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読書感想文:『セロトニン』読了後

ミシェル・ウェルベックの『セロトニン』(関口涼子訳)を読んだ


46歳の独身男フロランが、昔の恋を思い出したり、農家の友人と話す話

フロランはうつ病にかかっており、「キャプトリクス」と呼ばれる抗鬱剤を飲んでいる

フロランは安定した人間関係に乏しく、昔に何人もの恋人を作ったが、どの人とも結ばれなかった

さらに、酪農業家の友人も、経営難に陥っており、都市でデモを起こすといった具合

フランスの農家危機や個人主義など、社会の暗い側面がありありと描かれた1冊

恋人とも友人とも別れ、最終的に孤独になった主人公は、どこへ行くのか?

ちなみに、タイトルになっているセロトニンとは、「幸せホルモン」とも呼ばれ、分泌が増えることで幸福感を得られる脳内物質のことらしい

フロランは孤独な生活を送り、抗鬱剤を飲んでいるので、恐らくセロトニンは激減している

「社会的孤立」が問題視されている現代では、フロランのようにセロトニンが不足しがちなのかもしれない

フロランだけでなく、農家の自殺率の高さが指摘されていたり、フロランの元恋人がシングルマザーになっていることも何処か暗示的

つながりが失われつつある社会で、何を糧にし、どのように生きればいいのか?

深く悩ませられる本でした

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