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『池上彰の宗教がわかれば世界が見える(著:池上彰)』〜ニュースを深掘りする鍵は宗教にあり。宗教がもたらす政治と社会の隠れた影響力

【内容】

仏教、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教についての解説、及び7人の宗教家や思想家など第一人者にインタビューした本。

【感想】

宗教と政治、その交錯点を見つめる

麻生太郎氏が総理大臣に就任した際、海外では「日本初のクリスチャン総理大臣の誕生」と報じられたことをご存じでしょうか?
日本国内ではほとんど触れられることのなかった視点ですが、欧米圏では政治家の宗教が大きな注目を集める重要な要素だとされているそうです。
この本に書かれたこよ指摘を読んで、バラク・オバマ氏が大統領選挙中に「イスラム教徒ではないか」と疑問視された話題を思い出しました。それだけ宗教の存在感が、国や文化によって異なるのだと改めて気付かされます。
麻生氏といえば、日本では保守派の政治家として知られていますが、信仰という別の切り口から見るとまた異なる側面が浮かび上がります。この点だけでも、宗教と政治が交差する独特の関係性を垣間見ることができると感じました。

宗教が持つ世界的な影響力を紐解く

本書では、世界の主要な宗教の成り立ちや現状が、国際情勢やニュースと絡めて解説されていました。特に中東情勢や日本国内における宗教の扱われ方についての分析が秀逸で、「宗教」というテーマが私たちの生活や報道の中でどれほど大きな意味を持つのかを実感させられました。
日本では宗教が報道で扱われる際、センシティブさゆえに表層的な説明にとどまりがちです。しかし本書は、踏み込んだ議論を展開することで、ニュースや国際問題の理解を深めるきっかけを与えてくれていると感じました。

専門家の声を通じて深める議論

後半では、多くの専門家へのインタビューが収録されています。著者が「教えてもらう」というスタンスで話を引き出しており、宗教や政治、社会の本質に鋭く切り込む内容が展開されています。この手法は、一線で活躍し続けているジャーナリストである著者ならではの手腕といえるでしょう。
特に印象的なのは、著者自身が執筆にあまり多くの時間を割かなかったと思われるにもかかわらず、著者の持つ知名度や経験、信頼感から、かなり濃い内容の著作になっていると感じました。著者が持つ知名度やネットワークがあってこそ成し得たものだと感じました。

視野を広げる一冊

宗教というテーマは、日常のニュースや社会問題に隠れた影響を与えています。本書を通じて、宗教がいかに世界を動かしているかを再確認できました。単なる解説書にとどまらず、読者に新しい視点を提供する一冊だと感じました。

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