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『MONDAYS/このタイムループ、上司に気づかせないと終わらない(邦画)』〜低予算からロングランヒットへ!タイムリープ×オフィスドラマの新境地

視聴環境:U-NEXT

※ネタバレします。


【内容】
広告代理店で働く朱海は、終わらない一週間を何度もタイムループを繰り返す。このループから脱げ出す鍵は、上司が握っていることが判明するのだが…


【感想】
日本の低予算映画ながら評判が高く、ロングランヒットした作品と聞いていました。U-NEXTでの配信が始まったので、観てみました。
『オフィスもの』と『タイムリープ』という、これまでにない組み合わせが新鮮でした。タイムリープはやり尽くされた感がありましたが、職場を舞台にするという発想に「その手があったか」と思いながら観ていました。

タイムリープものは、人生の転機となる瞬間や期間を繰り返し、人生の意味を問い直すという構造が多いですが、この作品は仕事や転職といった、個々の人生に直接影響を与えるテーマを扱っているので、自然にドラマが生まれるのも納得でした。
物語の中には、クライアントや協力会社との関係、主人公の転職、上司の葛藤などがあり、タイムループを繰り返すことでそれらが少しずつ明らかになっていきます。
現代の日本のオフィスを舞台にした作品は、どこか非現実的に感じるものが多いですが、この作品はコメディータッチながらも、妙にリアリティを感じる部分がありました。特に、クライアントが極端に悪者になるわけではなく、日本の職場にありがちな「ブラックだけど穏やかな口調で仕事を押し付ける」という独特の空気感や、不満を抱えつつ感情を押し殺して働く様子には、リアリティを感じました。

主演の円井えんも、日本人離れしたモデル体型や顔立ちではなく、現実にいそうな働く女性の雰囲気があり、その自然な感じと、コメディ要素もありながら日常の延長線上に存在しているような演技が良かったです。彼女の演技は、演劇畑ぽい独特なノリがあり、これからどんどん活躍していく役者だろうと感じました。伊藤沙莉や江口のりこのように、存在感のある個性的な女優になっていくと良いなと思いました。

また、実はこの物語の真の主人公とも言える上司役のマキタスポーツも、「こんなおじさんいるよね」と思わせるリアリティがありました。彼の演技がこの映画のリアリティを支える重要な柱になっていると感じました。もともと、マキタスポーツは音楽のパロディで知的な笑いを生み出す人ですが、そのスキルを演技にも応用しているのではないかと思いました。彼が「市井の人々の生活や行動を読み解き、それを役柄として再構築する」ことで、あのリアルなおじさん感を出しているのかもしれません。
マキタスポーツの演技は自然すぎて普段はあまり意識していませんでしたが、改めて観ると、実に優れた役者だと感じました。お笑いから音楽、そして演技までこなせる彼が、もしかすると大河ドラマの主演や大きな当たり役で大ブレイクする可能性もあるのではないか、竹中直人的なブレイクの仕方というか…
それから、どことなく先日亡くなった西田敏行を思い出させるところもあるような気もしました。

https://mondays-cinema.com

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