【娘におくる手紙】1歳7か月、徒歩1時間
▼1歳6か月、どんな色がすき
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こんにちは。今月もあなたに手紙を書きます。
保育園に通い始めて早10か月。
先生いわく、あなたはクラスのお姉さん的存在らしいです。
「お友だち全員の名前を覚えていて、先生が名前を呼んでその子がいないと探しにいってくれるんですよ」と言われました。
そういうちょっと世話焼きな子、どの時代にもクラスにひとりはいるよなぁと思うとおかしくなってしまいました。
毎日楽しくすごしているので、あなたは保育園が大好き。
お迎えに行くと門を出るまでがまず大変です。
玄関のすぐわきには三輪車やコンビカー。園庭には昼間はお兄さんお姉さんが遊んでいる大きな遊具。
あなたにとって魅力的な ”ゆうわく”がたくさんです。
ひとしきり遊んで、ようやく門を出てからもまだまだ大変。
「ベビーカーに乗る?」と聞いても、いつも『のーのー』(乗らない)の返事。
(教えたわけではないのに、no と ダメ と ない を使い分けています)
ひとりであるく!という並々ならぬ意思を背中にずんずん歩いていってしまうので、ベビーカーに乗せるのは早々にあきらめて、出かけるときにはいつもヒップシートを使っています。
ヒップシートって、ウェストポーチみたいな、1〜2歳くらいの小さい子が座れる台が付いたおなかに巻くあれです。お母さんは急いであれを巻いて、あなたのあとをついていきます。
あなたは歩く気持ちは満々だけれど、まだまだ抱っこもされたくて、ちょっと歩いては抱っこアピール。
そしてすぐに興味あるものを発見して、また歩きたいアピールの繰り返し。
右手でベビーカーを押しながら、左手であなたと手をつないだり捕まえたり、ヒップシートに乗せて抱っこスタイルだったり。
これが結構大変で、最近 腕の変なところに筋肉がついてきました。
子育ては筋トレ以上にたくましくなるっていうのは本当だね。
毎日あなたのペースであっちこっちと歩いていると、電動自転車に乗った親子が後ろから何組も、びゅーんっと追い越していきます。
電動自転車ってすごい速さです。
前にレンタサイクルで乗ったことがあるけれど、漕ぎはじめから一気にスピードが出て、運転は自転車専門のお母さんにはもう恐怖のレベルでした。
電動自転車に乗ったお母さんたちは、それこそ本当に風のようにびゅーんと保育園に自転車を横付けして、ひょいっと子どもを乗せて、またばびゅーんとおうちに帰っていきます。まるでノンストップの特急です。
それに比べると、お母さんとあなたは各駅停車。
ゆっくりのんびり、しょっちゅうとまります。停車してしばらく動かない、なんてこともあたりまえです。
毎日、道沿いの薬局にいるゾウのサトちゃんに挨拶して、お散歩しているわんわんを見ては、『たっちー!』(触りたい!)といって後をついていく。でも、いざ近くに行くとやっぱり怖くてかたまっています(笑)。
家から保育園まで、おとなが歩くと10分くらいですが、あなたと一緒の帰り道は毎日1時間以上かかります。
時間はとてもかかるけれど、一緒に歩いていると分かることもたくさんあります。
たとえば耳の良さ。飛行機や救急車の音にお母さんよりもずっと早く気が付いて教えてくれて、いつもびっくりします。
ヒップシートに堂々と座っているあなたの服や髪の毛から保育園のにおいがするなぁと思ったり、いつの間にか背が伸びて、お母さんの視界にあなたの後頭部がくるようになったり。
保育園から家まで毎日一時間以上かかるよ、と知り合いに話したら、「えらいね。そんな時間も余裕もないからうちは問答無用で電動だよ」と言われました。
でもその「えらい」って感覚がお母さんにはあまりなくて、電動自転車で特急で帰っても、それぞれの時間がすごせるなら、同じことだなと思いました。
料理が得意なママはおうちに帰ってから丁寧でおいしい料理を作ること。(お母さんは大雑把なので、あなたが大好きなさつまいもを蒸してそれをたくさん食べてくれればいいかなと思っちゃいます。)
一緒に座ってテレビを見ることだって。
大切にしたいことはひとそれぞれ。家族それぞれ。
お母さんは、あなたとこんなふうに一緒に帰れるのは今だけだから、ゆっくりあなたの好きなように帰りたい。そう思うので、最近はこのながいながい帰り道を、一番大切にしています。
細かなことはあなたの記憶にはまだ残らないけれど、いろいろ発見しながら帰るわくわくや一緒に歩くゆったりとした時間が、幸せな感覚としてあなたを形作っていったらいいなと、そう思っています。
それでは、また書きますね。
母より
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