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BМ COLUMN009:「逃げる」というカードは、かなり強い



▶「7分!?」

 
本田圭佑がサッカーのカタール・ワールドカップの解説で連呼し、話題になりました。
 
強豪スペインにリードして入った7分のアディショナルタイム。

逃げ切れば勝てるというシチュエーションです。
 
まさに正論ではないでしょうか。
 

▶「逃げる」はポジティブな選択


逃げるというとネガティブに捉える人も少なくありませんが、状況によってはポジティブな選択です。
 
逃げる手段は何でも構いません。

人によって違うでしょうけれども、とにかく自分にとって得意な逃げる手段を駆使して、できるだけ早く逃げ切ればいいのです。
 
テニスで言えば集中持続力が高いプレーヤーであれば、対戦相手の集中力がそのうち切れるのを待っていれば、逃げ切れます
 

▶逃げは「戦術」


アディショナルタイムに入ってリードしているのに、何も攻撃的に挑むサッカーをする必要はありません。
 
大きくクリアしたりパスをつないだりして、逃げ切る可能性を高めれば、勝利が転がり込むのは文字どおりあとは「時間の問題」です。
 
逃げると言うと「負け」みたいで恥ずかしいと思うならば、「かわす」と言い換えてもよいでしょう。
 
かわすとは辞書を引くと「巧みに避けて逃れる」とあります。

巧みな「戦術」です。
 

▶テニスは「時間制限」がないスポーツ


ただしテニスが、サッカーあるいはバスケットボールなどと決定的に違うのは、「時間制限」がない競技ルール。

ナイトセッションのあるグランドスラムなどは、日付をまたいで続けられる試合も少なくありません。

なので前半リードしていても、集中持続力が途絶えてしまえば、逆転されてしまいます。

一方、前半リードしていても、集中持続力が最後までキープできれば、対戦相手の集中力が落ちるのを待って逆転できます

▶「苦手」からは「逃げるが勝ち」


苦手な人間関係があれば、逃げるのも「幸せに生きる戦略のための合理的な戦術」です。

逃げ(られ)ないのは、「自分は弱くない」と思いたい「プライド」ゆえではないでしょうか?
 
それを捨てて逃げれば、楽です、楽勝です。

人間ですから、合う・合わないがあるのは、当然だからです
 
おすすめするのは、実際に「楽になれた」ご報告をいただきましたとおり、物理的な距離を取ること。

▶「合わない」相手とは「会わない」


意志の力で「耐える」のではなく、気の合わない相手とは会わない、会う機会を減らす、会う時間を1秒でも短くする。
 
親しそうに振る舞おうと、逃げずに「挑む」のは、反りの合わない刀と鞘を、力づくでねじ曲げて合わせるようなもの。

どちらかが、あるいは両方とも、壊れてしまいます。

会わずにいると諸行無常ですから、そのうち「気に食わない」とも「嫌」とも、何とも思わなくなります。

逃げれば戦わずして、「誰も傷つけず」に勝てるのです。

▶人生は「死」から逃げ続けるゲーム


人生がそもそも、「死なない」ことから逃げ続けているようなものです。

食べたり、息をしたり、寝たりしないと死ぬから、食べたり、息をしたり、寝たりして、死を「避けている」のです。
 
自然界の動物が食事をするのは、美味しい料理を楽しむためではなく、「死なない」ためです。

それが証拠にまさか、味気ないからといって馬が「草にドレッシングを」などと要求しません。

また満腹なのに美味しいからといって必要以上に食べたりもしないのです。

▶挑むのは「自分の得意分野」で


もちろん状況によっては、「挑む」ことも必要でしょう。

それは自分の得意分野で、活躍できるフィールドで、どんどん挑めばよいのです。

人間ですから、遺伝子レベルの差はなくても、育ってきた環境により得意不得意があるのは当然だからです

勝てないのは、努力が足りないからじゃない」 

いずれにしても「逃げる=悪」という刷り込みにとらわれるのは危険。

ナイフを持った素人相手には、プロであっても素手で立ち向かわず逃げろと教えるのは、危機管理のスペシャリスト田村装備開発の田村忠嗣代表

もちろん状況やバランスしだいではあるけれど、「逃げてはいけない」というのは正義感を押しつけるバイアスにすぎません。
 
「逃げる=悪」というのは、現実に対するイメージのズレです。

その基準を扱うのが、『テニス・ベースメソッド』のテーマであり、テニスと同様にそれがズレていると、「苦しい」思いをするのです。
 

▶逃げないのは「プライドが高い」から


プライドが高い人ほど逃げ(られ)ません。

人目や評価、世間体を気にするからです。
 
「逃げるなんて卑怯だ!」と思う人もいるかもしれません。

それが正義感の押しつけです。
 
なぜならそういう人でもアディショナルタイムに入ったスペイン戦、「逃げ切ればいい」とほとんどの日本国民が、願ったはずだからです。
 
逃げるというカードは、「かなり強い」

巧みにかわす「戦術」です。

そして多くの人が抱く一般的な印象に反して、プライドの高さと自己肯定感の高さは反比例の相関。

こちらでも述べているとおり、自己肯定感が低いと自分では逃げ切れないから、「退職代行」に頼らざるをえなくなったりします(それもアリだと思います)。
 

▶「自分の寿命」はあとどれくらい?


自分の寿命は、あとどれくらいか分かりません。

「7分!?」かもしれないし、「7年!?」くらいかもしれません。
 
「苦しい」思いをしているならば、逃げるのを、ためらっている時間はありません。

中国の『南斉書』は「三十六計逃げるに如かず」を伝え、「困ったときには、逃げるのが最良の策である」と説きます。
 
逃げたあかつきに、自分に合う、ふさわしい、身の丈どおりの、人間関係や、職場や、居場所や、勝利が、待ち構えています。
 
そこでとことん、「挑めばいい」のです。

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(テニスゼロ)
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