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テニス上達メモ051.テニスは「天然さん」だと上手くいく!


▶錦織圭もイチローも、フォーム改造に「ノー」


「天然」という言葉について辞書を紐解くと、「人力が加わっていない自然のままの状態」とあります。

たとえば錦織圭や大坂なおみ、「自然体」ですよね。

いい意味の天然キャラです。

錦織はジュニア時代、「飛び跳ねて打つな!」みたいな指導を、当時のコーチから受けたけれど、そんなの無視して(スルー力)ピョンピョン跳ねながら打っていたのが、「エアK」の起源という話を聞いたことがあります。

https://www.youtube.com/watch?v=5B9nRePiRMo

テニスに限らずイチローも、中学の野球部入部にあたって「フォームはいじらない」条件を父親が監督と交渉し、チーム加入に至りました。

それが、将来的な(個性的な)「振り子打法」に通じたのです。

一軍打撃コーチはイチローがファームにいた頃にもイチローの父親へ打撃改造を相談して断られている(鈴木宣之著『イチローとわが家ほんとうの話』)

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%8C%AF%E3%82%8A%E5%AD%90%E6%89%93%E6%B3%95#cite_note-16

https://youtu.be/YSwClQJkNcI

▶錦織圭もイチローも「本物の素直」


まさにフォームについて、「人の力が加わっていない自然のままの状態」

素のまま真っ直ぐな、本物の「素直」です(偽物の素直はこちら)。

一方、フォーム矯正から入る今の常識的なテニス指導は、言ってみれば「不自然体」です。

テニス雑誌や実用書などの本から情報を得ようとする、スポーツを頭で学習するタイプ。

運動なのですから、頭で理解するのではなく、体で身につける「自然」なはずなのに……。

そういったタイプについて、ここでは「天然さん」に対する「人工さん」と名付けます。

人工さんは頭で理解しようとするから、つい考えてしまう。

机上の空論や理屈のバーチャルが先行し、現実のリアルなスポーツ現場に、そぐいにくいのです。

※この先も、「天然さん」「人工さん」とそれぞれを呼称しますが、蔑視する意図ではなく、単にタイプの区別をイメージしやすいようにした表現上の工夫です。

▶あんたはサンプラスか


天然さんの言い分はこうです。

たとえば私がいくら、ウイルソン『プロスタッフ』のセントヴィンセント製と中国製の違いを論じてみても、天然さんに言わせれば「使ってみてイイほうがイイ」という。

「いやいや、何が違うって、ピート・サンプラスは『フィールが違う』って言ったんだ」。

こう説明するも、「あんたはサンプラスか」とツッコミもすげない……。

まぁ、今どきセントヴィンセントを、コレクションする需要はあるとしても、実用する人はめったにいないと思いますけれども。

▶錦織圭も大坂なおみも、自分のグリップを「知らない」


技術論にしても同様で、「キネティックチェーンによるパワー伝達がバイオメカニクスとして有効で、下半身で得たスイングの原動力が腰の回転を始動させると……」などと人工さんは理屈を語る。

ボスに言わせれば、「難しい言葉に満足する人たちなのでしょう。
『きみのお金は誰のため』(田内学著・斉藤範子ナレーション・東洋経済新報社刊)

だけど天然さんに言わせれば、「いい球打てたら、それでええやん」という話のようなのです。

錦織のジャックナイフについて、次のような解説がなされます。
(※ジャックナイフは日本に限った呼称。英語ではThe Jumping two-handed backhand)。

「(右利きの場合)右足で踏み切ってジャンプし、空中では左足を後方へ蹴る。そうすればキックする反動を利用して、前方へ腕を振り出すスイングエネルギーを得ることができる」などと……。

「このときのグリップは、右手はフォアイースタン、左手はセミウエスタン程度の厚さである」などと……。

だけどやっている天然さんの錦織自身は、右足で踏み切るとか、左足を後方へ蹴るとか、その反動を利用して腕をスイングするとか、そんなこと、まったく「意識」していませんからね。

自分の握っているグリップ名なんかも、錦織自身は、「知りもしない」のです。

それは、大坂なおみも同様に。

https://www.youtube.com/watch?v=41KqSIKNdTM

▶だからフォーム解説に「騙される」


ジャックナイフの場合、ボールに集中していれば体が勝手に動き、高い打点に対してジャンプしながら打つスイングが、「無意識」の動作として現れているのです。

ええ、人工さんの言ってる内容は、確かに正論です。

フォームの説明自体は、間違っていません。

ただしそれが、実践の場で使えるかどうかは、別の話

なぜならそれらの説明はすべて、「後づけ」だからです。

第三者が外から見て「ああなっている」「こうなっている」などと動きを説明しているにすぎません

▶意識するのは「マイナスのイメトレ」


それはたとえば歩行動作について連続写真を掲載し、「左足つま先で蹴ると同時に右腕を後方へ振り払う。その連動で右足が前に出て、次に着地した右足のかかとからつま先に向かって体重移動しつつ、今度は左腕を後方へ振り払う」などと、キャプションが添えられているようなもの。

だからそれらを「意識しましょう」などと言うのです。

恐らく歩行動作の説明自体は、間違っていないと思います。

けれども歩くときにいちいち、「意識」しているのでしょうか?

意識するとむしろ、同側の手足が一緒に前へ出てしまったりする、人工的に作られた「不自然」な歩行動作になりかねません。

ですから同じ運動である以上、テニスでも、打ち方なんて、意識しない、考えない

意識すればするほど、「マイナスのイメトレ」をやってるようなものだからです。

即効テニス上達のコツ TENNIS ZERO
(テニスゼロ)
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スポーツ教育にはびこる「フォーム指導」のあり方を是正し、「イメージ」と「集中力」を以ってドラマチックな上達を図る情報提供。従来のウェブ版を改め、最新の研究成果を大幅に加筆した「note版アップデートエディション」です 。https://twitter.com/tenniszero