「文系」は想像力を磨く
column vol.1316
テクノロジーの進化が急速に進む中、理数系人財に光が当たっているような気がします🤔
それは、単たる文系の私の僻みなのかもしれませんが…(笑)、
何となく文系にも光を当てたいところです〜
最近、面白いと思ったのが、プレジデントオンラインの【「第2、第3のiPhone」を作るにはこの方法しかない…世界の一流企業が次々と採用している 「文系人材」の正体】という記事。
〈PRESIDENT Online / 2024年10月29日〉
タイトルから期待が膨らみますね。
キーワードとなるのが、「SFプロトタイピング」です。
ますます注目!「SFプロトタイピング」
SFプロトタイピングは以前、【革新を生む「SFプロトタイピング」】でも取り上げさせていただきましたが
プレジデントの記事を読むと、より文系人材にとっての希望の星になりそうだとイメージできます。
ちなみに、SFプロトタイピングは、SF作家の想像力を活用し、未来の事業や製品などのアイデアを考えようというコンサルティングの手法になります。
日本ではまだポピュラーではありませんが、アメリカでは10年以上の歴史があります。
次々と新しいテクノロジーが生まれていますが、それによってどのように社会を変えることができるのか、ということも同時に考える必要があります。
SF映画を思い浮かべていただくと分かりやすいと思いますが、映像化(物語化)することで、観た人が共通認識(イメージ)を持つことができる。
これにより、開発に推進力が生まれるわけです。
アメリカのリーディングカンパニーのサイフューチャーは、いち早くこの需要に気づき、100人以上の作家をネットワークしました。
導入企業で先駆けと言われているのが、半導体大手のインテル。
同社が取り入れた理由は、開発していた集積回路にあります。
ライフサイクルが10年前後と長く、次世代の製品を開発するためには10年先の未来を考えなければならなかったからです。
他にも、VISAやペプシコ、フォードなどの名だたる大企業がSFプロトタイピングを行っております。
日本ではイノベーションを「技術革新」と訳すことが多いですが、単なる技術だけの話ではありません。
イノベーションの本来の意味は
にあります。
技術によってどんな世界に変わるのか?
想像力がなければ、技術の持ち腐れになってしまうというわけですね。
日本でも広がるSF思考
日本でも少しずつ、SFプロトタイピングは広がっています。
例えば、NTTです。
〈ITmedia NEWS / 2023年8月25日〉
同社が2020年に発表した指針「デジタルツインコンピューティング(DTC)構想」内で掲げたグランドチャレンジのテーマに、自分の分身のようなAIエージェントをつくる「Another Me」と
言語や文化などの違いを超えて心の中の捉え方や感じ方を直接的に理解し合える技術の「感性コミュニケーション」というものがあります。
この2つのテーマを研究する上で、技術がもたらす未来社会とそこに生きる人々を描き、実現への道筋と課題を浮き彫りにする。
そのために、SF作家を交えたワークショップなどを実施し、Another Meと感性コミュニケーションを題材にした物語を描いたのです。
これには、主に3つのメリットがあります。
物語をつくることで、技術の開発・実装に向けて、「どんな社会・暮らしを実現できるのか?」、「どんな問題点が生まれるのか?」、そうしたことがハッキリする。
NTTデジタルツインコンピューティング研究センタの高山千尋さんは
と語っていらっしゃいますが、ビジョンと技術の架け橋になるのが物語であるということが、よく分かりますね。
さらに、物語は登場人物の感情の変動や人がどう生活しているのか、何を考えているかが、かなり細かく描かれている。
単なるベネフィットの理解だけに留まらず、人の心にどのような影響を与えるかというところまで感じられるというところが大きいわけです。
NTTのほかにも、ソニーグループでは2050年の健康や人生をテーマにした試作品をデザイン部門がつくり、パナソニックではZ世代が100歳になる2096年の暮らしを考えるプロジェクトを実施。
NECやLIXIL、農林水産省などさまざまな組織が未来を考えているのです。
「未来構想部」をつくる
SFプロトタイピングは、SF作家とビジネスパーソンがワークショップ形式で構想していくということが多いと思うのですが、SF作家でなくても、クリエイターにも向いている仕事だと思います。
コピーライターやデザイナーからSFプロトタイピングに参加している方も増えていますし、既成概念に囚われず、飛躍して想像し、言葉に絵にできる方は、今後注目の参入分野になるでしょう。
また、個人的に今後生まれていくと予想しているのが「未来構想部」という新しい部署ができることです。
【「対話型」で成長する時代】でも語りましたが
単純作業はどんどんAIが代替していく未来において、私たち人間は高度な認知力を必要とするアイデアの創造といった仕事に、よりシフトしていくことになります。
人間が構想して、AIが実行するという役割分担になるのであれば、よりSFプロトタイピングを行う社員が増えていってもおかしくはないでしょう。
新しいテクノロジーを開発する人たちと、テクノロジーを実装して変わる社会を構想する人たち。
分かりやすく言えば、前者が理系で、後者が文系となるわけです。
もちろん、文系の私も最近では理系の知識を勉強していますし、今後は文理を分けない教育というものが望ましいですが、今回は分かりやすく説明する上で、そのように表現させていただきました。
少なくとも、文系人財も、今後の未来に期待するためのヒントが、【SFプロトタイピング・想像・構想】という話に詰まっていると思うのです😊
そんなことを信じながら、日々、クリエイティビティを磨いていきたいと思います〜
本日も最後まで読んでいただき、誠にありがとうございました!