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肩が痛くてベソをかいた日


左肩が痛い。ついでに背中も腕も鎖骨も痛い。呼吸するのも痛い。思い当たる節は何もない。朝起きたら「たいたいたい」とごく自然に声が出た。

寝ていた体が背中側から突かれるような感覚でミシミシと音を立てている。もしかしたら寝違えたのかもしれないと思い、それから3日間様子を見た。

結果痛い。なんなら痛みは増している。

名前を呼ばれて振り返ったところで痛い。書類を受け取ろうとして痛い。new jeansのモノマネをしようとして痛い。上司に泣く泣く早退を申し出て整形外科に駆け込んだ(痛い)。

レントゲンを撮り、炎症もないし筋肉きれいだなぁ…とお褒めの言葉をいただく。だが喜んでいられない。原因不明が一番困る。先生は私の腕を上げ下げさせたりした後、「痛み止めの注射か、または怖ければリハビリで地道に治療…」と言いかけたので「注射で」と瞬間回答をする。

「一番痛いところに注射するから」と、どこが痛いのか聞かれたが、正直わからない。動かすと色々なところが痛いのであって、ここと言い切れない。結局は先生に押されて痛かったところに打ってもらう。

ドスンとした痛みと共にステロイドが体内に送られているのを感じた。私の肩付近には今あの、よく皮膚科などでもらうステロイド軟膏がまんま入っていったんだぜ…と想像する。しかし直後はまだ痛みから解放されない。

今後、リハビリになるべくくるように言われる。私は生返事をしたが、先生には念を押された。電気だけでもいいから、と。電気。

次は体に電気を流す、と言われてホイホイと看護師の方についていく。筋肉をほぐすらしい。神妙な面持ちで静かに座る人々の列に入れてもらう。そこで後ろから吸盤のようなものを肩に2箇所付けられ、10分間電気を流してもらう。

自分が電子レンジの中に入れられて電磁波を浴び続けているような気になる。肩に一定のビートを刻む電流。隣の人も同じ電流が流れている。どこが痛いのだろう。話しかけそうになる危ういテンションはこの電気のせいだろうか。

電気が流れ終わり、痛み止めの飲み薬をもらい帰路に着く。そういえば受け付けでストレッチのパンフレットを渡された。

家に着いて薬を出すと共に、カバンに突っ込んでいたそれを開く。「五十肩とは」と書いてある。先生からは病名を知らされなかったがよもやとは思っていた。こんな知らせ方もある、優しい世界だと思うことにする。

いやしかし五十肩とは、自分の予想より全然早い。なんなら最近朝ランとかしてたんですけど?ストレッチとかもしてたんですけど?とフツフツと思いがたぎる。40代だかや四十肩だが、基本的には五十肩という呼び名が通称らしい。

気だけは若い、というのは本当だった。実際にフィジカルの方はガタガタで人より肩を先に壊しているあたり立派に年をとってきている。

全国の40代の皆さん、気をつけても仕方がない病は多々ありますが四十肩もそのひとつです。あなたは悪くない。悪くないので速やかに病院に行き不調を存分に訴えましょう。

肩の痛みは翌る日、嘘のようになくなってしまった。たぶん注射が効いているのだろう。今のうちに私は可動域を広げるべくストレッチし、せめて深い呼吸をしながら朝を迎えられるようにリハビリ開始していがなければならない。が、痛みがなくなると再び怠惰になることが予想される。

できればnew jeansのモノマネも再開したいし「
オマオマガ」の部分で腕を上げたいので、やるしかない。

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