テニス上達メモ119.「集中しろ」は「集中したくない」(副題:恋もお金も追えば逃げる)
▶「打ちたい」vs.「打たされる」
空間認知が正しければ、という前提は踏まえますけれども、自分が「今だ!」と感じる「打ちたい」瞬間のタイミング(打時)でボールをヒットすれば、ストロークであろうとサーブであろうとボレーであろうとリターンであろうと、ショットは成功します。
一方それが感じられずに「打たされる」感じ方になると、ショットはミスします。
こう言うと、「打ちたい」と感じるほうは、自分から働きかける能動的で、打たされるのは、そうではない受動的な印象かもしれません。
しかしそうではないのです。
まったくの逆で、自分から打とうと意識しなければ、「打ちたい」感覚が引き出される受動的。
一方、自分から打とうと能動的に働きかけると「打たされる」感じ方になるのです。
▶「やるな」と言われると「やりたくなる」
have toからwant toへ。
「打たなければ」ではなくて、「打ちたい」を感じるプレーをします。
極端な例でいうと、「やれ」と言われると能動的にやらなければならないから「やりたくない」のだけれど、「やるな」と言われると「やりたくなる」感覚が受動的に引き出されるのに似ています。
『インナーゲーム』にたとえると、セルフ1が「ああやれ」「こうしろ」などとセルフトークを発するほど、ポテンシャルを発揮するセルフ2は「やりたくなくなる」のです。
セルフ1がセルフトークを発しなくなると、セルフ2はのびのび「やりたくなる」のです。
▶恋愛もお金も「追う」と「逃げる」
こちらで述べているとおり、能動的に追えば、恋愛もお金も逃げていきます。
逆にそれらは逃げると寄ってくるというのが「受け身に秘められた真価」ですから、自ら能動的に頑張ってはいけないのです。
あるいは「押してダメなら引いてみる」。
この慣用句が逆の「引いてダメなら押してみる」ではないのは、やはり多くの場合、能動的に働きかけようとする(押す)から(宝箱の)扉が開かない教えなのだと思います。
そんなに頑張って押さなくても、スッと引けばサッと開く受け身的な姿勢にスイッチするのです。
▶「打とう」と意識しない
「打ちたい」が感じられたショットは、(速度と距離の閾値を超えない限り)ミスしません。
では打ちたいと「感じない」プレーヤーが「感じる」ためには、どうすればいいでしょうか?
能動的に打とうとしない「受け身の姿勢」でいるのです。
「打とう」とすら意識しないのですから、さらに「上手く打とう」などと意識すると、さらに「打ちたい」感覚は出てきません。
「やれ」と言われるのではなく「やるな」と言われるから「やりたくなる」のです。
▶ボールに「心を奪われる」
能動的に打とうとしない。
その上でボールに集中してください。
ただしこれも同じで、ボールに集中しようと能動的に働きかけて意識すると、それは集中ではありません。
他人から「集中しろ!」と言われると、集中したくなくなるのです。
それは本人が「集中しなきゃ!」と自分に言い聞かせて働きかけるセルフトークをしても同じこと。
能動的に集中状態に入ろうとするのではなくて、ボールの回転に心を奪われたら、いつの間にか集中状態に入ってしまう「受け身の姿勢」に任せます。
自ら入ろうとするのではなくて。
(宝箱の)扉のたとえと同様、打ちたい感覚を「押し出そう」とするのではく、打ちたい感覚は「引き出される」のです。
▶「集中しろ」は「したくない」
受け身というと、ややもすれば怠惰な印象かもしれませんけれども、能動的に集中しようとすればするほど「have to」の感じ方になってしまいます。
先生や親やコーチや顧問から「集中しろ!」と言われれば言われるほど、嫌になって集中できなくなった経験はないでしょうか?
それは「やれ」と言われるから「やりたくなくなる」のです。
そうではなくて、ボールの回転に目のピントを合わせていたら、集中しようとしなくても集中したくなる「want to」です。
もちろん、だからといって私から「集中するな」とまでは言いませんけれども、集中しようとすればするほど、集中できません。
ですが認識する対象に集中すると、「打ちたくなる」し、体が「動きたがる」のです。
▶「最後のワンピース」はどうしてもはめ込みたくなる
まさにこちらで述べた「パズルの最後のワンピース」です。
「ここしかない!」という感覚。
手を動かそうと能動的に意識しなくても、手はどうしても動きたがります。
パズルの場合は「場所」ですけれども、テニスの場合の「ここしかない!」は、「打時=時間(タイミング)」です。
「打たなきゃ」「打たされる」感じ方にはなりません。
回転するボールに身を委ねて「打ちたがる体」に任せると、ボールから入って来る情報の量と質とが上がるから、上手くテニスをプレーできるようになるのです。
即効テニス上達のコツ TENNIS ZERO
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