「AI」を何のために使うのか?
column vol.1021
この半年、chatGPTはホットトピックになりましたが、最近ではだいぶAIに対する理解が進んだと思います。
そんな中、面白いと思ったのがプレジデントオンラインの【三流は情報収集に使い、二流は自分がラクをするために使う…一流の人の「スゴいChatGPTの使い方」】という記事です。
〈PRESIDENT Online / 2023年5月19日〉
と来て、一流はどのように使うのか?
…個人的には「ラクしよう」と思っていただけに、非常に気になります(笑)
そもそも海外にも目を向けた時、世界のビジネスパーソンはどのように活用しようとしているのか?
まずは、そこから確認していきたいと思います。
「従業員育成はAIスキルを優先」97%
Salesforceがシンガポールやインド、オーストラリア、フランス、アメリカを始めとする11の市場・1万1035人の労働者を対象として2月に実施した調査によると
ほぼほぼですね〜
〈ZDNET / 2023年5月18日〉
そして、生成型AIが自らの作業にどのように影響するのかを認識しているとした回答者は
そのうち実際に日々の業務にAIを用いていると答えているのは
になります。
総じてAIの活用イメージは何となくはあるものの、まだまだぼんやりしていると言えるでしょう。
それを裏付けるような話もあります。
シンガポールの情報通信メディア開発庁(IMDA)でデジタル業界および人材グループのクラスターディレクターを務めるテレンス・チアさんによると
と、その現状について言及しております。
そんなわけで、改めてプレジデントオンラインの記事に戻るのですが
ということに目を向けたいと思います。
「情報収集」も「自分がラクをするために使う」に入りそうですが、これだけ三流に回されているのが気になりますね…
筆者のnote CXOであり、インタラクション・デザイナーの深津貴之さんは
という特性に触れ、「正しい情報を得るための検索ツールだと思って使うのはやめた方がいい。結構知ったかぶりして間違った情報を返してきます」とアドバイスをくださっています。
大切なのは「質問力(指示力)」
つまり、検索において、数多ある情報の中で「これが正しい情報なのではないか」という提示の仕方なので、ファクトチェックは必ず人間がした方が良いと指摘されております。
深津さんは、このことを強調するために三流部門をつくられたのかもしれませんね(……多分…)。
では、普通は「ラクしよう」と思うところ、一流の人はどうするのか?
それは
ことにあるようです。
chatGPTを上手く使いこなすには、「質問力」や「お願い力」「指示力」を磨く必要があります。
これ、実はリーダーシップやディレクション能力に通ずるものだと思いませんか?
部下の成果や成長に導くためには的確なコーチング(質問力)が必要ですし、何か業務をお願いする時は「お願い力」「指示力」が重要になります。
よく若いビジネスパーソンの方と話していると、上司の指示力についての話に及びます。
などなど、霧の中、明確な地図を渡されずに目的地に向かっているような心許なさを感じる部下は意外と多くいるのです。
逆に上司側の立場の知人から
という意見もよく聞きます。
いずれにせよ…、これだと組織で仕事をしている良さが最大化されていないので、もったいないと感じます。
人が集団になると「足し算」になる場合もありますし、「引き算」になる場合もあります(仲が悪い…なども含め…)。
私は理想は「かけ算」であると考えているので、やはり「質問力」、「お願い力」「指示力」、つまりリーダー力(上司力)を磨きたい。
だからこそ、そうしたものに通ずるchatGPTを
という深津さんのご意見は非常に共感しているのです。
子どもたちに何を学んでもらうのか?
ちなみに、chatGPTを賢く活用するための3つのステップ、「深津式プロンプト・システム」について共有させていただきますね。
これもリーダー(上司)スキルで変換すると
となります。
chatGPTで磨ける自分というのが、何となくイメージできますね😊
ちなみに、深津さんはご存知の方も多いとは思いますが、noteのサービス設計を担当されている方。
ご存知ない方は、ぜひnoteアカウントにも遊びに行ってみてくださいませ。
「自分を磨くためにAIを使う」という観点でいえば、もう1つ気になった記事があります。
それが、東大公共政策大学院教授・鈴木寛先生の記事。
〈マネーポストWEB / 2023年5月25日〉
鈴木先生はAI時代における教育のあり方をこのようにお話しされております。
純粋経験とは「後付けされた概念や解釈などをできる限り排除して得られる原初的な経験」です。
つまり、誰にも教えられていないのに「あぁ…、夕日がキレイだなぁ…」と感動するような体験のこと。
AI時代の本格的な到来を迎えた今、子どもたちは私たち大人が経験してこなかったような未知の世界で生きることになります。
その時、必要なのは課題を見通し(Anticipation)、行動し(Action)、振り返る(Reflection)という「AARサイクル」を繰り返して、問題を解決できる力。
…あれ…?
…これって、さっきお話しした
という話と重なるところがありますね😊
そして鈴木先生はこのように続けます。
これは、一昨日【「想像の翼」を広げて】で語った「哲学教育」の有効性とリンクします。
〜ということで、AIの台頭を逆に活かして、より人間力を進化させる。
もしかしたら、人間力に原点回帰するといった方が正しいのかもしれません。
少なくとも深津さんが示してくださったような「一流の使い方」を実践していこうと思う今日この頃です😊