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『佐治敬三と開高健 最強のふたり(著:北康利)〜飲料メーカーと芥川賞作家が作り出した“化学反応”の真実
【内容】
サントリー社長の佐治敬三と、サントリーで働いていたことのある芥川賞作家の開高健の2人の生涯を描いたノンフィクション。
※ネタバレ(?)します。
【感想】
芥川賞作家として知られる開高健と、サントリーを日本有数の飲料メーカーへと成長させた2代目社長・佐治敬三。一見、全く異なる世界で生きてきた2人が、共に働きながら友情を育み、それぞれの分野で大成していく姿を描いた本書は、私にとって新鮮な驚きのあるノンフィクションでした。
本を通じて初めて知ったのですが、サントリーが急成長を遂げたのは、この2代目社長・佐治敬三の時代だったんですね。その成長の過程で、会社の一員として働いていた開高健との間に、不思議な化学反応が生まれていく――そんな物語が描かれています。
単に「たまたま同じ職場で働いていた」というだけでなく、2人が互いに影響を与え合いながら、その人生を深めていく様子が印象的でした。特に、開高健の存在が佐治の決断に大きく影響を及ぼし、やがて佐治が社長職を辞するに至る流れは、2人の関係性の奥深さを感じさせます。
「経営」と「文学」という、一見かけ離れた分野を交差させながら、2人の幼少期から丁寧に描くことで、実は共通する何かが浮かび上がってくる――そんな構成が、この本の最大の魅力だと思いました。
異なる世界に生きながらも交わり、互いに影響を与え続けた2人の物語は、「経営者と作家」という枠を超え、人間としての本質的なつながりを考えさせられる一冊でした。
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