11/27 【11月米FOMC議事要旨公開、ミシガン大学調査短期期待インフレ率はやや低下】
●11月FOMC議事要旨 米利上げは近く減速へ
11月23日、FRBが公開した11月1~2日に開催されたFOMCの議事要旨では、多数の参加者が近いうちの利上げ幅縮小を見込んでいることが明らかになった。FRBは11月まで4会合連続で0.75%と通常(0.25%)の3倍におよぶ利上げ幅で金融引締めを進めてきた。
金融機関の予想では、次回12月会合では0.50%、2023年の序盤2会合では0.25%の利上げを行い、その後は利上げを停止するという見方が大半を占めてきた。今回の利上げサイクルにおけるターミナルレートは5.00%で頭打ちという見方だ。
FOMC参加者は9月時点において2023年末の政策金利見通しの中央値を4.6%としていたが、ターミナルレートはこの4.6%よりも高くなる見通し。
歴史的な高インフレもいよいよピークアウトが近いという声も聞かれてきた。原油(WTI)価格は、ロシア産の価格上限設定(1バレル=65~70ドル)に対する思惑及び米国・欧州のリセッション入りに伴う需要後退を見越して下落トレンドにある。足元では1バレル=76ドル台まで下落が進んだ。
また過熱が続いてきた住宅市場も軟化の兆しがある。中古住宅販売戸数は、下図の通り22年2月にピークを付けた後約半年以上にわたって減少が続いている。
●ミシガン大学調査 期待インフレ率は若干の低下
ミシガン大学が11月23日に発表した消費者信頼感指数は、結果56.8(予想:54.7、前回:54.7)で事前予想及び前回結果を上回る結果となった。
ミシガン大学消費者信頼感指数は、ミシガン大学が毎月発表する消費者信頼感指数だ。約500人への電話調査からまとめたもので、そのうちの60%への調査結果を速報値として10日頃に、最終結果である確報値は月末に発表している。
コンファレンスボード発表の消費者信頼感指数に先行して発表されるため注目度は高く、米GDPの約7割を占める個人消費の動向を確認できる。
また同時に発表された1年先の期待インフレ率は4.9%(前月:5.0%)で前回から若干の低下。5-10年先の期待インフレ率は3.0%(前月:2.9%)と前回から若干の上昇となった。
短期である1年先の期待インフレ率が低下した背景は、ガソリン価格が月間を通して下げたことで消費者のセンチメント改善につながったとされる。
●11月ユーロ圏購買担当者景気指数(PMI)、7カ月ぶり改善
米S&Pグローバル社が11月23日に発表した11月のユーロ圏の購買担当者景気指数(PMI)は総合で47.8と前月から0.5ポイント上昇。
ウクライナ危機などで深刻になった供給制約の影響が和らぎ、7カ月ぶりに小幅に持ち直した。一方で、景況感の水準は好不況の分かれ目である50を5カ月連続で下回り、先行き不透明感は強い。
製造業は47.3と前月から0.9ポイント上昇し、サービス業は48.6と前月比で横ばい。国別の総合PMIはドイツが46.4と前月から1.3ポイント上昇した一方、フランスは前月から1.4ポイント下落し48.8と1年9カ月ぶりの水準に沈んだ。
供給制約で滞っていた部材調達が改善するなど明るい兆しが出る一方、新型コロナウイルス禍からの景気回復をけん引してきた観光やレジャーなどは低調。
●来週(11/28(月)~12/2(金))の注目Point
①米 10月PCEデフレータ
PCEデフレータとは、米商務省が毎月末に発表している個人消費の物価動向を示す指標。
個人消費支出(Personal Consumption Expenditure)のデフレータで、名目PCEを実質PCEで割ったもの。消費段階での物価上昇圧力を測る尺度として用いられる。
米国のインフレターゲットの対象として利用され、年8回のFOMCのうち半分の4回で示されるFOMC参加メンバーによる経済見通しの際に、物価見通しの対象となっている。
一般的に重要視されるCPIに比べて、調査対象となる範囲が広い。また、CPIが消費者調査によるデータを基にしているのに対して、PCEデフレータは企業調査によるデータを基に算出される。
今回はコアPCEデフレータに注目したい。ヘッドラインとは異なりコアは足元で再び上昇基調に転じている。歴史的な高インフレは、コアの数値が低下するまで頭打ちとは言い難い。