縁を切った人に助けられた話
今日はたとえ縁を切った人でも自分を救ってくれることがあるんだなということがあったのでその話をします。
仕事である人を助けに行ったら異様なほどなつかれた
僕はダブルワークをしている。その仕事の一つで上司から「なんか困ってるようだから行って助けてやってくれ」と言われ、駆け付け手助けをした。
その40代後半とみられる人は、まだこの仕事を始めたばかりでかなり混乱していた。てんぱっているといってもいいほどだった。というか涙目だった。ちょっと引いた。てんぱり君だ。年上だけど。
しかし詳細を聞くとそもそも任された仕事量が多すぎなことが一番の原因だった。慣れている自分でもこの仕事量は無茶苦茶だと思った。わかりやすくたとえるなら、入部初日の野球少年に1000本ノックさせているようなものだった。グローブのはめ方とかバットの持ち方教えることからじゃね?と思うだろう。というか準備体操すら教えてない状態だった。
さすがに同情してしまい、ひたすら謝るその人に俺は
「大丈夫ですよ」「これはさすがにあなたのレベルが低いとかじゃないですよ」「助けられることもあるし、助けることもありますよ」「俺も助けられたことありますし」
などと優しく対応した。
結果、超なつかれた。コーヒーおごられた。嫌いなんだけどコーヒー。
そして・・・・電話番号聞かれた。
断りたかったけど断れなかった
電話番号聞かれた瞬間、内心「えっ!!」って思った。ほんとはちょっと嫌だった。だって初対面だもん。というかその人とつながることで俺のメリットある?とかおもっちった。
でも今の今までテンパり君に優しくしてたのに断れる?向こうにしたらピンチに急に表れてくれたヒーローなわけじゃん?俺。
「やめるんだー!バイキンマーン!」って現れたアンパンマンがバイキンマン撃退した後に
「ありがとう!アンパンマン!・・・でもおなかすいちゃったなあ」って言ってる子供に「・・・あげないよ?あっちにファミマあるけど?」って言ってるの見たことある?ないっしょ?
だから教えた。進む道は一つしかなかったのだよ。
「今度飯でもいこーよ」とか来たらどうしよう
そのあとからずーーーっと不安だった。
めちゃくちゃ電話来るのかなとか、ショートメッセージでガンガン連絡きまくったらどうしようとか、無視したらキレだす奴だったらどうしようとか、「今度飯いきません?」とか言われたらどうやって断ろうかなとか。上司経由で「全然電話出てくんないって言ってたぞ」とか言われたらヤダなとか思ってた。
その夜のハイボールは500MLを二本買った。
過去にいたコミュ力のラスボス
考えすぎていい加減すげー疲れてしまった。悩み飽きても来た。その時によくやる考え方が「あいつが俺だったらどうしてたかな作戦」だ。これはなかなか効果が高い。
過去に勤めていた会社の先輩でコミュニケーション能力が異常レベルな人がいた。いい意味で異常だった。昼飯を食いに行った飲食店の駐車場で自分の大好きな車が入って来たのを見て降りてきた人に声をかけた。もちろん初対面だ。で、結局その初対面の人が乗っていた車をその人から買った。
化け物だ。Tシャツだってそんな買い方はしない。なんなんだこいつは。そういえば仲のいい先輩がその人のことを「人たらし」って呼んでたな。そんなコミュ力モンスターだから友人、知人の数も普通じゃなかった。
あの人だったら多分、電話番号教えてるわ。そして
プライベートでも仕事中でもよくその人の携帯電話は鳴っていた。そしてスパッと電話にも出ていた。仕事中に出んなよ。
すげーなあと思ってみていたが、電話を切った後にたった今電話で話していた人の不平不満をべらべらと話すこともあったし、電話の相手に「あーーごめん!その日はほかに約束あるんだわ!」と言ってあっさり誘いを断っている場面もよく見た。
あの人が自分の立場だったら、テンパり君に電話番号はあっさり教えていただろう。そして電話がかかってきたら出ていただろう。そして断るときはあっさりと断っていただろう。たまには嘘とかついて断ってたりもしてたのかもしれない。
あの人を憑依させよう
そっか。電話とかメールとかが頻繁に来たらあの人になればいいんだ。電話にあっさり出て簡単なことなら答えて、嫌な誘いはあの人みたいにあっさり断ればいいんだわ。
そう思ったら気持ちはだいぶ軽くなった。
そして結果、テンパり君からは次の日に丁寧なお礼のメールが来ただけだった。
もう存在しないコミュ力モンスター
このコミュ力モンスターとは今はもう縁を切っている。会社を辞めてから何度か電話したが、俺は彼の「大事にしたい人脈リスト」からはどうやら外されたらしく、異様に冷たい態度を取られたからだ。
もちろんそんな態度を取られる筋合いなどないので、頭にきて二度と電話していない。向こうもこちらの番号など登録してないだろう。
だが彼との出会いには感謝している。彼を観察したという記憶があったからこそ、今回の俺の経験に彼だったらどうしただろうと想像できたからだ。縁を切ったとはいえ、彼のコミュ力があったらどうしただろうと想像できたしその想像によってストンと楽になれた。
いろんな人と会うべきだなあと改めて感じた。フットサルでもはじめっかな