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広がる「マンガ家」の可能性

column vol.1030

マンガ『FAIRY TAIL』などで知られる真島ヒロさんの新連載『DEAD ROCK』(デッドロック)が、7月6日発売の『月刊少年マガジン』8月号よりスタートすることが今週発表されました。

〈ORICON NEWS / 2023年6月6日〉

現在、真島さんは『週刊少年マガジン』『EDENS ZERO』、そして漫画アプリ『マガポケ』『FAIRY TAIL 100 YEARS QUEST』を連載。

…ということは…、7月から3作品同時連載を抱えることになったわけです…

マンガの連載は1本だけでも大変だと聞きますので…、凄いですね…

…余計なお世話だとは思いますが…、圧倒的な仕事量に…お体は大丈夫なのかと心配してしまいます……(汗)

そして、仕事量といえば、マンガ家さんたちの作業負担を軽減すべくローンチしたあるAIサービスの姿が頭に浮かびます。

「コミコパ」という名前をご存知でしょうか?

AIがマンガ家をサポート

コミコパはアル株式会社が、対話型AI「ChatGPT」を活用して開発したマンガ制作サポートサービス

無料で使えるということもあり、先月リリースされ、10日間でユーザー数が2万5000人を超えるほど、注目が集まっています。

〈PR TIMES / 2023年5月29日〉

このサービスは同社が集英社「少年ジャンプ+」編集部共同で開発

マンガ投稿・公開サービス「ジャンプルーキー!」「マンガノ」とコラボしているということで一躍有名になったのです。

では、AIがマンガ家に対してどんなサポートをしてくれるのか?

そのメニューがこちらです。

【手間のかかる作業を一瞬で】
・セリフを短くする
・別の文章に言い換える
・セリフを校正する
【アイデア出し・ブレスト】
・テーマを一緒に考える
・マンガのタイトルを提案
・キャラクター名を考える
・必殺技名の考案
・固有名詞を考える
・もし〇〇が言ったらと考えてもらう
【相談相手として】
・とにかく励ましてもらう
・とにかく話をする
【客観的な視点で】
・評価や感想を聞く
・仮想読者のフィードバック

※機能は今後、随時追加予定

こうしたサポートをAIが行ってくれることで、マンガ家の作業軽減やアイデアの行き詰まりを解消し、さらにはメンタルケアまで可能に。

多くのマンガ家を助けながら、新しい才能の開花につなげようとしているのです。

マンガ産業は新たな黄金期へ

マンガ産業は、新たな黄金期を迎えようとしています。

その牽引役となっているのが「デジタル戦略」です。

出版科学研究所によると、電子書籍の市場は2014年から8年で4倍超約4662億円に成長。

この上積みは大きく、電子書籍を加えた出版物の推定販売額は、2019年からは2年連続増に転じています。

〈YAHOO!JAPAN NEWS / 2023年5月7日〉

利益率の高い電子書籍市場の拡大に伴い、出版社の業績も復調

『DEAD ROCK』がスタートする講談社は3期連続で当期純利益が100億円を突破

コミコパを共同開発した集英社に至っては、売上高が2000億円に達した年度もあり、デジタルや版権などの「事業収入」は、今や売上高の半分以上を占めています。

一方で、マンガアプリの多さは、競争激化のレッドオーシャン状態

今後のマンガビジネスのポイントは、プラットフォーム(マンガ誌やアプリ)で人気作を抱えると同時に、その人気があるうちに新たな有望作を見つけ出して、次の看板作にすることにあります。

ですから、先ほどのAIサポートサービスもそのうちの一手だと整理できますね。

そして、AIとの共同作業は、絵を描かない人にもマンガ家になる可能性を示唆しています。

その代表的な事例となっているのが、Rootport(ルートポー)さんが手掛ける話題作『サイバーパンク桃太郎』でしょう。

〈YAHOO!JAPAN NEWS / 2023年5月31日〉

感情と経験が武器になる

かつて【AIと人間の “違い” と “共存” 】という記事でも取り上げさせていただきましたが、Rootportさんが独自のストーリーをつくりながら、絵は画像生成AIの「Midjourney」を使用

新しいマンガ家の形を見せてくださっています。

Rootportさんは、藤井聡太さんを始め今や将棋の世界ではAIとの共同作業が当たり前になっているように、マンガ家の世界も同じようになると仰っています。

一方、マンガ家AI時代の先頭を走るRootportさんであっても、人間ならではの能力や可能性について、このように言及しております。

手の描写が苦手、などという具体的な課題も、ものすごいスピードで解決されていっています。ただ、私がAIを使いながら感じていたのは、彼らには感情と経験がない、ということ。例えば、もしも私がクラシックの作曲家だとしたら、自分がつくった音楽をPCで演奏させることもできるけれど、やっぱり人間のフルオーケストラに演奏してもらいたいと思うでしょう。AIを使えば漫画の作画はできますが、どうしてもそこには越えられない壁があると思います。人間の絵描きが絵を入れると、絵に命が宿る、とでもいえばいいでしょうか。人間は、感情だとか、過去の経験であるとか、誰かに伝えたいというコミュニケーションの能力であるとか、そういうAIが持っていないものも加えて出力するので、そこが違いになる。たとえば、怒りの顔を100個くらい出すとしたら、いろんな怒りの顔をMidjourneyは出してくれますが、そのシーンにぴったりな顔がどれなのかは分からない。それが分かるのは、感情を持つ人間です。

感情経験

ここに、人間の大きな可能性があるというのは、非常に共感します。

逆に言えば、これからのマンガ家は仕事場に篭って作業に没頭すること以上に、外に出てさまざまな喜怒哀楽を体験した方が良い作品を生み出せるのかもしれません。

しかし、それはマンガ家だけではなく、全ての仕事にも言えることだと感じています。

私もマーケターとして机に向かう時間を今までよりも減らしていくことが、AI時代に輝ける人に近づくと信じています。

いずれせによ、今まで作業に追われていたマンガ家の皆さんが、感情と経験に時間を割けるようになった時、これまでにない新しい名作が生まれるかもしれないと考えるとワクワクします😊

ちなみに少年ジャンプといえば、2019年の『シティハンター』に続き、今年は『聖闘士星矢』海外の制作会社との共同で映画化されるみたいですね。

〈読売新聞 / 2023年5月24日〉

私が子どもの頃の作品が、ますます世界に広がっている。

日本のマンガ文化が世界で評価されていることは言うまでもないことですが、新しい才能が次々と生まれる環境をさらに高めていけば、今まで以上に大きなインパクトを与えていくことになるのでしょうね。

今後のマンガ界の展開が楽しみです〜

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