すこーし気になる病気解説します。【肺】の病気2つ vol.8
先日、可愛いアイドルが「肺血栓塞栓症」からの復活ニュースがupされていました。2020年以来、今まであまり聞きなれない病名や症状、若い世代の罹患者が増えていますね。どうしてでしょうね?(苦笑) 咳や痰といった症状が出る人も増えているので、日本呼吸器学会指導医である尾形英雄氏の話をもとにまとめてみました。
肺血栓塞栓症
肺血栓塞栓症とは、深部静脈血栓症が原因で、つまり、肺の血管に血のかたまり(血栓)が詰まって、突然、呼吸困難や胸痛、 ときには心停止をきたす危険な病気です。 この病気は、長期入院中や手術後にも発生することもあります。また、長時間飛行機に乗った際に発生することもあり 「ロング・フライト血栓症」とか「エコノミークラス症候群」と呼ばれることもあります。
肺非結核性抗酸菌症(肺MAC症)
非結核性抗酸菌は、水まわり、土やほこりの中など、私たちのごく身近に生息している菌です。肺非結核性抗酸菌症とは、その菌の空気感染によっておこる肺の慢性疾患です。
かつて日本の国民病といわれた「結核」の結核菌は、この非結核性が突然変異したもの。まさに親戚のような菌で、おもな症状が、肺や痰という点も似ています。ただ、性質は穏やかで、人から人への感染はなく、結核に発展するということもありません。
初期の頃は無症状なので、健診や人間ドックの胸部レントゲン検査で、肺に影があるといわれ、再検査で見つかるケースが多く、また咳や痰の悪化や血痰が出て発覚することもあります。
肺非結核性抗酸菌症の90%は、中高年女性に多い肺MAC症で、最近は特に増加傾向にあります。痩せ型の女性で、食事の量がたくさんとれず、栄養状態が悪い人に多くみられるのが特徴です。
また、この菌は42℃くらいの温泉や土壌に多く潜んでいるため、発病に関係するリスクには、風呂や園芸などが挙げられています。空気感染なので、風呂の水しぶきや、土をいじることで舞い上がる土ぼこりを吸い込むことが原因とされています。この病気の日本人の罹患率が高いのは、風呂文化にあるという指摘も。
一方、多くの人が、風呂に入り、日常的にこの菌に触れているにもかかわらず、発症するのは一部の人です。ということは、菌を恐れるというよりも、受け手側である、自身の体の免疫力を高めておけば、症状が出ないということになりますね。(ここがポイントです!)
罹患したあとのセルフケアで重要なのは、栄養バランのいい食事(特にタンパク質と良質な油)を心がけることに加えて、菌が発生しやすい風呂場のこまめな掃除をする、ガーデニングを避けることも必要です。
確定診断はCT検査と喀痰検査(2回以上陽性)で行われます。治療は、複数種の投薬治療が中心。軽症の場合は、経過観察、長く薬を飲んでも痰から菌が消えない場合は手術で肺の一部を切除することもあります。
肺MAC症は、7~8年かけてゆっくり進行するので、治療も長期にわたります。症状が軽いうちは、処方された薬を途中でやめる人もいて、悪化させてから、命にかかわるケースになることも。肺は一度壊れると再生しないので、しっかり治療を続けて完治させることが大切です。
2021年5月には、欧米で市販されていた新しい吸入薬「アリケイス」日本でも保険適用となり、使用可能となりました。これは気管支を通して薬剤が直接、肺の病巣に届くので、セルフケアでも改善しない方には、対処療法として有効かもしれません。
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