
【読書】「反応しない練習」と「雨の日の心理学」|感想
この2冊はそれぞれ異なる角度から、日常生活で起きる困難な心理の対処法について書かれている。私にとっては、2冊を同時期に読んだことに意味があったように感じたので、感想を書き残しておこうと思う。
『反応しない練習』は、「自分」が感情や思考に対して過剰に反応しない方法を、仏教の教えをもとに説いている。一方で、『雨の日の心理学』は、「他者」をケアする必要があるときに、どのように関わるべきかを心理学的視点から考察している。
事象の発生源が「自分」か「他者」かという違いはあるものの、いずれの場合も実践するのは結局「自分自身」だ。『反応しない練習』では、周囲の出来事や自分の内面の揺らぎに振り回されず、冷静に受け止めることが大切だとされている。感情に過剰に反応しないことで、余計な苦しみを生まずに済むのだという視点は、新しい気づきを与えてくれた。
一方、『雨の日の心理学』では、他者との関わり方において、共感や適切なサポートの仕方を学ぶことができた。特に、「相手の気持ちに寄り添うこと」と「相手を変えようとしないこと」は印象に残った。つい、相手の悩みを解決しようとしたり、励まそうとしたりしてしまうが、それが必ずしも相手のためになるとは限らない。時にはただそばにいるだけで十分なこともあるのだと気づかされた。
これらの考え方の一部はすでに知っていたものの、私自身が年齢を重ねたことで、具体例をより明確に想像できるようになっていたことも良かった。理解度が以前よりも深まったと感じる。過去の経験と結びつけながら読むことで、単なる知識としてではなく、自分の中に落とし込むことができた。
この2冊を並行して読むことで、自己と他者の間にあるバランスについて深く考える機会を得た。自分の感情をコントロールすることと、他者をケアすることは、一見すると別のスキルのように思えるが、どちらも「どのように反応するか」を選択する力に関わっているのだろう。感情に振り回されずに自分を整えながら、適切な距離感で他者と関わること。そのバランスこそが、より良い人間関係と心の平穏につながるのではないかと感じた。
--『雨の日の心理学』は、真っ先に母におすすめした。