質問057:フラットドライブが入らない。どんな感じで打てばいい?
回答
▶「回転」をよく見る
フラットドライブも、トップスピンも、スライスも、すべて感覚(フィーリング)で球種を打ち分けます。
フラットドライブが高い確率で入るようにするには、フォームや打ち方などの身体動作を意識するのではなく、フラットドライブの弾道イメージを、脳裏に焼き付ける体験学習が有効です。
そのためには、ご自身が打ったフラットドライブの回転を、よく見る。
回転を見ていれば、どのくらいの高さをとおり、どのあたりで落ち始め出して、どこに着地し、着地したらどこまで跳ねるかが分かります。
この集中して見る体験が大切です。
▶「見るだけ」で構わない
ここでの注意点は、「見るだけで構わない」ということ。
バリエーションとして、聞いたり、手応えを感じたりするといった練習もしますが、差し当たっては「見るだけ」で結構です。
何かを分析したり、修正したり、浅かったから深く飛ばそうとか、そういう「思考」は一切しないでください(運動は、五感を通じてでしか上達しないご説明は後述)。
「低かったから、高く飛ばそう」
「飛ばしすぎたから、浅く打とう」
そう考えがちかもしれません。
しかしそう考えて「できる」のならば、テニスに「苦労はない」のです。
▶ジョコビッチだって未だに「ネットミス」する
だってそうでしょう?
ネットミスしないように高くしようと考えて、実際に一切のネットミスをなくせるならば、グランドスラムを獲れます。
ですがノバク・ジョコビッチだって、未だにネットミスします。
考えるとおりにできるならば、テニスほど単純なスポーツはありません。
「ネットミスしないように高く打とう」
「バックアウトしないように浅く打とう」
「そうして相手コートに返し続けよう」と考えて、それができるならば、世界1位です。
打ち方や振り方、そしてコントロールなど、いくら頭で考えたって、できるようにはなりません。
運動は「五感を通じてでしか上達しない」のです。
▶考えると「体験学習」にならない
そこに、思考の関与は不要。
不要どころか思考を働かせると、五感の感受性が下がりますから、上達のジャマにすらなります。
要するに、見えにくくなったり、聞こえにくくなったり、感じにくくなったりするから、体験学習の「質が落ちる」というわけです(※注1)。
自転車に乗るのだって、そうではないでしょうか?
「どうやってバランスを取るか」など、考えながら乗っていないはずです。
そしてかつての天才少女であり今のレジェンドであるマルチナ・ヒンギスは「テニスは自転車に乗るようなものよ!」と言ったのでした。
何か考え事をしながら乗ると、障害物の視認がおろそかになったり、周囲の音が聞こえにくくなったりして、事故を起こす危険性のほうが高いのです。
自転車に乗れるようになる過程でも、目で見たり、耳で聞いたり、体で感じたりと、五感を通じて得たイメージを脳裏に焼き付ける体験学習を通じてフィーリングの獲得が、無意識的になされています。
ですから乗れるようになった当初だと、たとえば「耳栓」をしながら自転車に乗ると、走行が不安定になるはずです。
また心理的にも不安を感じるかもしれません。
それは、自転車に乗れるようになる過程で獲得した聴覚から得た情報を、使えなくなるからです。
もっといえば「目隠し」しながらだと、ほぼ、まともに乗れないはず。
恐怖心すら、覚えるかもしれません。
▶豚肉団子「ムーデン」の自然上達
頭で考えなくても体験を通じて、体は勝手に学ぶのです。
『インナーゲーム』シリーズでいう「自然上達」が起こるのです。
豚肉団子のコビトカバ「ムーデン」が世界中で人気ですが、著者のティモシー・ガルウェイによると母カバが子カバに泳ぎ方を「教えない」から泳げるようになると説く(参考記事:カバの母さん賢い母さん、教えずに泳がせる)。
https://www.youtube.com/watch?v=BfRrlpFgN-A
それと同じようにテニスでも、体は勝手に、ご自身のイメージに基づくフラットドライブの打ち方を「自修」します。
その前提として正確・鮮明なイメージづくりが大切というわけですね。
ですから、ほかのことは差し置いて、まずは「見るだけで構わない」のです。
「どんな感じで打てばいい?」のご質問にお応えするならば、「打ち方は、このようにして体が勝手に学ぶから、意識しないでください」となるでしょう。
このとき思考がジャマをすると、体による自修能力が下がり、上手くいかないあげく、いつまでも何かを考えながらプレーするテニスになりかねない(大抵はなる)ので、要注意なのですね。
「なぜ入らないんだ?」
「打点が低すぎるのか?」
「そのせいで、ボールのこすり方が弱いのか?」などと、「考え続けてしまう」。
▶「入るように」できている
最後にひとつ、実は今回の肝となる部分なのですが、こういうと多くの人が、ショットの弾道イメージを頭で想像しながら、打とうとしがちです。
だけどこれでは、なかなか上手くいきません。
なぜなら打つときに、これから打とうとする未来のショット(フラットドライブ)をイメージすると、今飛んできているリアルタイムの(相手から打たれた)ボールの回転に、集中できなくなるからです。
結果、打球タイミングも合わなくなるから、フラットドライブにならない。
そのせいで、飛んで行くフラットドライブの安定的な弾道イメージ情報も得にくくなってしまう悪循環を招いてしまいます。
テニスコートに展開する各ラインの位置や、ネットの高さなどの空間認知がどのポジションからでも正しく形成されていて、打球タイミングが「今だ!」とご自身が感じるドンピシャの瞬間(打時)に合ってさえいれば、ショットというのは必ず、「相手コートに入るようにできている」のです。
ですからこれから打とうとするときに、頭のなかでこれから打とうとするショットのイメージを、しないでください。
▶運動は「五感」で上達する
繰り返しになりますが「見るだけで構わない」が、初歩的なイメージづくりには最速(もっと多面的にイメージを構築するにはそのうえで、聞いたり、手ごたえを感じたりのバリエーションを試せばいいだけです)。
五感を通じてでしか、運動は上達しないのです。
▶おまけ・※注1について「子どもの上達スピードが速い理由」
※注1
子どもの運動学習能力が、大人に比べて高いのは、「考える思考能力がまだ低い」ため、相対的に「感受性が高い」から。
大人になってから、自転車に乗れるようになるのに苦労するのは、そのせい。
考えなければ、運動はみるみる上達するのです!
即効テニス上達のコツ TENNIS ZERO
(テニスゼロ)
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