くわのきまめ
桑の木に這わせて育てるから桑の木豆。
桑の葉は蚕の餌、養蚕の盛んな地域の豆で知らない人も多いかもしれない。
かくいう私もその一人。
むかしむかし、日本の絹の歴史を養蚕で支えた村で暮らして初めて知った。
とても美しい豆。
秋の夕暮れに収穫したときなんて、豆をつかもうと伸ばした手の先のあまりの豆の美しさにうっとりしたほど(日暮れの早い秋の収穫にうっとりしている時間なんぞ本来ない)
若い鞘をそのまま茹でて食べるインゲン類の豆
だけれど、その鞘は人によって口にさわるからと好き嫌いがある
農薬を使わずに育てているのだから、鞘つきで出荷するほうが豆を出す手間も省けて良さそうだけれど、先の理由により豆のみにしている
まぁ豆の鞘は山羊たちが喜んで食べるのだからよいのでしょう
この美しい模様は煮るとなくなるのが残念、色から察する通りポリフェノールが豊富に含まれるらしい
乾燥した豆は一晩、水につけて戻し、つけた水ごと火にかけゆるゆると炊く
柔らかに炊けたらおもむろに砂糖を加え、煮汁の中で冷ませば美味しい煮豆の出来上がり。
しかしこの豆は豆そのものに優しい甘味があって、私は砂糖も塩もいれずそのまま食べるのが好き。
イギリスの朝食のベイクドビーンズを思い出しながらオムレツに添えてみた。
調味料なしで不思議とあとをひく味。
さぁて、この豆でどんなお菓子を作ろうか。
読んでいただきありがとうございます。 暮らしの中の一杯のお茶の時間のようになれたら…そんな気持ちで書いています。よろしくお願いいたします。