すこーし気になる病気解説します。【咳喘息】vol.5
咳だけがずっと止まらない…そんな方はいらっしゃいませんか?ソーシャルディスタンスを強いられてきている生活の中で、ゴホゴホと咳をしようものなら、たとえマスクをしていようとも周囲からの鬼のような視線が体中をつきぬける…そんな経験をした人も少なくないはず。長びく咳は、体力も消耗します。実は、私もそのような経験があり、咳喘息かと思い込んでいましたが、実は違っていました。自身の体験もふまえて、日本アレルギー学会認定指導医 灰田美和子氏の話をもとにまとめてみました。
咳喘息とは
一度風邪をひくと、ほかの症状は治まっていても、いつまでも咳だけが残る、という人は多いようです。そして、気になりつつも、放っている人も少なくない!
咳は本来、気道に吸い込んでしまった異物や細菌を排除するための生体防衛本能です。咳の原因はさまざまで、その持続期間は原因を探るうえで重要なヒントになります。
3週間程度で治る場合は、風邪などの感染症によるものと思われますが、2ケ月以上続く場合には、ほかの病気の可能性があります。
例えば、咳喘息・気管支喘息・鼻炎・後鼻漏・逆流性食道炎・アトピー咳・慢性閉塞性肺疾患(COPD)など。
これらの原因を正しく診断して、治療することが必要です。
咳喘息と気管支喘息の違いは何?
気管支喘息は、ヒューヒューという喘鳴がして、呼吸困難を伴います。一方、咳喘息は、喘鳴や呼吸困難はなく、咳が唯一の症状です。しかし、治療しないでいると、2~3年のうちに約30%が気管支喘息に移行するといわれているので、症状が軽い間にしっかり原因をみつけて対策、治療することが大切です。
また、長引く咳で以外と多いのが、慢性副鼻腔炎による鼻水や膿が喉に回って湿った咳が出る「後鼻漏」です。
間違われやすい咳として、食べたものが食道を逆流して、喉に引っかかって咳が出る「逆流性食道炎」もありますが、この場合は胸やけなどがあります。
咳喘息は、もともとアレルギー体質の人が風邪などをきっかけに発症することが多く、進行すると、タバコ、運動、冷気、飲酒など、ちょっとしたことで咳が出るようになります。特に夜間や早朝に多発し、たんや喘鳴を伴わないのが特徴です。
診断の際は、たんや喘鳴の有無、いつどんな咳が出るか、過去の疾患、家族歴、服薬状況などの問診に加え、血液検査やたんの検査、肺機能検査、画像診断、アレルギー検査などを必要に応じて行い、総合的に判断します。
初診の診断を間違えると、適切な治療がなされず、長期にわたって症状が改善されないばかりか、治療そのものが無駄になるのでご注意ください。
咳喘息には、抗菌剤や通常の鎮咳剤は効きません。治療方法としては、吸入ステロイド薬や気管支拡張薬などの、喘息治療薬で行います。処方された薬が効かない場合は、違う病気を疑った方がいいでしょう。
セルフケアとしては、アレルゲンとなるもの(花粉、かびやほこり、ダニなどのハウスダストなど)を除去し、バランスのよい食事で免疫力を上げること。そして、適度な運動や禁煙、ストレスをためない生活を心がけることが重要です。
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