正しく使えますか?誤りがちな日本語表現 vol.7「怒り心頭に達する」、vol.8「押しも押されぬ」
vol.7「怒り心頭に達する」
【意味】
「怒り心頭に発する」の誤り。心底怒ることなどを意味する表現。
『怒り心頭に発する』の誤用です。心中の怒りが頭まで『達する』というイメージからこの慣用表現ができたのでしょう。
『発する』は始発点、『達する』は帰着点です。
『怒り心頭に発する』の怒りは、帰着点ではなく始発点を表現しています。
【ワンポイント豆知識】
文化庁の2012年度『国語に関する世論調査』では、『激しく怒ること』を本来の言い方の『怒り心頭に発する』と回答した人が23.6%に対し、本来の言い方でない『怒り心頭に達する』答えた人が67.1%と逆転現象がおきています。知っているのであれば本来の言い方である『怒り心頭に発する』を使いたいですね。
vol.8「押しも押されぬ」
【意味】
「押しも押されぬ」の正しい表現は、「押しも押されもせぬ (=押しも押されもしない)」です。 「押しも押されもせぬ」には「どこへ出ても圧倒されない」であったり「堂々としている」といった意味があります。 実力を周囲から認められており、基本的にはポジティブなニュアンスで用いられることが多いです。
「押しも押されぬ」という言葉は存在しません。
【ワンポイント豆知識】
文化庁の平成15年度の「国語に関する世論調査」では、「実力があって堂々としていること」の本来の言い方である「押しも押されもせぬ」を使う人が36.9%にとどまったのに対して、間違った言い方である「押しも押されぬ」を使う人が20代~30代を中心に半分以上51.4%もいました。
「押しも押されもせぬ」は、実力があって立派な様子・どこへ出ても圧倒されることがない、という意味になり誰かをほめ讃えるときに使用できる表現です。間違いやすい慣用句なので、正しく覚えて適切に使いましょう。
些細な違いではありますが、知らぬと平気で使ってしまいます、要勉強なり!