードは狐の面と着物に描いた赤い曼珠沙華、とあります。
一方、舞台の最初は事件勃発のシーン。主役は美冬です。笑三郎丈の裾捌きが美しいです。美冬は襲って来る勘九郎丈の監物に怯えて「この子をどうか、無事に!」と大切な赤ちゃんを下男に託します。この場面をよく、覚えておいてください。すぐに、勘九郎丈の監物が押し入ってきて、美冬は略奪されるのです。
そして時は流れ、雪乃が狐面の男を探してお寺の竹藪を彷徨っています。雪乃の下女のお葉(七之助丈)は体調を崩し、別行動。米吉丈の入り込んだ芝居と七之助丈(狐面の男)の神々しい立ち姿に見惚れ、ミステリーのヒントをすっかり、見逃しました。
その後、物語は上月家に関係する人物……、下女のお葉、辰巳屋の娘・実祢(虎之介丈)、近江屋の娘・登紀(新悟丈)と父の源兵衛(猿弥丈)に見舞われた悲劇を追っていきます。「憑き物落とし」の中禪寺洲齋(幸四郎丈)が謎解きの探偵役、染五郎くんは実直な刑事といった立ち位置ですが、それぞれに深い思惑があるのでした。
結末は、歌舞伎座にて。
三階なので「幸せな勘違い」はないのですが、立ち姿のスキのないフォルムと、一面が赤い花の美しい舞台セットがセリから現れる様を3Dで堪能できます。
幸四郎丈は七之助丈と、染五郎丈は勘九郎丈との血縁をミックス対峙が多い点も、見所のひとつです。
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