質問1545:下手の横好きで困っている
▶「フォームのリフォーム」を繰り返すと駄目になりやすい
フォアハンドストロークは、スクールなどでも多くの場合最初に習うショットなので、仰せのとおり基本といえば基本なのですけれども、人によっては最も悩みを深めやすく、どんどん「フォームのリフォーム」を繰り返して、シェークスピアが言うように「さらに良くしようとして、良いものを駄目にしてしまうことが多い」ケースが少なくないように散見されます。
一方ご自身が当てはまるかどうかは分かりかねますけれども、たとえばバックハンドスライスなどは、打ち方を何も習わなくても(習わないから)、フォームなど一切意識しなくても(意識しないから)、打てるようになるプレーヤーも少なくありません。
▶スピンを「かけない」ほうが難しい
スピンをかけるにあたっては、常識的なテニス指導に習い、ラケットを下から上へ振り上げるように意識されているのではないでしょうか?
しかしこれも『テニス・ベースメソッド』というテキストで述べていますけれども、前方から飛んで来るボールに対して、下から上へラケットを振り上げてボールをタイミングよく捕えるのは、簡単ではありません。
テニスがハードモード設定になります。
下から上ではなく、フラット気味の後ろから前へ振り抜くスイングで構いませんので、ボールをタイミングよく捕えれば、回転量の差はあれど、スピンはかかります。
むしろ回転をまったくかけずに打つ「無回転」のほうが、難しいくらいです。
▶ラケット面が開くとスピンにはならない
ただしインパクトしたラケット面はボールに押されますので(ですからインパクトした瞬間にギュッしても無力)、フォアハンドストロークのインパクト時で言えば、ラケット面の上のほう(時計の文字盤にたとえると3時方向)で打ってしまうと、押された面が上向きに開いてスピンにはなりません。
この点にだけ注意して、なるべくラケット面の真ん中か、わずかに芯を外したとしてもラケット面の下側(9時方向)で打てれば、スピンのかかる可能性が出てきます。
▶ボールに集中してもタイミングが合わない理由
ただし先述したとおり、「ボールをタイミングよく捕えられれば」です。
それができないのは多くの場合、「現実に対するイメージのズレ」があるからです。
多くは、ボールがこれくらい飛んで来るだろうとイメージしている「距離感」と、実際に飛んで来るボールとの「距離」が合っていない。
現実に対してイメージが、浅すぎたり深すぎたりしているケースが多いようです。
このイメージのズレを書き換えないことには、どんなにボールをよく見て集中してみても、タイミングは合わないのです。
そうすると、大きな網の目のついたラケットで打ち返すだけなのに、あんなに広い相手コートに、不思議なくらいボールが返りません(関連記事「どうして広い相手コートに入らないのか?」)。
「自分にはイメージのズレなんてない」と思っていても、タイミングが合わないのだとしたら、やっぱり「ある」のです。
この点に関して『テニス・ベースメソッド』を学んでいただくと、一発で改善します。
▶グリップは分からなくていいから「しっくりくる感覚」で持つ
グリップは握り方は、頭で分からなくて構いません。
それは体で感じる「感覚」ですから、言葉にできないものであり、自己否定せずご自身が「しっくりくる」ありのままの持ち方を受け入れるのがベストです。
▶自分の体なのに、案外イメージどおりに操れない
ボレーに関しては、こちら百獣の王こと武井壮氏の実験をご参照ください。
つまり自分がここにラケットを構えているとイメージしている高さと、実際の高さとが、あるいは遠さや近さが、ズレていると疑われます。
鏡などに映して一度(何度も)ご確認してみてください。
案外、自分の体なのに、自分のイメージどおりに動かせないのですよ。
しかしイメージが書き換われば、フォームなどは意識しなくても、自然とボールに対して適切な動作となって現れます。
▶スクールが割高なのは「致し方なし」
スクールが割高なのは人件費や設備維持費、宣伝広告費などを賄うために、致し方ない側面もあります。
とはいえ、自分でテニスコートを予約せずに済むし、また練習相手を探さなくても、行けばいてくれたりする。
ボールも自分で買わなくてすみますけれども、ボールローテーション(入れ替え)は頻繁に行なっているスクールだとありがたいですよね。
というのもボールの劣化が先述した「現実に対するイメージのズレ」を作ってしまうからです(関連記事「打ちやすい打点に入るための「プライオリティワン」)。
ですから試合に出てニューボールを打つと、硬くて飛びすぎるなどという声もささやかれますけれども、あれはそうではなくて、「イメージがズレている」ために、打球タイミングが合わないから飛びすぎたり(あるいはネットミスしたり)するのです(関連記事「ニューボールが飛びすぎる『本当の理由』」)。
▶テニスはラリーが続くほど楽しく感じられるスポーツ
下手の横好きとはいえ、テニスは下手なままだと、顔では笑っていても辛いスポーツです(関連記事「テニスは『残酷』」)。
試合はポイントを取るためにラリーをクローズする必要がありますけれども、テニスの楽しみは、ラリーが続けば続くほど感じられると思います(
関連記事「ボールを見るのは何のため?(テニスの神様による粋な計らい)」)
たとえ好きではなくても、楽しめるのがいちばんです。
ページトップのおじさんの絵は、下手かもしれないけれど、笑顔で楽しんでいるから味がある「ヘタウマ」。
あたかもそれと同じように、テニスのフォームはたとえ個性的であったとしても、上手くなることができる道はあるのです。
今回の回答は以上となります。
また何かありましたらご連絡いただけけばと思います。
即効テニス上達のコツ TENNIS ZERO
(テニスゼロ)
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スポーツ教育にはびこる「フォーム指導」のあり方を是正し、「イメージ」と「集中力」を以ってドラマチックな上達を図る情報提供。従来のウェブ版を改め、最新の研究成果を大幅に加筆した「note版アップデートエディション」です 。https://twitter.com/tenniszero