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「誰の」「何を」解決するのか?
vol.1393
2023年(1~12月)に日本国内で新設された企業は、2024年4月時点で15万2860社(前年比7.9%増)判明。
過去最多を記録しました。
一方で、…なかなか続かないという企業も多い。
2017年の「中小企業白書」によると、廃業する確率は開業から5年が経過した時点で18.3%です。
つまり、5社に1社は起業から5年以内に廃業していることになります。
それだけ生き残ることが大変なわけですが…、生存率を高めるためには、どのようなことを意識するのが良いのか?
今日は、その1つである「誰の、何を、解決するのか?」を明らかにするという話をしたいと思います😊
SNS集客の落とし穴
起業にまつわる興味深い記事があります。
それは、PHPの【集客に成功している女性起業家ほど、“SNSに頼らない”これだけの理由】という記事です。
起業家育成コンサルタントの吉田淑恵さんは、起業家のSNS利用について、このようなお話しされています。
「起業をすると、多くの人が真っ先にSNSでの集客を考えます。
InstagramやLINE公式アカウントの使い方を学ぶセミナーに参加することが一般的ですが、じつはこれがいちばんの落とし穴なのです。
起業のはじめにまず取り組むべきは、SNS集客ではありません。
SNS集客が効果的でない理由は、事業の軸が整っていないからです。事業の軸が整わないと、発信の内容がブレてしまい、どれだけがんばっても効果は出ません」。
〈PHP / 2024年12月4日〉
つまり、事業の明確化について曖昧な部分があると、コミュニケーション戦略など施策を考えても効果が発揮できないというわけです。
この事業の明確化において、大切なのが「誰の、何を、解決するのか?」を明らかにすることというわけです。
解決の部分は「ハッピーにする」「約束する」などの言葉に差し替えても良いかもしれません。
その際、大事なことは対象を絞り込むこと。
吉田さんは、このような例を挙げています。
「『子育て中のお母さん』といった広いカテゴリーではなく、『3歳以下の子どもを持つお母さん』といった具体的な属性を設定します」。
「絞る」と増える
こうした絞り込みをすることで、「顧客対象者は増える」と仰っているのです。
…いやいや…、対象を絞ったら、顧客は減るでしょう…?
と思う方も多いと思いますが、確かに普通に考えたら、そうでしょう。
しかし、絞り込むことで、逆に刺さることは多いのです。
私がコンサルのときに事例として使わせていただいている万田酵素の広告があります。
まずは、こちらの広告をご覧ください。
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「快適な毎日を」
というコピーなのですが、どうでしょうか?
興味がそそられますでしょうか?
一方、次のバージョンをご覧ください。
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「実年齢より上に見られがちなあなたに」
とあります。
対象をかなり絞っています。
でも、私はこちらの広告の方が興味がそそられる方は多いのではないかと感じているのです。
まず、キャッチコピーとその下の「若々しい毎日」というコピーによって、アンチエイジングに意識を向けている方(誰の)のための広告であることが伝わってきます。
そして、「実年齢よりも上」と絞っているのですが、年相応に見える方も、今は年齢よりも若く見える方に関係ない話かというとそうではない。
なぜなら、誰しもなるべく若く見られたいし、若さを保ちたいとは思っているからです。
そうなると、結局はみんなの心に届くメッセージになる。
事業も同じです。
絞ることで「特徴」が生まれる
飲食業で考えると分かりやすいと思います。
例えば、「ラーメン屋」と聞いて、不思議に思う人はいないですよね?
でも、定食屋やファミレスからすれば、ターゲットを絞っているわけです。
さらに、「激辛ラーメン屋」と絞り込んだとします。
確かに、これによって対象がより狭まっているのですが、逆に「特長」が生まれていると思いませんか?
「蒙古タンメン中本」ではないですが、この特長によって他店舗展開できているお店は多いわけです。
それは「かつや」や「てんや」などメニューを絞り込んで成功しているチェーン店があるからことからも分かるでしょう😊
もちろん、単に事業を絞り込むことが良いというわけではありません。
コングロマリット企業であっても個性が際立っている企業は多い。
大切なのは、特長、もっと言えば他社にはない「競争力」を見える化することが肝要なのです。
その第一歩として、「誰の、何を、解決する」企業なのかを確認していく。
当然、そこで競合がよりハッキリしてくるはずですので、競争力が足りないと感じた場合は、新たなスキルやノウハウを獲得するための努力をしていく。
それを当社では「選ばれる理由づくり」と呼んでいるのですが、起業したばかりの企業だけではなく、
「最近、新規が増えない…」
「顧客が減少している…」
と思う方がいらっしゃったら、ぜひ参考にしていただきたい一手です。
まずは、肩慣らしにnoteでやってみても良いかもしませんよ😊
本日も最後まで読んでいただき、誠にありがとうございました!