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地域に入り込みながら推進!自治体×企業のサービス開発成功のカギ:GLIP Partner Community 第4回 開催レポート

こんにちは!
トヨタコネクティッド株式会社GLIP Partner CommunityメンバーのAyaです。第4回目となる今回はトヨタ・コニック・プロ株式会社で、モビリティ領域から拡がる新たなビジネス創造に挑戦をする、毬山和志氏・高田武資氏にご登壇いただきました。
トヨタのプロダクトを切り口に、地域に入り込むところから始まったユニークなケース。さらに自治体との共創の苦労や「マーケティング」「コミュニケーション」を軸としたお話がとても新鮮で興味深い取り組みでした。


トヨタ・コニック・プロは移動の総合商社

同社はトヨタ自動車のグループ会社で広告マーケティング領域を主要事業としてきた一方、モビリティサービスの事業領域へも取り組みを開始。
交通課題を抱える地域でのオンデマンド交通の試みや、地方に居住する高齢者など移動困難者の支援、観光地における付加価値創出やオーバーツーリズムの解消など、日本の地方が抱える今日的な課題に対して、地方自治体と連携して向き合い続けているのが特長です。​

福島県東白川郡塙町での実証実験「トヨタコニックライド塙」

人口約8,000人の東白川郡。交通手段は限られており、町の中心にあるJR磐城塙駅が地域の公共交通の要となっています。また塙町以外からも多くの人が通う総合病院、観光客でにぎわう道の駅がありこの2つが地域の中心的なスポットとなっています。

塙町の抱える課題とは

公共交通機関の衰退や、塙駅から病院までの距離、道の駅への観光客の集客が課題。特にタクシー会社は町に2社のみ、病院までの利用者が増えると待ち時間が長くなり結局診察時間に間に合わないなどのケースが発生していたそうです。

実証は病院と道の駅を起点に、国道沿いや旧商店街などを通るルートで行われました。期間は約1年前の4月から5月末の平日の朝8時~夕方4時というスケジュールで、地元のシルバー人材にドライバーとして活躍していただいたそうです。

駅からお客さまを乗せて街中へ

オフグリット給電ポートで「移動の自由」と「カーボンニュートラル」を同時に実現

今回の実証実験で使用した給電設備 

ゼロカーボンシティ宣言をしている塙町だからこそ、今回こだわって導入されたシステムがオフグリット充電ポート。
屋根に太陽光発電パネルを搭載し、昼間に発電した電力を蓄電池に貯め、モビリティが戻ってきた夜間に充電される仕組み。系統電源に依存せずに独立した電源として運用でき、停電の影響を受けずに公共交通を維持することが可能です。また、エコな発電方法で地域の防災拠点としても活用できるため、様々な地域に普及させ安全性と持続可能性を向上させることを目的とし
独自仕様の開発も視野に入れているそうです。

モビリティ呼び出しシステム

呼び出しシステムを備えたタブレットを専用の什器で固定し、街中の3か所に設置。大面で地図表示とモビリティの位置確認も可能です。ユーザーは呼び出しボタンを押して予約し、ドライバーには呼び出し状況がリアルタイムで表示される。

今回の主要KPI

  1. 乗車人数=採算性

  2. 地元商業施設の理解

  3. 自治体・地元の協力

2、3も実証実験をスムーズに行うには重要な項目であるとおっしゃっていました。

乗車人数と利用状況

  • 43日間の期間中、合計1584人が利用。平均利用客数は1日あたり36.8人

  • 特にゴールデンウィーク期間中は利用が増え、最高106人/日

  • 人手の少ない雨の日でも30人以上が利用し、後半は定着傾向が見られた

個人的に興味深かったトピックとして。
プレスリリース後はNHK福島ニュースを含む67件の記事が掲載され、広告換算で約3,000万円相当の広告効果が得られたとのこと。
また「利用した地元の方からは多くの感謝のお声をいただき、笑顔の量産ができた実証だった」というコメントでした。KPIとしていた地元商業施設の理解、自治体・地元の協力があってこその、ユーザーからの評価だったのだと感じました。

地域へ溶けこむアプローチで、地域の課題を探ることからスタート

今回ご登壇いただいた高田氏と毬山氏

地域との共創は様々な面で難しい。とよく聞きますが、なぜこんなにも塙町の皆さんに受け入れられ、取り組みがドライブしていったのか。
「街の中でトヨタのさまざまなプロダクトを普及させる」という目的で、立ち上げ期は様々なモビリティ&アセットを提案し興味は持ってもらえるものの、地域の抱える課題やニーズの把握に苦労されたとのこと。
課題を把握するため、総務省の制度を活用し「外から来る人」ではなく「中の人」として地域にに深く入りこみ、自治体の皆さんのとの信頼関係を構築しながら塙町が抱えていた課題やニーズの深堀を時間をかけて行っていったそうです。地域の皆さんと共にソリューションを創り上げたこのプロセスはとても参考になりました。

プロジェクト外でも取り組んだ、地域住民との関係構築

またプロジェクトメンバーみんなで、地元住民の方たちが集まる地元の居酒屋などやスナックなど地域の交流の場に積極的に出向き、コミュニケーションをとっていたそうです。お互いに人となりを知ることで地域住民とのコミュニティが広がっていく、コミュニティ構築も事業の成長に重要な取り組みだと感じたエピソードでした。

自治体が自走できるサービスを目指して

実はこの後に1回目で出た課題の検証を目的として自治体の強い希望のもと、自治体主体で2回目の実施を行ったそうです。

  1. 外出、観光客の減る寒い時期でのニーズ

  2. 利用システムの改善

結果は良好で25年度の実装に向けた事業計画が始動。さらに地元の交通事業者・自治体とワークショップの実施、国の交付金の申請を目指して今後も「住人・観光客の移動の自由」や「町の活性化」を目指して伴奏していくとのこと。最後の質疑応答でも今後の収益モデルや運営上のさまざまなな知見もお話しいただきました。

イベント後のネットワーキング

その後はGLIPがあるシェアオフィスビルAxleの2Fで懇親会を実施しました。初めての取り組みでしたが、今後も継続し皆さんのネットワーキングを深めていくお手伝いができればと思います。

イベントではnoteにかけない裏話なども沢山お話していただけますので、少しでも興味を持っていただけたら一度イベントにご参加くださいね!
隔月1回のペースで開催しています。お申込みはPeatixから!

イベントの会場にもなっているTCの東京オフィスを私たちは
GLIP(Global Leadership Innovation Place)と呼んでいます。
GLIPはまさに“グローバルに人が集い、自らがリーダーとしてイノベーションを推進する場所”を目指しています。
「トヨタ自動車にできないことを」という志で、23年前、ベンチャー企業としてスタートしたTC。私の所属する先行企画部では新しいビジネスの創出に取り組んでいます。
単に売上や利益の追求だけでなく、「社会課題を解決し、人々の暮らしに貢献できる」「多様性を尊重し、グローバルな視点で豊かなモビリティ社会を実現する」を合言葉に。新しい事業の「タネ」を育て、わたしたちの手で、次世代のTCを生み出していきます。


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