テニス上達メモ128.ラケット面の「上向き」「下向き」がミスの原因?
▶ラケット面の向き、意識していますか?
ストロークが安定しないというプレーヤーにご質問。
「ラケット面の向きをちゃんと意識していますか?」
意地悪な質問でしたね。
「はい」と答えた方、残念ながら、それではストロークは安定しません。
バックアウトをしたのは、「今のはラケット面が上を向いていたからだ」
ネットミスをしたのは、「今のはラケット面が下を向いていたからだ」
こういうふうに考える。
実はこのラケット面の向きを注意するというのが、ストロークが安定しない原因です。
▶ラケット面の向きを「調整」しようとしてしまう
確かに、インパクト時にラケット面が上を向いていたら、バックアウトしやすくなります。
下を向いていたら、ネットミスしやすくなります。
だからインパクト時に、ラケット面を地面に対して垂直に調整しようと意識します。
バックアウトしたら、「今のはラケット面が上を向いていたから、次はもう少し下向きに調整しよう」
ネットミスをしたら、「今のは面が下を向いていたから、次はもう少し上向きに調整しよう」と注意します。
「現象」だけ見れば確かにそのとおりなのですけれども、「本質」は違うのです。
▶ラケット面の向きを注意すると「ミスする」
確かにインパクト時のラケット面の向きによって、バックアウトやネットミスが引き起こされています。
だからといってラケット面の向きに注意を払うと、ストロークは安定しないのです。
ミスする原因はラケット面の向き(にありそう)なのに、ラケット面の向きに注意を払うとミスするのです。
一体どういうことでしょうか?
▶ラケット面の向きは刻一刻と変化し続ける
ラケット面の向きは、スイング中に一定ではなく、刻一刻と変化します。
どんなに並進運動させて垂直を保ち続けようとしても、スイングするとラケット面の向きは変わります。
また並進運動しようとすればするほど、ラケットをしっかり振り切れなくなります。
ラケット面の変化の仕方や変化量を頭で考えて、打点で地面に対して垂直の角度を合わせようとする意識的な操作は不可能。
にも関わらず、手首を固めてラケット面を垂直にセットする」「ボール2個分押して垂直な時間を長くする」などという具合に、頭で考えてラケット面を合わせる作業を手元でやってしまうから、余計に安定させられなくなるのです。
確かにプロの連続写真の1コマを見ると、インパクトで手首を固めているようにも見えます。
しかしそれは「静止画」ですから、そう見えるのは当たり前なのです。
静止画が動いて見えたら、逆に怖いのです(参考記事:フォーム解説は「間違えないから騙される」)
▶ラケット面の向きは「原因」ではなく「結果」
上向きのラケット面でインパクトすればバックアウトする。
下向きのラケット面でインパクトすればネットミスする。
それは確かなのだけれど、だとしてもインパクトで地面に対して垂直のラケット面を意識的な操作で作れないのだとしたら、一体どうすればいいでしょうか?
合わせなければいけないのは、ラケット面の向きではなかったのです。
それは実は「原因」ではなくて「結果」だったのです。
ストロークを安定させるうえで本当に合わせなければいけないのは、「打球タイミング」だったのです。
打球タイミングがズレた「結果」、インパクトでラケット面が上を向いたり下を向いたりするし、打球タイミングが合った結果、地面に対して垂直のラケット面が瞬間的にセットされます。
▶打球タイミングは「感じる」もの
ラケット面の向きは刻一刻と変化していると書きましたが、スイング中に垂直になる局面が、一瞬ある。
そのタイミングでボールを捕えるようにするというのが、ストロークを安定させる技術です。
そして打球タイミングというのは、頭で考えて合わせるものではありません。
フォームを矯正すればどうにか合うというものではないのです。
あくまでも感覚。
食べたことのない食事の味を頭で考えても絶対に分からないのと同じように、打球タイミングも考えても分からず、「感じる」しかありません。
ラケット面の向きを意識するか、打球タイミングを感覚的に合わせるか、どちらもインパクトで地面に対して垂直のラケット面を作る「目的」は同じですが、その「結果」は雲泥の差となって表れます。
▶打球タイミングが合う「原因」がナイスショットの「結果」を導く
打球タイミングが合えば、ラケット面は自然に合う。
だからボールに集中してさえいればよい。
するとショットが安定する「結果」が手に入ります。
結果はあとからついてくる、というよりも、ボールに集中していれば、リアルタイムで打球タイミングが合い、ラケット面が合い、ショットが成功する結果が出ます。
ボールに集中。
あとは「人事を尽くして天命を待て」。
逆に言えば、「手首を固めてラケット面を垂直にセットする」「ボール2個分押して垂直な時間を長くする」などと意識してしまうと、ボールに集中できませんから、打球タイミングが合わない、すなわちインパクト時に、ラケット面が上を向いたり下を向いたりします。
ラケット面が上を向いたり下を向いたりした状態でボールを打ってしまうのは、あくまでも打球タイミングがズレた「結果」。
逆に言えばショットを安定させる「原因」ではありませんので、意識してもストロークが上達するわけでは決してないのです。
むしろ並進運動や手首のロック、押すスイングを意識すると、「今だ!」の時打が感じられずスパッと振り切れなくなって、打球タイミングを外すミスショットの「原因」作りに加担しかねません。
私たちは、「原因」と「結果」をよく取り違えます。
問題の原因は、ラケット面が上を向くか下を向くかの「フォーム」にあるわけではないのです。
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