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『日本の10大新宗教』(島田裕巳 著)
【内容】
日本の新宗教が、いつどう成立したかを、代表的教団の教祖誕生から社会問題化した事件までを繙きながら、日本人の精神と宗教観を概観した本。
【感想】
『浄土真宗はなぜ日本でいちばん多いのか』という同じ著者の本が面白かったので、こちらの本も読んでみました。
単純に日本における信仰宗教、新宗教の紹介や解説と言うだけに留まらず、明治維新以降の日本の社会史や精神史についての本でもありました。
この本で残った記述の一節で、『天皇性の空白を埋めるために、信仰宗教が機能した』という記述がありました。
日本における組織や社会のあり方を、その切り口で捉えると色々とふに落ちる事象等が思い浮かんだりしました。
個人的な経験でいえば、小学校の頃に自分が昭和天皇てある語る教師が担任になったことがありました。あの人物も、時代的な症例であったのだと振り返ったりもしました。
また、予備校に通っている頃、昭和天皇の名前である『裕仁』と付けられた人物もいたりしました。確かお爺ちゃんが名付け親だったと聞いたような気がします。
著者自身の経験やエピソードを絡めて書かれているのもこの本の特徴で、それが通り一遍の解説本とは違った独自のリアリティをおびさせていました。
著者の小学校時代、近所に立正佼成会の宗教施設を日常的に見ていたりしていたとか…
大学の授業で天理教の宗教施設に訪れ、感銘を受けたとか…
山岸会に所属していた時期があったりとか…
そうした記述には、通り一遍の解説とは違い熱を帯びたものを感じました。
また、ふんわりとしか知らなかった宗教団体の真如苑やPL教団などについても、簡略な説明でその宗教の特徴を捉えていて、単純に面白く読めました。
また、新宗教が甲子園野球に力を入れており、知らずに高校出場校を目にしていたりもしているということも知ることがでしました。
そういえば全くの個人的な感想なのですが、PL教団の高校であるPL学園出身の野球選手である桑田真澄や清原和博の野球に対する取り組みや言動など、PL出身ということとも関連するような気もしたりしました。
また、政治と新宗教との関係性についてや、新宗教の発展と社会の発展の関連性などの記述や分析なども大変興味深く読めました。
今回、この本と『浄土真宗はなぜ…』を読んで、日本の精神史、生活、家族関係に至るまで、かなり重要な要素を占める宗教について、あまりに知らなかったなあと…
どう教えるかとかの問題はあるにせよ、そりゃ突然知らないと色々と問題起きて来ると感じました。
※画像は、生成AIで作成しました。
https://www.gentosha.co.jp/book/detail/9784344980600/