質問025:ボールタッチを良くするには?
回答
▶タッチは「ピアノ」にたとえるとつかみやすい
ピアノというのは、鍵盤を強くたたけば大きな音が出て、弱くたたけば小さな音が出ます。
これがタッチです。
強くたたいて、小さな音は出ませんし、弱くたたいて、大きな音を出すこともできません。
この相関関係を感覚として覚えることが、タッチを身につける鍵です。
まずはボールコントロールを気にせず、タッチ感覚を身につける練習ですから、タッチそのものに鋭敏になる。
ショットの結果はこの際、問いません。
▶グリップは「触れる」程度
ただしひとつ条件があります。
グリップをぎゅーっと力んで握ってしまうと、タッチは鋭敏に感じられません。
ですからグリップは、握るというより「触れる」程度。
力は、入れたほうが効果的だと思い込みがちですが、力は抜くと、発揮されるのです。
これも、「現実に対するイメージのズレ」問題と言えるでしょう。
▶「歯ブラシの真価」を発揮する
たとえば歯磨きでも、力を入れてゴシゴシやったほうが汚れが落ちると勘違いしがちですが、そうではありません。
そうすると歯ブラシの毛先が倒れてしまって、隅々まで磨けないのです。
歯ブラシがその真価を発揮するには、「触れる」程度にして、毛先をピンと立たせたままにしておきます。
すると、歯ブラシの毛先は、歯と歯の間や、歯と歯茎の隙間、歯周ポケットなどまで隅々にアプローチできます。
そのためには、ゴシゴシと力を入れるのではなく、歯ブラシの毛先が、歯や歯茎に対して「触れる」程度に脱力。
毛先がどこに当たり、どこへ入っているのかを、鮮明に感じ取れるようになります。
ごしごしやると、毛先のフィーリングなど分からないのです。
力は抜くと、効果的に発揮される。
これが、タッチ感覚です。
▶「頑張る」のは集中ではない
しかし多くの人が、勘違いしています。
「頑張ったほうが上手くいく」と、思い込んでいるのです。
頑張るというのは、自分にとって「嫌なこと」や、「やりたくない何か」をしているからこそ出てくるワード。
すなわち、集中できていない証左です。
集中の世界は、楽しかったり充実だったりしかありません。
「集中するのは疲れる」「大変」「面倒だ」などと思い込むのは、「集中しなければ!」などと、意識するからです。
しかし集中すると、「寝食を忘れる」と言われるほど疲れないですし、充実もします。
▶今夜は頑張ってビールを飲む?
多くの人が、勘違いをしています。
テニスのプレーに関する思考について言えば、「意識すれば上手くいく」と、思い込んでいるのですね。
しかし意識しないほうが、よほど上手くいきます。
こちらでお伝えいただきましたように、意識するくらいなら、「ほろ酔い」のほうがまだ上等。
ビールを好きな人が「今夜は頑張ってビールを飲みます!」、ゲーム好きの小学生が「頑張ってゲームします!」など言いません。
自分にとって「嫌なこと」「やりたくない何か」だからこそ、「頑張る」というワードが出てきてしまう。
しかし実際には頑張らないのが集中だし、意識しないほうがテニスのプレーは上手くいくのと同じように、力は抜いたほうが、発揮されるのです。
▶テニスは「頑張らない」でレベルアップ
テニスを頑張ってはいけません。
頑張ると「走らされる」「打たされる」といった被害者意識の感じ方になります。
すると走打が嫌になるから疲れるし、動作も緩慢になるためダッシュは遅いし、スイングスピードも上がりません。
集中すると、「走りたい!」「打ちたい!」感覚が出てきて、当然足が速くなるし、その時々の状況に応じた自分にとって最もふさわしい「自適スイングスピード」が現れます。
▶口の中も「諸行無常」
ところが世間は、「頑張れば上手くいく!」「もっと頑張れ!」、そしてテニススクールやテニス教本、ユーチューブのテニスレッスン動画は「フォームをちゃんと意識しましょう!」と 畳み掛けます。
このアベコべになる世の中を専門用語は「顛倒(てんどう)」と名付けました。
なぜ頑張らないほうが、上手くいくのでしょうか。
集中の世界には、「頑張る」といった概念がないのです。
まして意識するのは、集中できない最たる原因です。
頑張って集中するのは、集中ではありません。
集中すれば、歯磨きだって、楽しい。
こんなにツルツル磨けている!
こんなところにも毛先が届く!
などなど、日々新たな発見があります。
なぜなら口腔内も「諸行無常」。
同じコンディションは二度とないからです。
こんな「楽しみ」に気づけるのも、集中のなせるわざです。
▶試合本番ではタッチを「意識しない」
話が逸れましたがテニスも、インパクトの瞬間の当たりの強さや弱さ、手に伝わってくる振動、ボールが面に乗っているなどの諸行無常の感触を、より細やかに感じられるようになると、自然とタッチ感覚でボールをコントロールできるようになってきます。
ただし繰り返しになりますが、この練習のときには、コントロールは二の次です。
タッチに集中するため、ボールは見えにくくなるからです。
タッチ感覚を身につける練習ですから、タッチそのものに鋭敏になる。
打球の強弱と手のひらに伝わる感覚の相関を身につけるようにしてください。
また「触れる」程度に持つグリップも、試合本番などでは意識しません。
グリップの力加減を意識したら、やはりボールに集中できなくなるからです。
▶「タッチ」を身につければ、テニスはもっと楽しくなる!
タッチ感覚を身につければ、ネットプレーを始め、ドロップショットやドロップボレーも楽しくなります。
テニスコートは横よりも縦のほうが長いですから、ドロップ系は愛好家も多用すると、武器になります。
対戦相手は基本的に「打ってくる」と身構えている可能性が高いですから、想定外のショットを放てるため有効。
また緩急の使い分けも楽しくなるため、相対性の世界ですから、強打が一層際立ちもしますし、強打が際立てば、カルロス・アルカラスのようなドロップショットが冴えに冴えわたります。
即効テニス上達のコツ TENNIS ZERO
(テニスゼロ)
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