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アンチヒーロー しょうもなさすぎ問題

※二話の半分くらいまでしか見てない感想です。

このドラマあまりにもしょーもなさすぎ。

二話見ただけでもわかる話の浅さ・クオリティの低さだった。
自分のエンタメ分析の後学のため、何故そう感じたかについてをここに記しておこうと思う。

アンチヒーローがつまらない理由

①話の流れがそもそもわかりにくい

一番ダメなポイント。一話の半分以上を見てもこのアンチヒーローというお話が「弁護士が殺人犯を弁護する話」ということしかわからない。

これがどのように問題かということを説明する前に、この文章を読んでいるあなたは「ドラマを何故視聴するのか?」という問いにどう答えるか考えてみて欲しい。

答えは様々だと思うが、その理由は一言で言い表すなら「面白いものを見て楽しみたいから」ということなのだと思う。
これは換言するならドラマを「楽しめそうだから視聴する」ということ。

そしてその「楽しさ」を感じる部分は人それぞれなのだが、とにもかくにもドラマを作る側は出来るだけ早くその「楽しさ」を視聴者に見せるか、少なくとも「楽しい予感」は与えなければいけない。

つまるところそれはドラマの特色であり、クライマックスの予感であり、葛藤と矛盾の存在を示すことだ。

では反例として奇しくも同じ弁護士が主題の名作ドラマ「リーガルハイ」の一話はどうなっていたか考える。
このドラマは冒頭から拝金主義のクズ弁護士ながら超敏腕の古美門生真面目ながらポンコツの黛弁護士と出会い、いきなり二人の主義主張が激しくぶつかっていく。

このようにリーガルハイは開始十分弱の速攻で何となく話の構図がわかる。
ギャグテイストで進みつつ、主題は弁護士で、ドラマは二人の弁護士に対する主義によって発生すると、すぐに見えてくる。

翻ってこのアンチヒーローは主人公の明墨弁護士のキャラクター性がまずわかりにくい。
こいつ良い奴なの? 悪い奴なの? 何のために弁護士をやってるの? どういう理由で殺人犯の弁護をしてるの?
などなど謎が多い。

主人公に謎があるのは結構だが、この話をどういう視点で見ていけば良いのかわかりづらくしてしまうのは前述の理由で大変よろしくない。
最低限度、主人公の考え方やポリシーを見せなければならない。

重ねて物語の描き方の面でも「楽しみ」が見えにくい。
本当は殺人を犯していない善人の容疑者をえん罪から救うための正義の弁護士の話なのか?
それとも事実をねじ曲げてでも依頼人を救うことを是とする個人的な使命感に燃える弁護士の話?
それとも金や名誉にしか興味が無いが腕利きの、黒を白に変えられる悪徳弁護士が成敗される話なの?

わからない。

わからないから、視聴へのモチベーションが漸減していく。

②話作りもまあまあありきたり

しばらく話が進んでいくと「うーんまだイマイチわからないけど、そこそこ腕の立つ弁護士が理想論を抜きにして黒を白に変える話…なのかなあ?」という風に感じてきたのだが、はっきり言ってもうそれって死ぬほど繰り返されてきたやつですよね?

主人公のキャラ性にエッジもなく、展開も凡庸でありきたりな進み方。
それこそリーガルハイを中途半端にシリアスにして、且つ古美門と黛がいなくなったようなストーリーになっている。

これもある種の王道展開ということで、それはいいのだが、新たに世に出るドラマとして新規性の部分ももちろん必要になる。
だがこの作品は冒頭の転び方からしてその新規性は全く表現できていない。ただただ陳腐な、他の弁護士作品の下位互換になってしまっている。

③リアリティなどにも問題あり

話が更に進むと、検察側の証拠改ざんの可能性が生まれる。
劇中で実例が出されていたとおり、確かにそういうことがあってもおかしくはないのだが、主人公たちはもはやそれを前提とするような全力調査を行い始める。
そしてその可能性が本格的になるにつれて、まるで探偵ドラマのような潜入調査を行っていく。

この辺りでアンチヒーローというドラマは果たしてどのレベルのリアリティラインを想定しているのかが自分の中でわからなくなり始めた。

実際の弁護士業務はほとんど知らないが、犯罪スレスレの潜入調査は行うわけがない。また物語が主人公たちにあまりに都合良く進んでいくので、益々そのアラが気になってしまう。

そして最後には法廷で検察の不正を暴き出し、主人公が「不正はダメだよ」的な素晴らしい演説を始めたところで自分は視聴を見限るに至った。

言うまでも無く、裁判所は国会でも選挙カーの上でも市民会館でもないので、演説をする場所ではない。
そもそも演説というのは視聴者にとっては苦痛を伴う。何故なら偉そうな説教をわざわざ時間を割いて聞きたいとは誰も思わないからだ。
視聴者がそれに付き合うのは、そのドラマとの信頼関係が構築されているときに限る。

以上がこのアンチヒーローがしょうもなかった理由だ。
細かくいうと他にもあるのだが、言いたいことはほとんど書き切ったと思う。

これは蛇足だが、つい先日話題になった実写化脚本問題について。
結局問題の中心にあるのは日本のオリジナルドラマのレベルの低さじゃないだろうかと感じてしまった。

正直上述したような問題点は簡単にわかるところであり、撮影する以前に改善して当然の部分だと思う。
何せ好みの話ではなく、料理で言えば下処理の不足のような事態だからだ。

こうやって洗練されていないドラマが生み出されると、当然視聴率も低下し、結果原作人気ありきの実写ドラマを作るしかなくなっていく。
それであのような悲劇が起きてしまう。

別に既存作品の実写化が悪いとは自分は思っていないが、それに燻りを感じている脚本家がいるのならもっと気合いの入ったドラマを作って欲しいと感じる。


…最近全然当たりを引けてないので愚痴っぽくなってしまってすみません。




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