読書感想文:『夢判断(上)』読了後
フロイトの『夢判断』(高橋義孝訳)を読んだ
夢を心理学の観点から分析した本
自分の夢にはどんな意味があるのか、夢は学問でどう扱われてきたかを知りたくて、フロイトの本を読んでみた
前半は、ヴントやフォルケルトなど、他の学者の意見を参考にしながら、夢とは何かについて分析されていた
夢の動機について、フロイトは「外的(客観的)感覚興奮」、「主観的(内部的)感覚興奮」、「内的(器質的)身体刺激」の3種類に分けて説明していた
「外的(客観的)感覚興奮」は、外から刺激を受けると、夢に反映されるという意味
例:指の間に杭を打ち込まれた(夢)→指の間に麦藁が刺さっていた(現実)「主観的(内部的)感覚興奮」は、「痛い」など、自分の感覚が夢に現れるという意味
最後の「内的(器質的)身体刺激」は、心臓や肝臓などの内臓が傷んでいると、不安な夢を見るという意味を表す
外や内から刺激を受けることによって、その刺激が夢に反映されるというのは納得がいった
(筆者自身、空腹時にお腹が痛い夢を見ることがあるので……これは3番目の「内的(器質的)身体刺激」かな)
さらに、フロイトは、夢は「願望充足(自分の願望を満たすこと)」であると定義づけた
願望充足とは、現実では叶えられない望みを夢で叶えようとすること
例えば、空腹時に、美味しい食べ物をたくさん食べる夢を見るのは、一種の願望充足だったりする
また、願望充足とは反対に、フロイトは「夢の歪曲」についても説明していた
これは、自分の願望がねじ曲げられた形で現れることを意味しているらしい
例えば、親に厳しく躾をされた(自分の願望を過剰に抑圧された)人が、不安な夢を見るなど
フロイトがこの願望充足に気がついたのは、あるヒステリー患者を診ている時だったとか※
※「イルマの注射」……イルマは女性のヒステリー患者。イルマは、オットーという別の医師に、ヒステリーを治すために注射をされた。しかし、フロイトは注射は逆効果だと考えていた
フロイトはその後、オットーを責める夢を見た(治療が進まないのは、自分のせいではなく、オットーのせいだと考える夢)
フロイトは、この夢を見て、夢は隠れた自分の願望のあらわれではないかと気づくようになった
筆者は、過去の記憶がバラバラになって、勝手に合成されたものが夢だと考えていたが……
外や内からの刺激が、そのまま夢になることもあるのか
面白いので、このまま下巻も読もうと思います