自分自身が強い「N1」なのか?
vol.1362
昨日は、年末年始に会えなかった母親と会うため、実家のある鎌倉に行きました。
長谷にある「MOKICHI」というレストランで新年会を実施。
〈MOKICHI / Webサイト〉
建物の上部にあるレールが特徴的なお店です。
実は、旧神奈川県鎌倉加圧ポンプ所を改装した店舗で、非常にユニークで素敵な空間。
食事も、クラフトビールやグリル料理で胃袋を掴まれます。
特に、ピザはふわふわモチモチの生地の食感がたまりませんでした😊
江ノ電の長谷駅から降り、鎌倉大仏殿高徳院を超えて、さらに歩いたところにあるので、アクセスは非常に悪いのですが、それでも多くのお客さんで賑わっていました。
…と、グルメブログ的な話になっていまいましたが…、私のアカウントはビジネステーマ。
〜ということで、早速仕事に役立つ話に切り替えていきたいと思います。
鎌倉といえば、最近気になったニュースがあったのです。
良いことを丸5年続けられた秘訣
それは、鎌倉経済新聞に掲載されていた【ごみを拾いながら1時間「朝の鎌倉まち歩き」。毎週土曜に続けて丸5年】という記事。
〈鎌倉経済新聞 / 2024年12月23日〉
鎌倉駅周辺で毎週土曜8時から行われている「朝の鎌倉まち歩き(ごみを拾いながら)」が取り上げられています。
こちらの活動を運営しているのは、「鎌倉ヘイセイズ」という平成生まれの若者たちが立ち上げたボランティア団体。
雨天以外は毎週欠かさず開き、毎回10人~30人が集まり、参加者は延べ2300人を超えているそうです。
そうした想いから始まった活動なのですが、こうした美化活動は非常に大切なことなのだけど、なかなか続かない場合が多い…
…やはり、良いことは義務になりやすく、義務だと息切れしやすいわけです…
だからこそ、鎌倉ヘイセイは様々な工夫をしています。
まずは、「朝の鎌倉のお散歩会」という楽しみを前面に出したこと。
そして、ごみの分別を利用して、交流を生み出しています。
最初に燃えるごみ、プラ、ペットボトルなど担当を決めてごみ袋を持つ。
拾ったごみはその都度、それぞれの担当が手にしているごみ袋へ入れることで、自然に全員と交流できるというわけです。
こうした知恵により、老若男女が参加し、仲間が広がっている。
非常に素晴らしい取り組みだと感じます。
そして、私が特に注目したのが、同団体の上岡洋一郎さんの次の言葉です。
つまり、毎回その日の気分で歩く場所(ごみを拾う場所)を決めている。
ここにも、5年間続いてきたヒントがあるのではないかと感じるのです。
最近注目の「N1分析」
毎回その日の気分で歩く場所を決めているということは、逆に言えば、その日、本当に歩きたい場所を決めているということです。
いくら良い景色を見ようと思っていても、寒い日に寒い場所を歩いていてもキツイだけ…
また、曇っている日と晴れている日では、心に沁みる景色は違うでしょう。
季節も含め、その日に一番行きたい場所をメンバーが頭に浮かべながら集合する。
そうして考えたメンバーの「本当に行きたい場所」だからこそ、参加者の共感を得やすいわけです。
最近、マーケティングの世界では「N1分析」に注目が集まっています。
N1分析とは、顧客の中から特定の1人を抽出し、自社の商品やサービスに対する考えや意見を深掘りする分析手法。
つまり、「N1」は「N数(サンプル数)=1」を表し、1人の実在する顧客に焦点を当てて分析を行うというわけです。
普通、リサーチは演繹的に行いますが、N1分析は帰納的。
1人の事例から顧客のニーズをより詳細に理解し、商品開発やサービス改善に必要な情報を収集するという方法なのです。
もう少し分かりやすく言うと、普通(演繹的)のリサーチだと、例えば400人のアンケート調査を行い、そこからペルソナを抽出していく。
でも、ペルソナはあくまでも架空でしかありません。
一方、N1は確実に存在する顧客であるわけです。
リアリティが違います。
であれば、徹底的にその1人を深掘りする。
デプスインタビューよりも、さらに極端に1人に焦点を当てる点が特徴的なのです。
この時、選ばれるN1はその商品を非常に強く愛している1人。
コア中のコアファンを徹底的に深掘りすることで、その商品の「便益(買う理由)」と「独自性(ほかの選択肢や代替を買わない理由)」を見い出し、そこを唯一無二の価値として打ち出す。
そして、その価値が共感するファン(お客さん)を集めるというわけです。
一番のファンは私である
N1分析をより詳しく知りたい方は、ぜひ『ビジネスの結果が変わるN1分析 実在する1人の顧客の徹底理解から新しい価値を創造する』という本がオススメなのですが
N1分析を深く知っていくと、結局のところ、提供者側の企業がいかに強い想いを持つかということが大切だと知ることができます。
よく、当社の先代社長が
という意識が大事ということをクライアント企業に話していましたが、やはり、提供する側が「本当に良い」と思っていないと、お客さんには刺さらないというのが真理でしょう。
しかし、企業側は演繹的なリサーチを繰り返し、
と、提供する自分の気持ちとどんどんギャップが生まれてしまっている。
N1分析は、提供する側がコア中のコアファンと対話を繰り返すことで、お互いの強い共感ポイントを見つけるという手法。
強くそう思っているファンと、そのポイントに強く共感する提供者が結ばれることで、その商品の真の価値を見い出そうというわけです。
今回の鎌倉ヘイセイの活動から、運営メンバーたちがこの活動の一番のファンであることが伝わってきます。
自分たちが毎回楽しみにし、毎回本当に行きたい場所に行くから、そこに強い共感が生まれる。
そして、そこに集まる参加者(ファン)との交流の中で、次の運営のヒントを見つけている。
非常にN1分析的要素を感じたのです。
ですから、普段の仕事において、自分が提供するものは「自分自身が本当に良いものだと思っているのか?」ということを常に問い直すことが大切だと言えます。
それが前提である上で、演繹的なリサーチを取り入れていくことが、理想的なのです。
noteもそうでしょう。
昨日、【note継続の秘訣は「後回し」?】で「継続」について書きましたが
その時書いたテクニック論も大事ですが、その前に自分のアカウントの一番のファンが自分であることが望ましい。
自分が読みたい記事であるから、次も書きたく(読みたく)なる。
それにより、継続していけるだけではなく、そこに強い共感が集まることにもつながっていくでしょう😊
〜ということで、私も鎌倉ヘイセイを見習って、自分の仕事を、自分のnoteアカウントを自分が一番愛せるように心がけていきたいと思います。
本日も最後まで読んでいただき、誠にありがとうございました!