読書感想文: 『夢判断(下)』読了後
『夢判断(上)』に続き、下巻も読み終えた
下巻では、フロイトの夢に対する見方がはっきりと示されていた
フロイトは、全ての夢を性的願望の表れとした
例えば、夢の中に現れるナイフやコートは、性器や性的器具を表しているとした
(フロイトは、全ての夢を性的願望と見なすので、後に弟子のユングに批判されることになる)
また、フロイトは夢は過去の産物であり、退行の表れであるともした
古代では、夢はよく予言ともされたが、実際は幼児時代の出来事を再生したものだ、というのがフロイトの見解だった
さらに、下巻では個々の夢を詳しく分析していることが多かった
わかりやすい例が2つあったので、ここで挙げてみたい
・自分が士官として皇帝と食卓に座っている夢
→皇帝=父親、権力。父親と対立している
・猛獣に追われる夢
→猛獣=恐ろしい父親。昔、父親の厳しい教育や躾で抑圧されたことがある人に多い
こうして見ると、フロイトは、父親像を例にして夢を分析することが多い
また、フロイトは「情動抑制」や「情動逆転」についても触れていた
情動抑制とは、本当の気持ちを抑えること
情動逆転とは、本当の気持ちを真反対の気持ちで表現すること(反動形成と似ている)
例えば、苦手な人に対する嫌な気持ちを抑えることが情動抑制。苦手な人に対して優しく接することが情動逆転
夢の中でも、情動抑制と情動逆転は起こる
いずれか、あるいは両方が起こった場合は、「夢の歪曲」とされる
以上が、個人的に気になった部分になる
下巻はなかなか難解だったが、読み応えはあった
機会があれば、また読み直したい