【小説】ユビキタスとスピリタス-2
会社員——厳密にはアンドロイドだが——彼女を誘うのに、男は日を選ばなかった。平日の白昼堂々、お互いにスーツのままで甘味と暴食の楽園に殴り込んだ。彼らの姿を見て、店員は一瞬不思議そうな顔をした。場と時間との親和性の無さ、それから、片方が機械であることからであるのは、男にも手に取るように分かった。
「別に、君のせいではないよ」
席につくなり、男は彼女に言う。
「いかにアンドロイドが普及した現代であっても、払拭できない違和感を持ち続けるものなんだ。それが、人間が人間である証明