フリードリッヒ二世と13世紀ヨーロッパの歴史・・・感想つづき
何とか書き終えていったん力尽きたものの、ちょっとまた元気出てきたので書き切れなかったこと追加~
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「フリードリッヒ二世の生涯」読んでていちばん考え込んだのが、後半のフリードリッヒ暗殺未遂事件。
フリードリッヒは自分の息子たちとともに有力諸侯の子弟も手元に置き、幹部候補生として育成していた。反乱を企てたのは、この幹部候補生を経て、すでに要職についていた30~40代の者たち。一体なぜ?と思わずにはいられない。
これに対する著者の見解は、封建領主として自分たちの領土を奪われるのではないか?という不安が原因であった、という見立て。
フリードリッヒの協力者となった彼らの父親は、封建領主でありながら近代国家の官僚的な立場へと変わっていくことを受け入れた。しかし彼らはその変化を望まなかったのだと。
でもなんで?父親たちが受け入れたものを息子たちは受け入れられなかったのか??
以下は私の想像・・・
上記の不安に加えて、30~40代という年齢が大きかったのではないかと。
幹部候補生でも若い世代はほとんどこの反乱に参加していない。若者たちにとって50代はじめのフリードリッヒは偉大な父のような存在であったろう。
また、当時フリードリッヒの息子エンツォ30歳、マンフレディは10代。自分たちと年齢が近く、ともに育ち学んだことで仲間意識もあり、世代が変わっても協力して支え続けようという気持ちは強かったに違いない。
30~40代の反逆者たちが幹部候補生として何年くらいフリードリッヒの手元にいたのかはわからない。けれど、年齢的にさほど離れていない人を父と慕って心服するまでには至らなかったのではないか。
しかし身近にいてフリードリッヒの偉大さは感じていたと思う。それだからこそ、若いエンツォやマンフレディが偉大な父の跡を継げる器ではない、と心もとなく感じていたのかもしれない。
当時としては高齢の世代となったフリードリッヒが倒れてしまえば、たちまち教皇派が力を強めることは明らか。それなら法王の誘いに乗って早めに乗り換えた方が得策、と思うのも頷ける。
そもそも彼らは物心ついてから10代20代くらいまで(?)将来は父の後を継いで自領を守る堅実な封建領主としての人生を思い描いていたのかもしれない。それが、父親がフリードリッヒ支持に回ったため歯車が狂った。自分の意志ではない立場の変化。こんなはずじゃなかったのに・・・根底にはそんな思いがあったのでは・・・
とまあすべて推測に推測を重ねただけですが、自分としてはそれで結構納得できた。
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話変わって
さらに思ったこと・・・
13世紀から古代ローマを見たらどんな風に感じたんだろう?という想像の中で、結局中世の人々は古代ローマ人が造った上下水道を使うことができなかったんだよなあ…と思って、技術力って必ずしも時代と正比例で進歩していくとは限らないんだな、とあらためて気が付いた。
そうなると・・・「古代の技術でこんなものがつくれるはずがないから、もしかして宇宙人が~」っていう世界七不思議的なやつ、案外現代人が思うより古代にはすごい技術があったんじゃね?と。
高度な文化文明があっても、文明度は低いが戦闘力が高い民族に攻撃され殲滅されたら、そこで培われた文化も技術も断絶してまう。
それは現代でも・・・
核戦争が起こってすべてが破壊されてしまったら・・・
飛行機の残骸を見た子供たちが「昔はこれが空を飛んでたってじいちゃんが言ってたよ」「うっそだあ!こんな鉄の塊が空飛べるわけないじゃん」なんて会話するSFな未来が現実になる可能性十分あるんだよな、と妙に実感してしまった。