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レポート課題【小論文】

 先生のお話をお聞きして、自分たちが如何にお金に支配された考え方をしているかに気づかされました。いい大学に入るのもいい会社に行くためでその究極の目的はお金を稼いで幸せになるためです。でもお金は天下の回りもので、その天下は資本主義社会でもあります。小さいころから人に優しくしましょう、でも他人を蹴落としてでも競争していい学校へ行け、と相矛盾した価値観の支配する教室でその空気を存分に吸って僕たちは「育って」来ました。骨の髄までその「矛盾した」価値観が身に付いているために、お金の支配下から抜け出して、先生の今日のお話が見せてくれる「お金を稼がなくてもいい」「みんなが助け合って生きていく」近未来を素直に信じられた学生はどれくらいいたでしょうか?
 ここに「お金」の支配力が圧倒的なものだということが見て取れます。僕個人は資本主義的な価値観が全く合わなくて、一度は社会からドロップアウトして、でも底辺で生きていくのが嫌だから今年で結構いい年齢になりますが、もう一度「お金を稼ぐ」という価値観の下での成功を目指していい就職に有利なこの大学に入学しました。正直なところいい大学に行くことに意味を見出せずにいます。いい会社に行くことにも意味を見出せずにいます。お金を稼いで幸せになるという世の価値観に疑問しか抱いていません。なので先生のおっしゃる世界観に共感するところは多々ありました。でも力のない人間は「お金」の支配力から自由にはなりにくいです。だから意味を見出せなくてもいい会社を目指して、お金を稼ぐレールに心ここにあらずで乗り込んでいくのです。
 戦争や自然破壊をもたらすのはその様な人間の諦念、諦めが原因だと思っています。そしてこの矛盾した世界を圧倒的に支配する資本主義が断末魔を叫びながらのた打ち回る終末にも似た今の世界情勢の中で、正直なところ眉唾ものの精神世界的な世界革命とでもいうべき、意識の上昇、次元を高く持ってお金の支配から自由になる、という文言や言葉のパワーは人を酔わせるに十分かとも思います。でも本当に世界を変えるには相当な責任を持たなければなりません。その甘い言葉が本当に有用に作用するのかどうか、大規模な社会実験を行う必要があると思います。
 先生の言われる「利他」の心で助け合う価値観が資本主義的な競争意識に勝る装置をどこに植え付けるべきか、僕はそのことに興味があります。おそらくは洗脳装置としての教育でしょう。しかし教育機関の先がまだ資本主義的な社会であるならば、その理想は多くの理想主義的な実験装置でしかなかった教育機関のように共産主義的に滅んでいくのは歴史が証明しています。そのような失敗を繰り返している時間はもうほとんど僕たちには残されていません。でもお金の支配を打ち破ることは容易ではない。そのジレンマの中で若い世代は時代を変えていく価値観を拠り所に100人に1人でもいいから、いいアイデアを出していい装置を偶然でもなんでもいいから開発、発見していくプロセスがこの社会のあちこちに生まれ出て来ることを期待するしかないような気もします。どっちにしろ多くの人が資本主義的な価値観に疑問を持っていることは確かですし、先生が今日お話された「ユングの集合無意識」の考えのように、奥深くで繋がっているなら、その無意識に訴えるような「脱資本主義」「助け合い精神」などが顕在意識にまで浮かび上がって来るなら、一晩にでもこの社会は変わっていくような気もします。
 最後に余談ですが、僕もかなり精神世界に興味があっていろいろと本を読んできたので先生の話とか既視感があってそんなに抵抗なく入ってきたところがあります。きっと多くの人はこんな競争社会ではなく、夢物語でもいいから常識とは外れたそういう精神世界的な価値観で世の中が動いていくことを、心の何処かで望んでいるのではないでしょうか。僕もこの社会がいろいろと矛盾を孕んでいると直感したから「そっち系」の本を好んで読んできたのかもしれません。でも今や戦争やパンデミック、自然破壊など待ったなしの危機が(人工的であるにしろ)人類を脅かしているので、「死にたくない」「このまま滅びたくない」という人類の集合無意識が強く結束して「競争資本主義」の世の中を一気に変える日も案外間近に迫っているのかもしれません。さっきと同じようなことを言っていますね、すいません。
 できれば僕も世の中を大きく変える仕事をしてみたいです。社会のシステムを根本から変えるような大きな仕事を。だから、今日の先生の話は凄く大きなヒントになった部分もあったので、技術だけでなく「利他」の精神に基づいて研究などに励んでいきたいと思いました。最初は「これ大丈夫かな」と思ったりしましたが、先生の実直な人柄や「世の中を変えたい」という思いが伝わってきたので、お話が聞けて良かったと思います。ありがとうございました。

【補足説明】
大学の経営論の授業のレポートを個人情報を伏せてほぼそのまま掲載しております。いいのかなと思ったりしますが一昨年の授業のものでたぶん成績評価も終わっているので大丈夫だと思います。ひとりひとり異なる経営者の話を聞いてその課題に答える感じでこの回は記憶が確かなら「ベーシックインカム」の導入とか地域通貨の話とかだったと思います。でもそれ以上に精神世界の話のインパクトが凄かったのでそっちをメインに書いてしまいました。ちなみにこの3回後期で一回途中でガス欠起こして休学しているのでこの授業最後まで受けておりませんでしたが、今期また2度目の3回生後期で同じ授業を履修して、ようやく最後まで受講してレポートもすべてちゃんと出したので単位はあると信じております。ちなみに僕自身は工学部ですが教養科目的に経営論も取っております。
 
 
 

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