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『ノイズ』見た直後の雑記

ユナイテッド・シネマ浦和で『ノイズ』を見てきました。
長く書いてますが、
もちろん、ネタバレなしです。

言ってしまえばヒッチコックの『ハリーの災難』の系譜のサスペンスなんだけど、
離島の田舎町の経済・生活・共同体事情や、シビアな県警の動き、
そして藤原竜也と松山ケンイチ、黒木華の三角関係+神木隆之介の幼馴染みの関係など、
非常に重厚なサスペンスに仕上がっていた!

ある日、愛知県の離島の町・猪狩町(ししかりちょう:架空の町)に元受刑者の青年・鈴木睦雄がやって来て、いずみ農園を営む泉圭太と圭太の幼馴染みの田辺純、警官になった真一郎とトラブルを起こし、事件へ。

普通なら幼馴染みの3人だけで事件が進展するんだけど、この離島の田舎町というのが曲者。町の住民同士の異様な連帯感・村社会(町だけど)でことが進み、中盤は幼馴染み3人組対永瀬正敏が演じる刑事以外にも、県警VS離島の田舎町の住民という構図も見られ、その部分が新感覚。

タイトルの「ノイズ」は平和な田舎町にやって来る元受刑者・鈴木睦雄を指してはいるが、
それ以外にも
・町の発展以上にやや金の亡者で意外にクズな女町長
・島(町)にやって来る県警
・県警視点から見た超村社会な田舎町の住民
・おそらく女町長のチョイスと思える町のスピーカーから流れるアイネ・クライネ・ナハトムジーク
と、ダブルミーニングどころかフォースミーニングにもなっている。
音楽はベートーヴェンやチャイコフスキーなどクラシックを効果的に使用。冒頭の交響曲第6番 ヘ長調 作品68『田園』にやや違和感を覚えるが、それも計算のうちとみている。

それと序盤の元受刑者の受け入れのディテールは昨年公開した『護れなかった者たちへ』にも通じる要素で、そこから派生したドラマ、サスペンスと考えるとエモーショナルである。

主人公・泉圭太が黒イチジクで町の救世主になったからこそ起こった悲劇につぐ悲劇で、さらにそこに圭太、純、加奈の三角関係も見応えあり。

それと、女町長を演じた余貴美子や畠山刑事役の永瀬正敏の強烈さにやられる。女町長のキャラはあの「このハゲー!」で一躍有名になった某女性議員を思い起こすが、そのヒールっぷりがさらなる悲劇とその後の展開にしっかりと効いている。

序盤の2、3のディテールに穴が見られるが、各キャストの熱と重厚な展開で振り切っている。

『さがす』にも勝るとも劣らない、見事なサスペンスだった。

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