質問039:ボールに早く反応してボレーを打つには?
回答
▶言語中枢vs.運動神経
結論から申し上げますと、頭の中で何も考えないことです。
これまでの『テニス無料メール問合せ』の回答例では、音読する時に意味を「考えながら」読むと、スピードが落ちるという話をしました(意味を考えずに、文字をただダーーーッと口に出すほうが、圧倒的に速い)※注1。
また、『テニス上達メモ』では、全力疾走する時に頭の中で簡単な算数の計算をしようとすると、タイムが落ちるというエピソードもご紹介した記事があります。
あるいは読者の方から、「携帯電話で歩きながら話している最中、込み入った話になるとつい、立ち止まってしまう」というご報告も受けています。
つまり、考えると言語中枢が働きますが、そうすると、運動神経の方に横やりを入れてしまい、テニスでいえばプレーに支障をきたすわけです。
▶「早く出さなきゃ」と考えるから「遅くなる」
ボレーもたとえば「ボールが飛んできたら横向きにならなきゃ!」「打点は体の前にしよう!」「ステップインしてボールを飛ばすぞ!」「大振りしないように気をつけなきゃ!」など、常識的なテニス指導ではさんざん言われますけれども、そういった諸々を頭の中で考えてしまうと、ボールのスピードに対してラケットを差し出すタイミングをアジャストさせにくくなります。
今回のご質問内容になぞらえますと、もちろん「ラケットを早く出さなきゃ」という注意も同様に横槍。
それでたとえ一時的に振り遅れが解消されたとしても、今度は不必要・不適切に早いだけの打ち急ぐエラーが生じます。
▶テニスでミスする「真因」
「ミスしたのはテイクバックを引きすぎたからだ」
「横を向いていないからだ」
「ボレーをふかすのは大振りしすぎるからだ」
常識的なテニス指導では、天文学的な数のミスする原因をあげつらいますけれども、テニスでミスする原因は、実はたったの2つしかありません。
ひとつは、打球タイミングが遅すぎる。
もうひとつは、打球タイミングが早すぎる。
コート上で生じるテニスのミスに関する原因は、たったこの2つだけに集約されるのです。
さらりと申し上げていますが、20世紀まではテニスでミスする原因とばかりに指名手配されてきたフォームに関するNGは、星の数ほど無数にあったのです。
それが、打球タイミングの「たった2つ」に集約されたのですから、「大発見」なのでした。
▶フォームについての指摘は「単なる感想」
「ラケットを大きく引きすぎている」「ヒザを曲げていない」「手首が伸びている」「肩が入っていない」等など今も散々言われますけれども、ラケットを大きく引いても、ヒザを曲げなくても、手首が伸びていても、肩が入っていなくても、上手く打てる人もいれば、上手く打てるケースもあります。
またそれらを守っても上手く打てない人もいれば、上手く打てないケースもあります。
つまりそういったフォームについての指摘は、テニスのミスに関する本質ではありません。
その時々の現象を表面的にとらえて、コーチが「個人的な感想」を述べているにすぎないのです。
▶いい加減が「良い加減」
では打球タイミングを上手く合わせるには、どうすればいいでしょうか?
繰り返しになりますが頭の中で何も考えずに、ただただボールに集中してプレーすると上手くいきます。
すなわち、飛んで来たボールに対して、体の反射反応に任せる。
こういうと、「そんないい加減な打ち方でいいの?」と、いぶかる向きもあるでしょう。
しかし実際、プロテニスプレーヤーやテニス上級者のプレーは、間違いなくこうなっています。
ですからロジャー・フェデラーは「5」のタイミングで打てるのです。
「ラケットを立ててテイクバックしなきゃ!」「左手をかざしてバランスを取るぞ!」などとは、一切何も考えていません。
そしてそれが最も上手くプレーする(最も早く上達する)ための秘訣でもあります。
スイングなんてテキトーで構わない。
そのスイングこそ、その状況にふさわしい「適当」になっています。
ただし、「現実に対するイメージのズレ」がある場合に限っては、体の反射反応に委ねると、体は誤った動き方をするからやはり打球タイミグはどうしても合いません。
▶注釈まとめ:世界最高レベルの学習法
※注1につきまして。
「読書」に関して、意味を考えながら読むのは、学習能率の観点から言ってもおすすめではありません(エンターテイメントの読書は、また別ですけれども)。
意味を考えながら読むと遅くなるため、「繰り返せる回数」が物理としての時間的な制限を受けるため、必然的に少なくなるからです。
1冊の教科書を、1年を通して学んでいるような学校の義務教育では、致命的に遅いのです。
日本史を縄文時代からじっくり学ぶと、近代にたどり着けないし、繰り返せないから、江戸時代あたりでは安土桃山時代についてすっかり忘れています。
かなりざっくりでいいから、意味を分かろうとしたりせずに、全体を読み通す。
それを、「何度も何度も繰り返す」。
「意味を理解せずに読み飛ばしていたら、勉強の意味がないじゃないか!」と思われるかもしれません。
いえ、意味が分からなくても繰り返していると、情報量(ストック)が増えて「どんどん分かるようになってくる」というのが、「KTK(高速大量回転)」の真髄でしょう。
「分かる」だけでなく、記憶として「定着」します。
逆に言えば、一度読んだだけではほとんど分からず、記憶にも定着しません。
ざっくり仕上げる「大局」から、緻密に作り込んでいく「小局」へ。
世界最高レベルの学習法は、小難しい話でも何でもなくて、「繰り返し・反復」です。
即効テニス上達のコツ TENNIS ZERO
(テニスゼロ)
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