テニス上達メモ011.秘儀「こんにゃく打法」のススメ。「力を抜くことにより生じる力」の活用法
▶欲と怒りが力ませる
ムダな力みは必要ない。
必要ないどころか筋緊張を招いてしまってスイングするうえで逆効果。
多くの人が頭では理解しています。
だけどつい力んでしまうのは、心が欲と怒りに染まるから。
心の力みと体の力みが、連動しています。
心も体も力んで緊張すると硬くなるから、大事な「心身の柔軟性」が損なわれます。
▶しなやかで、軽快で、快速の操作
スマホのタッチ画面が反応しにくいとき、ついいたずらに力を入れて、ギュウギュウと押してみたり、バンバンとタップしてみたりしがち。
そんなとき「ちゃんと動いてほしい!」と欲望していたり、「何で反応しないんだ!」と怒っていたりするのです。
欲や怒りがなければ、体はギュウギュウしたり、バンバンしたりは、しません。
本来は軽く「触れる」程度で十分でしょう。
「グリップもそんなふうに扱ってみては?」というご提案。
しなやかで、軽快で、快速の操作は、心身に力みのない状態により生まれます。
▶スイングを力強くするための「逆転発想」
テニスも同じです。
たとえばこぶしをフリーにした状態の前腕を反対の手で触れると、柔らかい。
次にこぶしを握った状態の前腕を反対の手で触ると、硬い。
だからラケットを握り込むとこんなに硬く緊張するから、グリップは「触れる」程度にして、柔軟性を損なわないようにします。
力が入って体の一部分だけが硬くなるのに比べて、全身が柔らかい状態だと、手・足・体幹の連動性が上がって、大きな力が生まれます。
つまり、スイングが力強くなるのです。
これが「力を抜くことにより生じる力」です。
▶秘儀「こんにゃく打法」!?
特に力みやすいのは、腕です。
最も操作しやすい部位ゆえ、最も力を入れてしまいやすいのです。
さて、どうやって腕の力みを取るか?
繰り返しになりますが、グリップは「握る」のではなく、「触れる」程度にする。
そのためには、まずは「強く打ちたい欲」をなくした、名づけて「こんにゃく打法」の練習をします。
※練習です。力を抜くことを「意識」すると、ボールに集中できなくなるから、練習として打ち損じてもいい前提で経験します。
つまり、「球威・球速は一切お構いなし!」で、体(グリップ)を、こんにゃくのごとく「ヘロヘロに緩めた状態」でラリー練習をする。
すると、案外いいボールがいく可能性に気づきます。
腕に力を入れていないにも関わらず(入れていないからこそ)、全身が連動し、大きな力が生まれます。
プレーヤー本人には、力を入れている意識はありません。
にも関わらず、飛び出すボールは案外力強いのです。
▶サッカーのゴールポストも、「みんなで運べば重くない!」
なぜ、「こんにゃく打法」で案外いいボールがいくのか?
今までの、おもには腕の力で頑張ってスイングしていたのに比して、先述したように、全身が連動を始めるからです。
これに関して(うる覚えですが)、元読売巨人軍・桑田真澄投手は「一人だけでは大きな力は出せないけれど、みんなで力を合わせれば、大きな力を出せる」といっ話を、自身の著作にて記していました。
学生時代、サッカーのゴールポストを「みんなで移動」させた経験はないでしょうか?
ひとりでは、とても動かせないサイズ&重量のゴールポスト。
それがみんなで力を合わせれば、ほとんど力を入れなくても、ラクに動かせた記憶がきっとあると思います。
なかにはサボって、「運ぶフリ」をしていただけのズルいヤツもいたでしょう(笑)。
テニスのスイングも、あのような感じ。
頑張ってはいけません。
腕だけに負担を強いるのではなく、みんなで力を合わせる全身が使えるようになると、ほとんど力を入れなくても、ラクに大きな力が出せるのです。
「いらない」といったら語弊がありますけれども、テニスは力のいらないスポーツです。
▶手首やヒジを痛めるプレーヤーにも「朗報」
また腕だけに頼らず、全身を使うスイングに改まれば、手首やヒジに及ぶ負担も少なくなります。
つまりアマチュアプレーヤーが痛めやすい、手首やヒジの具体的な故障防止策にもなる。
換言すれば、手首やヒジを故障しやすいプレーヤーは、スイングが、腕の筋力に頼りすぎていると疑われます。
酷使する直接的なダメージ以外にも、力んだ状態でボールの打球衝撃を受けると、エネルギーの逃げ場がなくて、手首やヒジへ諸に負担が及ぶ間接的に負う傷害にも発展しかねません。
力みが抜けた柔らかな状態で打球すると、衝撃が上手く吸収されて、跳ね返すエネルギーとして再利用されるから、なおのこと脱力がいいボールを生み出す原動力となるのです。
▶腕の力が抜けると、ラケットの「重み」を感じられるようにもなる
そればかりではありません。
腕の力が抜けると、重力に筋力で逆らわないから、ラケットの重みを体で感じられるようになります。
すると、スイング中にラケットがどこにあるのかの空間認知が、体感値として正確になるのです。
腕でラケットを操作しようとする感じではなく、腕がラケットに導かれて、自然に操作されるイメージ。
これは、実際に「こんにゃく打法」をやってみると分かります。
腕の力だけで頑張っていたのに比して、ラケットの加速や重みをボールへダイレクトに伝えられるので、プレーヤー本人は頑張らなくても、ラケットがボールをドーンと気持ちよく飛ばしてくれます。
▶フォームを意識するのも、力んでしまう原因
最後にとりわけ強調したいのは、フォームを矯正しようとすると、意識する部位に「力み」が生じます。
無意識の動作に、意識の操作を加えるのですから、筋肉の緊張が生じるのです。
逆に言えば、フォームを意識しなければしないほど、矯正しなければしないほど、力みが取れて全身が連動し、力がみなぎります。
「力を抜くことにより生じる力」。
つい、力を入れたほうが、スイングはパワフルになると思いがちではないでしょうか。
しかし現実はその逆で、力を抜けばスイングは自ずとパワフルになるのです。
▶追伸・「自己肯定感を高める」メンタルトレーニング
力みの根本原因であるところの「欲」と「怒り」を薄めるための、日々のメンタルトレーニング(自己肯定感を高める「ありのままの自他に対するリスペクト」)も大事です。
また繰り返しになりますが「こんにゃく打法」は、脱力を「意識」するので、あくまでも練習として行ってください。試合本番では、脱力を「意識」するのではなく、ボールに「集中」することが上手くプレーするうえで優先されます。
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