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読書「ドーパミン中毒」~悪魔の物質との付き合い方~

皆さん、こんにちは。

最近は、「幸せ」について非常に興味があります。
幸せを感じる際の物質として、切っても切り離せない「ドーパミン」。

これについて、世界的ベストセラーと言われている「ドーパミン中毒」について紹介します。

著者はスタンフォード大学の依存症医学の第一人者、アンナ・レンブケ教授。

ざっくり概要

非常にざっくりですが、本書の概要と感想。

  • ドーパミンという脳内物質の本質が分かる。

  • 「シーソーの教訓」という表現で、ドーパミンの特徴である「快楽と苦痛のバランス」が解説されている。

  • 依存症になる原因がよく分かる。

  • 著者の診察経験に基づくリアル患者の描写が殆どを占める。
    過激な例が多く、日本の感覚からすると若干リアル感を欠く、若しくは、ドーパミンに対して恐怖を感じやすい。

  • 全体的に、科学的な表現となっていて、多少とっつきにくい印象。

3つの要点

沢山の学びがありましたが、私なりにギュッと3点に絞りました!
絞り過ぎかもしれませんが、ココだけは!お持ち帰り頂ければと思います。

以下3点です。

1 ドーパミンは快楽と苦痛がバランスしている
2 現代は誰もがドーパミン中毒の予備軍
3 対策は「没頭する」こと

順に解説していきます。最後には、関連する別のおススメ図書もご紹介できればと思います。

1 ドーパミンは快楽と苦痛がバランスしている

まず、ドーパミンは神経伝達物質です。

神経伝達物質??という感じだと思うのでイメージだけ。

ニューロンとかシナプスという単語は聞いたことがあると思います。
ニューロンは神経細胞で、ニューロン同士がシナプスで繋がっている(実際には繋がっておらず隙間のことですが、細かい説明は割愛します)。

野球が例にあります。

ピッチャーとキャッチャーがニューロンで、その間にシナプス間隙がある。やり取りしているボールが神経伝達物質である。

神経伝達物質のイメージ(あくまでイメージ!)本書を参考に作成

ドーパミンは「快楽物質」として理解されていることも多いですが、正確には「報酬を得ようとする動機」の方です。

例で言うと、美味しそうなご馳走を見た時に出るのがドーパミン。
実際に食べてめっちゃサイコー!なときには出ない(出るのはエンドルフィンなど)。

つまり、「欲しい」という衝動に強く関係しています。

私たちは、楽しいことを知ってしまうと、それを続けたい「渇望」が生じるように出来ています。
私の5歳の息子でもそうですので、年齢に関係なく人類みな本能として持っているということですね。

ポテチは一袋食べきるまでやめられないし、ビールは一杯だけにはできないし、NETFLIXは全話見てしまう。
それがドーパミン。

ここで、重要なこととして
「快楽と苦痛はシーソーの様になっている」ことが書かれています。

つまり、快楽にずっと傾いていると、苦痛に戻る動きが起きる。
具体的には、快楽を感じにくくなり、苦痛を感じやすくなってしまう。

これって最悪ですよね。

快楽を感じにくい上に苦痛があるから、ますます大量の何かを必要としてしまうわけですね。耐性が出来てしまうわけです。

ちなみに、苦痛から初めて快楽で終わるパターンもある様です。

ここでは冷水シャワーの例が書かれていました。

冷水でシャワーを浴びるとものすごく苦痛ですが、浴びた後には快楽が訪れる。スカイダイビングなどもこのパターンの様です。

このバランスが一つの重要なポイントだと思いました。

2 現代は誰もがドーパミン中毒の予備軍

本書にはドラッグとか性的な話とか、過激な中毒の話が多いのですが、我々も予備軍です。

はい、そうです。

悪魔のツール、スマホですね。

ある調査によれば(Dxcount社16年調べ)、ユーザーが一日にスマホを触る回数は平均2,617回。
アメリカ人の1日の平均利用時間は4時間以上だそうです。

アプリ開発のエンジニアが言っていましたが、アプリは敢えて通知を分散して開くたびにイイね!が届くようになっているそうです。
例えば、投稿した瞬間20件のイイねがあっても、最初に開くと5件、次に開くと3件、として、毎回開くたびに快楽が得られる仕組み(アルゴリズム)になっているそうです。
怖すぎますね!!

我々は、もうスマホなしの生活には戻れません。
アプリ側、情報操作側に、完全にドーパミンを操られていますね。科学の進化は怖いです。

ベストセラー「時間大全」では、

①アプリを削除する
②アプリから毎回ログアウトする
③メールアカウントを削除する

などの過激(?)は対応が提案されていますが、、、ちょっと二の足を踏みますよね。

いやーそれはキツイでしょ。

逆に言うと、それぐらいのことをしないとドーパミンには抗えないということですよね。

それって他の物質で言えば、中毒じゃありませんか?

仮に「お酒を飲みに行く」に置き換えて考えた場合、上の対策って、
①現金・クレカを持たない(毎回ATMでおろす)
②Suicaを捨てる(交通手段を断つ)
③お店に出禁にされる

ぐらいの迫力ですよね。
それって絶対アル中でしょ、と言わずにはいられない。。

私たちは中毒かもしれません。

3 対策は「没頭する」こと

ここまで不安を煽られたからには対策を考えなければなりません。

それは「没頭」。

なぜなら、ドーパミンを求めてしまうのは、厳しい現実からの逃避本能であるためと著者は述べます。

私たちは皆、世界から ―自分自身や他者に設けた実現不可能な基準から―  解放されたいと望んでいる。
(中略)
だから私たちは快楽を与えてくれるもの、今自分に利用できる逃避グッズのどれかに惹きつけられる。流行のカクテル、SNS上の価値観が同じ人たち、リアリティ番組の一気見、夜のネット・ポルノ、ポテトチップスとファストフード、ゲーム・・・。

ドーパミン中毒より

そして著者の言葉を借りれば、「どうかあなたに与えられた人生に、どっぷりつかる方法を見つける」ことが唯一の対策とのことです。

逃げようとしていることがなんであれ、そこから逃げるのをやめ、むしろ立ち止まり、方向を変えて直視してみて欲しい。

ドーパミン中毒より

結局、著者は何かに没頭することでしか解消し得ないと結論づけています。
SNSを見続けてしまうのは、何故か?と自問自答し続けるのはあまりにも苦しく、答えも見つかりづらいと思います。それはあまりにも身近になってしまっているから。

時間術で言われる、時間のフル活用は小さなテクニックではなく、人生のド真ん中に何を置くか?を考えること。という考え方にも通じると感じました。

他人からはなんと思われようとも没頭できることを見つけたい。

まとめ

人間は元来、周囲を気にする傾向がとても高い文化の中で暮らし、評価基準を作り上げてきたように思います。
そこに近代のスマホ、インターネットの文化が更に「他者と比較すること」を助長、加速させている様に思えてなりません。

こういったものがストレス要因となり、苦痛を生み出している。更にさまざまなテクノロジーの進化によって、快楽を比較的簡単に提供できるようになったため、中毒予備軍を大量に生み出すことになっていますね。

何かの気づきになれば幸いです。

お勧め図書

ドーパミン関連で言えば、本書よりも更に読みやすく身近なテーマを扱っているのが、「スマホ中毒」です。

こちらはおススメ度5点満点です!!

それでは!

Have a good life!!

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