UNI

マイペースです。海外文学や洋映画が好きです。感想文書いたりします。

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最近の記事

読書感想文:『悪霊』読了後

ドストエフスキーの『悪霊』を読破した ロシアで革命組織を作り、『檄文』を世間に知らせようとした貴族たちの物語 (※以下ネタバレあり) 上巻はステパン・ヴェルホーヴェンスキーの語りからニコライ・スタヴローギンの決闘まで、物語が描かれる 下巻はピョートル・ヴェルホーヴェンスキーが革命組織の中心人物となって、様々な事件を巻き起こす 登場人物が病にかかるか、どんどん死んでいく。これ以上報われない物語はないのではないかと思うくらい、誰も救われない 物語の冒頭には、悪霊に取り憑

    • 『デトロイト ビカムヒューマン』視聴後

      プレステ4『デトロイト ビカムヒューマン』のゲーム実況を見た (※若干のネタバレあり) 人間に支配されたアンドロイドが、自由の権利を求めて活動する話 コナー、マーカス、カーラの群像劇で、複数の選択肢を選ぶことで、物語が進んでいく 画家のカールを失ったマーカスは、自由を得るために、「ジェリコ」(アンドロイドの住処)のアンドロイドたちを指導する 警部補のコナーはマーカスを捕らえようとするが、自らもアンドロイドの身であるため、「自由を求めているマーカスを捕らえるべきか?」

      • 読書感想文:『大学4年間の社会心理学が10時間で学べる』読了後

        『大学4年間の社会心理学が10時間で学べる』(亀田達也)を読んだ 社会心理学のポイントがまとめられた本 前回の本で紹介された「同調圧力」はもちろん、エコーチェンバーやフィルターバブルなど、SNS上の心理現象についても説明されていた エコーチェンバーとは、SNSなどで似た考えを持つ人同士が集まり、その中での意見が世の中でも必ず正しいと思い込むこと フィルターバブルは、検索サイトのアルゴリズムがユーザーに合った情報だけを提供し、その情報だけに囲まれる(閉鎖空間に閉じ込めら

        • 映画感想文:『シックス・センス』視聴後

          映画『シックス・センス』を視聴した (※ややネタバレあり) 第六感を持つ少年が、精神科の医師と話し、治療を受ける話 少年は死人(幽霊)が見えるが、クラスメイトに信じてもらえず、"Freak(怪物)"呼ばわりされてしまう 精神科医も、視える少年に翻弄されるが、少年は霊感能力で、ある事件を解決する 事件の解決がきっかけで、少年への偏見は解消され、最後には劇の主役に選ばれる 精神科医も仕事に終われ、妻との関係が不良だったが、少年のアドバイスがきっかけで、元の良い関係に戻る

        • 読書感想文:『悪霊』読了後

        • 『デトロイト ビカムヒューマン』視聴後

        • 読書感想文:『大学4年間の社会心理学が10時間で学べる』読了後

        • 映画感想文:『シックス・センス』視聴後

          読書感想文:『社会心理学/人と社会との相互作用の探求』読了後

          『社会心理学/人と社会との相互作用の探求』(堀毛一也・竹村和久・小川一美共著)を読んだ 社会心理学の基礎がぎっしり詰まった本 用語が次々と載せられ、その用語が簡単に説明されている、教科書のような本 さらに、実際の研究も紹介されているので、具体例がよくわかる 傍観者効果(周囲の人数が多くなるほど、責任感が薄れ、人助けすることが少なくなる)や、集団圧力(集団内で、同じ態度や行動を取るように働きかけること)など、よく耳にする用語も記されている、良い入門書 数ある現象の中で

          読書感想文:『社会心理学/人と社会との相互作用の探求』読了後

          読書感想文:『フーコー文学講義―大いなる異邦のもの』

          ミシェル・フーコーの『文学講義』(柵瀬宏平訳)を読んだ 文学に対するフーコーの考えをまとめた1冊 フーコーにとって、文学は「言語」や「作品」とは違う、独立した1つの項らしい 彼によると、文学は「ファーブル」(話されるもの、語られるもの)からできている 語る側ではなく、語られる何か、であるのが文学 そして、言語が「語られる」文学に侵犯することで、文学は言語化される 作品もまた、文学に呼びかけ、作品が文学に属していることを訴える (作品が物語を語るだけでなく、「文学と

          読書感想文:『フーコー文学講義―大いなる異邦のもの』

          読書感想文:『転落・追放と王国』読了後

          アルベール・カミュの『転落・追放と王国』を読んだ 元々は『転落』と『追放と王国』に分かれていたらしい 『転落』が思ったよりも長くなったので、独立させたとのこと 『転落』は、元弁護士クレマンスを主人公とした物語 読者は、クレマンスにアムステルダムを案内されながら、その人の話を聞く 昔のクレマンスは、年配に席を譲る、手を貸すなど、立場が弱いとされる者を積極的に助けていた しかし、ある日からそんな人々を冷たくあしらうようになる 弁護士=人を法的に守る立場にいるも関わらず、

          読書感想文:『転落・追放と王国』読了後

          読書感想文:『セロトニン』読了後

          ミシェル・ウェルベックの『セロトニン』(関口涼子訳)を読んだ 46歳の独身男フロランが、昔の恋を思い出したり、農家の友人と話す話 フロランはうつ病にかかっており、「キャプトリクス」と呼ばれる抗鬱剤を飲んでいる フロランは安定した人間関係に乏しく、昔に何人もの恋人を作ったが、どの人とも結ばれなかった さらに、酪農業家の友人も、経営難に陥っており、都市でデモを起こすといった具合 フランスの農家危機や個人主義など、社会の暗い側面がありありと描かれた1冊 恋人とも友人とも

          読書感想文:『セロトニン』読了後

          ゲーム感想文『ラスト・オブ・アス 2』視聴後

          プレステ4の『ラスト・オブ・アス』をゲーム実況動画で視聴した 「クリッカー」と呼ばれるゾンビが蔓延する中で、2人の主人公エリーとアビーが、互いに復讐する物語 どちらも父親の仇を討つため、遠征中の相手をひたすら追ったり、互いの仲間を巻き込んだりする さらに、WLF(民兵集団)やセラファイト(宗教団体)の二大勢力が正義をかけて衝突する、人間同士の血なまぐさい戦いもあったりする ゾンビ×戦争×復讐という、正に修羅場のストーリー しかし、単にゾンビや敵を倒すだけではないのが

          ゲーム感想文『ラスト・オブ・アス 2』視聴後

          読書感想文:『ファイト・クラブ』読了後

          チャック・パラニュークの『ファイト・クラブ(池田真紀子訳)』を読んだ ブラピ主演で映画化もされた、有名な小説 キャッチフレーズは、『おれを力いっぱい殴ってくれ』 ブラックユーモアたっぷりの小説で、テンポよく読める 小説と映画では、少し表現が違う所もあったので、面白かった ヒロインのマーラとのやり取りが、映画バージョンよりも丁寧に描写されていたり さらに、結末が違ったり…… さらに、小説の残酷な描写(殺人シーン)が、映画ではカットされていたりもしている 映像上の都

          読書感想文:『ファイト・クラブ』読了後

          読書感想文:『フロイト、無意識について語る』読了後

          『フロイト、無意識について語る』(中山元訳)を読んだ 無意識だけでなく、抑圧、検閲、集団心理などについても考察された本 まず、意識は3つに分かれるらしい 意識(Bw):意識できる 前意識(Vbw):努力すれば意識できる 無意識(Ubw):意識できない。コントロールが不可能 そして、意識と無意識には大きく分けて2つのプロセスがある 一次過程:快楽原則(快楽を求めること)が支配するプロセス。無意識のもの 二次過程:現実原則(現実的な判断をすること)が支配するプロセス。前意

          読書感想文:『フロイト、無意識について語る』読了後

          読書感想文:『ヘビトンボの季節に自殺した五人姉妹』読了

          ジェフリー・ユージェニデス(佐々田雅子訳)の『ヘビトンボの季節に自殺した五人姉妹』を読んだ 1970年代のミシガン州デトロイトを舞台とした、リズボン一家の崩壊物語 五人姉妹には、セシリア、ボニー、テレーズ、メアリイ、ラックスがいる 皆ティーンエイジャーで、年頃の男子たちとパーティーを開きながら、戯れる 夜中に、電話越しにビートルズやローリング・ストーンズの音楽をレコードで掛けかけたり、ティーンエイジャーがタバコを吸ったりと、何処か年代を感じる小説 しかし、セシリアの

          読書感想文:『ヘビトンボの季節に自殺した五人姉妹』読了

          アニメ感想文:『PSYCHO-PASS サイコパス』1期 視聴後

          サイコパス アニメ1期を視聴した 何年か前に、一気見した覚えがあったが、所々難解な所があったので、見直した 数あるアニメの中でも、特にお気に入り シビュラシステムによって徹底的に管理された社会で、人間の自由とは何かを問う、哲学的なSF作品 聖書、マックス・ウェーバー、パスカル、オルテガ、フーコー、フィリップ・ディックなど、歴史的書物や偉人の著書がふんだんに引用されている。本好きにはたまらない さらに、どの登場人物にも意思があり、それぞれの違う価値観がぶつかり合うのも

          アニメ感想文:『PSYCHO-PASS サイコパス』1期 視聴後

          読書感想文: 『夢判断(下)』読了後

          『夢判断(上)』に続き、下巻も読み終えた 下巻では、フロイトの夢に対する見方がはっきりと示されていた フロイトは、全ての夢を性的願望の表れとした 例えば、夢の中に現れるナイフやコートは、性器や性的器具を表しているとした (フロイトは、全ての夢を性的願望と見なすので、後に弟子のユングに批判されることになる) また、フロイトは夢は過去の産物であり、退行の表れであるともした 古代では、夢はよく予言ともされたが、実際は幼児時代の出来事を再生したものだ、というのがフロイトの

          読書感想文: 『夢判断(下)』読了後

          読書感想文:『夢判断(上)』読了後

          フロイトの『夢判断』(高橋義孝訳)を読んだ 夢を心理学の観点から分析した本 自分の夢にはどんな意味があるのか、夢は学問でどう扱われてきたかを知りたくて、フロイトの本を読んでみた 前半は、ヴントやフォルケルトなど、他の学者の意見を参考にしながら、夢とは何かについて分析されていた 夢の動機について、フロイトは「外的(客観的)感覚興奮」、「主観的(内部的)感覚興奮」、「内的(器質的)身体刺激」の3種類に分けて説明していた 「外的(客観的)感覚興奮」は、外から刺激を受けると

          読書感想文:『夢判断(上)』読了後

          読書感想文:『壁』読了

          安部公房の『壁』を読んだ 『S・カルマ氏の犯罪』、『バベルの塔の狸』、『赤い繭』が収められた小説 全体としては、『不思議の国のアリス』の日本バージョンようなイメージ 帽子やマネキンなど、物が喋りだしたり、 狸、犬、猫とも言える謎の動物が『白ウサギ』のようにバベルの塔へ道案内をしたりする ナンセンスやユーモアが飛び交う、安部公房ワールドな小説 ものすごく頭のいい人の、知的な遊びというか…… 科学の知識を使って、どんなくだらないことでもきちんと論理的に説明する感じがツ

          読書感想文:『壁』読了