マガジンのカバー画像

月の恋人

8
30歳を迎え、錯乱した「ぼく」がたどる不思議な物語。この小説は、地球で始まり、月を経由して、地球で終わる。とてもシンプルだ。ただ、喋り出すはずのないものが喋り出し、老人が過去を懐…
運営しているクリエイター

#小説

終章 記憶

38 土手沿いを風が吹いていた。風はあたたかみを帯びている。長い冬が去り、春が来ようとして…

6章 月面の蜜月

「時はぼくを変えていく。だけどぼくは時をさかのぼることはできない」(「チェンジス」デイビ…

5章 邂逅

「ぼくの人生があまりにも奇妙な時期を迎えているときに、きみはぼくに出会った」(映画『ファ…

3章 大学生

「智に働けば角が立つ。情に棹させば流される。意地を通せば窮屈だ。兎角に人の世は住みにくい…

4章 奇妙な相棒

「レエモンがピストルを私に渡すと、陽のひかりがきらりとすべった。それでも、われわれは。一…

2章 音楽が鳴る間は踊り続けろ

「踊るんだよ」「音楽の鳴っている間はとにかく踊り続けるんだ。おいらの言っていることはわか…