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質問117:自分の打ちたいところに、どんな体勢でも、自由自在に打てるようになるには?

自分の打ちたいところに、どんな体勢でも、自由自在に打てるようになるには、フォーム以外何を意識したらいいですか?

回答


▶フォームを意識すると「二重の意味でアウト」

自分の打ちたいところに、どんな体勢でも、自由自在に打てるようになるには

そんな芸当が本当に可能なのでしょうか?

十分可能です。

打つためのポイントを解説しつつ、最後に具体例もご紹介します。

まず「フォーム以外、何を意識したらいいか?」とありますが、フォームは意識し(てはいけ)ないというのは、これまでにもご説明しているとおりです。
 
フォームを意識すると、どんなに整った体勢でも、自分の打ちたいところに打てません。
 
それは、フォームを意識すると、ボールに集中できないから打球タイミングが合わなくなるためであり、またフォームを意識すると、動作がギクシャクするからでもあります。
 
自然界の動物というのは、「太ももを上げて走る」とか、「かかとから着地する」など、意識しながら走っているわけではありません
 
ですから動作がスムーズです。
 
私たち人間も自然界の動物ですから、意識して動くようにはできていないのです。
 
つまり常識的なテニス指導が教えるようなフォームを意識すると、「ボールに集中できない」「スムーズに動けない」の、二重の意味でアウトです。
 

▶「ノールック」で狙う


フォームは意識しないその上で、自分の打ちたいところに、どんな体勢でも自由自在に打てるようになるには、自分の狙うターゲット(コースや深さ)のイメージが、明確になっている必要があります。
 
テニスは、ボウリングや野球のピッチャーとは違って、狙うコースを見ながらボールをコントロールすることはできません。
 
ボールを打つときには、ボールを見ているからです。
 
脳に備わる弾道予測により、確かにインパクトまでは見なくてもボールは打てますけれども、狙うターゲットを見ながら正確にボールを打てるかというと、それは話が別です。
 
あくまでもボールを打つときにはボールに集中。
 
狙うターゲットに集中してしまうと、やはりボールはタイミングよく上手く打てないのです。
 
ですから、見なくても狙える「ターゲットについてのイメージ」が必要です。
 
いわゆるこちらでご説明している「ノールックショット」です。

何も今回ご質問いただいているようなケースばかりではありません。

テニスは、フォアハンドストロークも、バックボレーも、リターンも、サーブも、あらゆるショットを「ノールック」で打つのです。
 

▶「空間認知」「空間認識」能力の活用


ターゲットを見ずに狙う。

そのためにはどうすればいいかというと、物の形や位置関係などをイメージできる力を「空間認知」あるいは「空間認識」などと言いますけれども、この能力を育むと、ご質問の目標は達せられます。
 
何が、どの方向に、どれくらい離れた距離のところに、どんな形をして空間にあるのかが、イメージとして分かるかどうかです。
 
テニスで言えば、目をつぶって見なくても、目の前のコート上に展開するネットやラインのレイアウトがイメージできるかどうか、です。
 

▶「日本伝統」の遊びに光明

 
「空間認知能力」「空間認識能力」は、目を開いているよりも、閉じている状態のほうが活発に稼働することが知られています。
 
そのあたりに置いてある物を、目を閉じて見ずに手で取るなどの遊びを通じて、「空間認知能力」「空間認識能力」は鍛えられます。
 
こちらでも取り上げましたけれども、目隠しして行う「福笑い」などといった日本伝統の遊びには、能力を育むエッセンスが盛り込まれていました
 
スイカ割り」はまさに空間認知能力が試されますけれども、ほかにも「あやとり」「コマ回し」「凧揚げ」なども、空間認知に限らずさまざまな能力開発に寄与していたでしょう。
 

▶「棒の持ち方」なんて何だって当たる


あるいは、目を閉じてターゲットへ目がけて投げたボールを、リリース直後に目を見開いてイメージどおりに飛んだかどうかを確認してみるのもおもしろいと思います。
 
狙うターゲットのコースや深さを変えたり、あるいは横を向いて投げる、後ろ向きから投げるなど、投げる体の向き(ここで言う体勢)を変えたりすると、より高度な空間認知、空間認識のトレーニングができます。

たとえばギリギリ届いた高さのハイバックボレーなどは、後ろ向きになってなお狙える空間認知が試されそうですね。

念のためスイカ割りについてさらっておくと、空間認知が正しければスクエアスタンスであろうとクローズドスタンスであろうと、グリップがコンチネンタルであろうとウエスタンであろうと、棒の振り下ろし方(フォーム)など何も意識しなくても、当たるものは当たるのです。

テニスの場合は、ただ打つ対象が動いているという違いがあるだけです。

▶「股抜き」はノールックの代表例

自分の打ちたいところに、どんな体勢でも、自由自在に打てるようになる

 本当にそんな芸当が可能なのでしょうか?

例を挙げれば枚挙にいとまがありません。
 
その具体例は、たとえば飛ばす方向に対して後ろを向きながら打ち返す「股抜きショット」。

体勢は確かに、「テニススクールで習うお手本」と違って、お世辞にも褒められたフォームではないかもしれないけれど、打つターゲットを見ずにコントロールする分かりやすい「ノールックショット」であり、まさに空間認知能力、空間認識能力の成せる業です。

ちなみに股抜きは英語で「Tweener(トゥイナー)」。
 
両足のBetweenから打ち返すPlayerに由来。
 
またその昔バボラのラケットに、トップでもなくビギナーでもない中間層「トゥイナー」向けの『ドライブZ』というシリーズもありましたね。

「トゥイナーつながり」ということでご紹介まで。

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(テニスゼロ)
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